2022 早春の九州一周旅 第十三日 絶景の長島に別れを告げ、旅は新たなステージへ

道の駅黒之瀬戸だんだん市場」の朝が来た。

昨夜も雨のためポップアップは断念した。屋根裏部屋は広々と寝られて快適だが、壁が布一枚なので騒音に弱い。その点、下で寝るとベッド展開などひと手間必要となるが音はけっこう遮断出来る。

ここの駅には木や枝で作られた謎のオブジェがいくつか置いてある。どうやら何かのコンテストで各チームが競い合ってるようだ。

今朝はいつのもお茶漬けに、昨日「川内とれたて市場」で買ったシラスを贅沢にトッピングしてみた。また、ここで買ったデコポンも頂いたがさすがにジューシーで美味い。

お世話になっただんだん市場を後にし、長島を北上開始した。本日最初のお目当ては30分ほど走ったところにある「針尾公園」だ。

以前ケンミンショーで薩摩おごじょの桜庭ななみちゃんが紹介していた「日本一眺めの良いトイレ」がある公園だ。

入ってみると確かに絶景を楽しみながら用を足せる。特に男子トイレは爽快そのものだ。

トイレの屋上の展望台に上がれば隣の伊唐島や竹島、天草も一望できる絶景が拡がる。

いまのところこの旅一番の絶景がここにはあった。

展望台から見下した伊唐大橋を渡って隣の伊唐島へ渡ってみた。島へ渡ってすぐにハワイのような赤土の畑が広がり、農道を走っても特にビューポイントなどは見つけられずすぐに引き返すことになった。

フェリーまでまだ時間があったので「道の駅長島」へ行ってみた。何か昼飯が食えるかなと思ったのと、ここ長島の名物らしい「じゃが串」を食ってみたいという欲望もあった。何せここの別名が「ポテトハウス」というのだから無いはずが無い。

だがポテトハウスでじゃが串は売っていなかった。どういうこっちゃ。結局じゃが串を食うことは出来なかったので次の機会にリベンジだ。

じゃが串はお預けをくらったが、レストラン「魚島食堂」でテイクアウトの丼が買えた。しかもテイクアウトなので100円引いてくれるという太っ腹。大将、ありがとう。

ここの駅はモロに国道389号沿いで駐車場がウナギの寝床状なので落ち着けそうにない。ひとことで言うと、あずましくない。だが国道と反対側に見える海は素晴らしい。

そしてここにも例のコンテストのオブジェがいくつか置いてあった。長島の人々はアーティストだ。

昼食も調達出来たところで北の蔵之元のフェリー乗り場へ向かった。

ここから12:40の船に乗って薩摩のぼっけもんたちに別れを告げ、熊本は天草に渡るのだ。

車列に並び船賃を払った後は、コンパスの車内で先ほど買った丼を頂くことにした。ブリの炙り丼と漬け丼をチョイスしたが、炙りは香ばしく、漬けは漬け具合が絶品でバクバクとあっという間にかっこんだ。店で食うと二つで1,500円のところテイクアウト割引で1,300円とお得感満載であった。

ランチ後もまだ時間があったので乗り場の周囲をウロついた。長閑としか言いようがないスローさ。そして海はどこまでも透明だった。墨跡は見当たらなかったのでイカのポイントでは無いのかもしれない。

やがて出航の時間となり、30分後には牛深に着いた。熊本編のスタートだ。

牛深港のすぐ横というかそのものが「道の駅うしぶか海彩館」な感じだ。しかし、大きなイケスにブリなどは居ることは居るのだが、肝心の店がほとんど空いてなくてまるでやる気を感じられない駅で、当然ながら夕食など全く買えなかった。

こんな駅には用は無いのでさっさと天草下島を北上し、本日二つ目のお目当ての地に到着した。

世界遺産の崎津集落である。ここから旅のテーマは「潜伏キリシタン遺産巡り」に突入するのだ。

ステンドグラスも地味で渋い

自分自身クリスチャンではないが、長崎天草でのキリシタンの歴史や古い教会群には非常に興味がある。この崎津教会は昭和9年築で弾圧の時代に庄屋の邸宅だった場所に建てられたそうな。中は撮影禁止だったが、祭壇のある場所はかつて絵踏みが行われていたらしい。そう聞くと、脳内では「沈黙」のシーンが教会内に映し出され切なくなった。またここは珍しく畳敷きの教会で、なんとも言えない趣があった。

旧教会

教会の周りはキレイな海沿いに伊根の舟屋のようなスローな雰囲気の家が並んでいる。

また、集落のあちこちに猫が山ほど居てこれまたのんびり過ごしている。エルブレは教会よりもそっちが気になって仕方がなく、猫たちは「犬なんか連れてくんな!」と不機嫌そうだった。

「猫!猫!」

さて今日はすぐ近くの道の駅に停泊させて頂くつもりだが、その前にひとっぷろ浴びに10分ほどのところにある「愛夢里」にお邪魔した。

さっぱりしたところで再び崎津に戻り、「道の駅崎津」へチェックインした。

遠くに崎津教会が見える

道の駅の冠は付いてはいるがほんの申し訳程度の物販(塩など)がインフォメーションの片隅にあるだけで、実態は「崎津集落ガイダンスセンター」である。だが新しいせいかトイレはピカピカで「道の駅くしま」に負けていない快適さだ。

崎津に来る前にスーパーTAIYOで買った奥さんセレクトの夕食だったが、お好み焼き、肉団子、白和え&マカロニサラダとご当地感ゼロのメニューの割には美味しく頂いた。白和えがちょっと甘かったくらいか。

450年もの間、一途に信じられてきた神の集落での聖なる夜は静かに更けていったのだった。

本日の走行距離:86㎞ (+フェリー7km)

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