2月10日(土)
「道の駅みのかも」の朝が来た。
実に静かな夜だった。今回、ここまでで一番かもしれない。
外の気温はマイナスだ。
うっすらと霜が降りていた。
寒いので今朝は久々のお茶漬けにした。暖まる。
昨日、「道の駅半布里の郷とみか」に寄って買ったはるみを頂いたが実に美味い。中の実の皮が激薄でまるでオブラートのようだった。浜名湖で買った三ケ日はかなりボケてきていて、もうそろそろ限界だ。
ここは広くて静かで素晴らしいのだが、強いて言えばトイレだけがちと残念だ。ウォシュレットではないのはまだ良いとして、便座が氷のように冷たいのだ。真冬でこれはかなり辛い。風呂場よりもヒートショックの原因になるのではないだろうか。ロダンの「考える人」の状態のご遺体が発見されてもちっともおかしくない。
さて巷では今日から三連休ということなので、極力人が集まりそうなメジャーゾーンには近づかないように努めてやり過ごしたいところだ。
9時のOPENに合わせて、公園へ散歩に出た。三連休初日だがまだ人影はまばらだった。
昨日行かなかった上の方まで行ってみよう。
ぐるっと大周りすればかなりの散歩が出来そうだ。
散歩バカのエルは、早くもご機嫌でスタスタ歩く。
正面ゲートから最も遠い農園のあたりになると、やって来る人はほとんど居ない。
歩いた歩いた。これだけしっかり歩くと、エルの満足度も高い。
そろそろ腹も減ってきたところでお世話になった道の駅を後にし、近くに見つけた良さそげな店に行ってみた。
県道350号にポツンと建つ「シャンサイ」さんだ。たっぷりと散歩した後なので、エルも大人しく留守番してくれるだろう。
店内はジモティーしかおらず、我々のようなよそ者は皆無だ。これは期待できる。半チャーハン&ラーメンセットと、ガーリックチャーハンを頼んでしばし待つ。
ちなみにシャンサイことパクチーだが、嫌いな人が多いが我が家は大好きだ。栽培したいほどに。
ラーメンは麺の香りがよく、すごく優しい味のスープで美味い。チャーハンはパラパラはしていないのだが、味はGood。もちろんガーリックチャーハンはガツンと臭くて食欲をダイレクトに攻めてくる。リーズナブルに腹一杯になれた。
昼飯後は南下して国道21号に入り、可児に入った。可児といえば「センゴク」にも出てくる猛将可児歳三を思い出す。ここいらの出らしい。
左手にご存知「トイファクトリー」が現れた。キャンカーフェアでは長蛇の列で入場待ちになるほどの大人気ビルダーの本社がここらしい。各社競って発表しまくっているFIATデュカトベースの車両がこれ見よがしに店頭に並んでいた。
その可児にある「道の駅可児ッテ」というふざけた名前の駅に寄ってみたがさすがは土曜の昼間、駐車場がほぼ満車だった。運よく空いたところに停めて夕食によさそうなのをちょっと買ってすぐに退散した。
可児を出て国道21号を快調に走り、やがて土岐市に入った。土岐と聞くと、美濃の守護大名だったが斎藤に下剋上された土岐氏を思い出す。
やがて到着したのは「道の駅志野・織部」だ。
ロクな前知識も無く来てみて驚いたが、ここは完全に陶器に振り切った道の駅だ。物販の大半は焼き物である。さすがは焼き物生産日本一を謳うだけある。
駅名に織部が入っているのは、古田織部がかつて試行錯誤の上、織部焼を完成させた地であるからだろう。ここも駐車場は満車だったが、普通道の駅といえばソフトクリームやせいぜい野菜なんぞを求めて人が集まるものだろうが、ここは違う。皆さんワイワイ言いながら楽しくかつ真剣に器を求めてらっしゃるのだ。
かく言う私は陶器を始めアート的なものにはとんと興味が無く、逆に昔から「何でも鑑定団」なんかを観る度に「焼き物なんぞにハマったら人生終わるな」と自分に言い聞かせてきた。器なんぞ、毎日使うものが2,3個あればいいだろという方の人間だ。
しかしひょんなことから出逢った「へうげもの」を読むにつれ、「こんな世界もあるんだな」と認識だけは出来るようになった。
そんな織部イズムの雰囲気だけでも味わえればと、ここの上の方に「織部ヒルズ」なる焼き物街があるみたいなので行ってみる。
駅の裏手の階段を登ってすぐ工場の敷地内のようなところに出たが、その途端、向こうから白装束の人間がひとりつかつかとこちらへ寄ってきた。工場労働者から「ここ、犬禁止ですよ!(怒)」とでも言われるのかと身構えると、持っていたビラをくれて「すぐそこにパン屋さんやってますので、良かったら来てくださーい♡」とその若い女子は言った。なんだ、パン屋さんの若手職人だったのか。
焼き物がひしめきあう織部ヒルズを倉敷のような風情のある場所だと勝手に思い込んでいたのだが、まるで違った。見た目は工業団地そのものだ。
焼き物の店があって人が集まっているのではなく、工場や会社が無機質に建っているだけで土曜なのに人っ子ひとり歩いていない。道の駅に来る人のほとんどがそこから上へは登ってこないとみた。
せっかくだから散歩がてらさっき紹介されたパン屋にでも行ってみよう。
その「フルールフルール」というパン屋さんは、陶器の会社と同じ敷地にあった。多角経営なのかもしれない。
パンを買い込んで再び道の駅方面へと戻った。
パン屋女子に声をかけられたエリアにアウレットコーナーがあったので、ちょっと覗いてみた。
色んなのが投げ売りされていた。
お、中には見るからに織部っぽい深緑のもあるじゃん。
何か旅の思い出に買おうかとも思ったが、もうあまりモノを増やしたくないなという終活魂の方が勝って結局何も買わなかった。
さてそろそろ今宵のねぐらでも探さねばと先へ進んだ。
南下してちょっとヤバめの山道を走り、辿り着いたのは恵那市にある、
「道の駅おばあちゃん市・山岡」だ。
おばあちゃん、山岡と聞いた瞬間、なるほど山岡久乃のゆかりの地なんだなとすぐに連想したが、どうやら全く関係ないようだ。
また、恵那と聞いてすぐに反射的に出てくるのは、恵那司だな。色々あったが今では鍼灸師として立派にご活躍されているとのことで安心した。
お、なんか風車があるな。
と、思ったら水車だった。しかも日本一。
ここでもちょろっと夕食を仕入れたが、泊まるにはなんか落ち着かなそうなので先へ進む。
我が家苦手なワインディングを必死に下り、辿り着いたのが、
「道の駅土岐美濃焼街道どんぶり会館」である。なるほど建物がどんぶりになっているのか。
ここも焼き物に振り切った駅で、所狭しと美濃焼が販売されていた。
通りを挟んだ向かいには「土岐市立陶磁器試験場」という施設があり、周囲を散歩が出来た。下りていくとドコモの冠名のついた森があるらしく、明日にでも行ってみようか。
また、駅の裏手にも何やら池があり、散歩が出来そうなのでこれまた明日行ってみよう。
道の駅の営業が終わるとクルマもまばらになり、クチコミどおり夜は静かそうだ。
今日は道中あまり夕食を買えず、可児ッテの里芋コロッケ、おばあちゃん市のだし巻き玉子に鶏ソーセージ、後はストックのギョニソという非常に寂しいメニューとなった。足りない分はナッツやスナックで補おう。
寂しいがどれも美味かった。特に鶏ソーセージは高級品で、アスリートにもってこいな感じの味と食感だった。
夕方はほとんどクルマが居なかったが、夜遅くになると続々と車中泊erたちが集まってきて、トイレの前に集結していた。皆さん、真っ暗な山道をよく走れるなあ。
ちょっと山の中だし今夜も冷えそうだ。
本日の走行距離:52km