「岩尾内湖白樺キャンプ場」の二度目の朝が来た。
ポツンと一軒家状態の中、完璧なる静寂の夜だった。周りが居ないので話し声や音に気を遣うこともなく、気分のいい朝だ。
BBQの余りのソーセージを炒め、同じく余っていた甘めのパンという朝食だった。
大した献立じゃないが、こういう環境で食えば最高に美味い。
それにしても虫が多い。野外専用の森林香をガンガン焚いているが、お構いなしにハエやら蛾やら謎のコショウ粒みたいなちっこい丸いヤツやらが体にまとわりついてくる。強力虫よけスプレーをシャっと撒くとその瞬間は逃げるが、2分も経つとまた集まってくる。
エルブレは快適な車内で大好きな午前のまったりタイムを過ごしている。
スローな時間だけが静かに過ぎて行く。
ボーっとしているうちにここでの最後のメシ時となった。
こいつを二人でシェアして頂くことにする。
開けてみると通常の100gの麺がきっちり二個入っていた。
このためにとっておいたソーセージと豚肉を入れ、ノンアルで流した。これまたこの環境で食うと絶妙に美味かった。
さて昼飯も食ったしサクっと撤収して次へ行くか、と片付け始める。正味ペラペラのレクタタープだけなのですぐ終わると思いきや、よく見るとイスやテーブルなど全ての道具に例の「コショウ粒より小さめな丸い虫」たちが無数にひっついているではないか。
さすがにこれらをこのまま車内に突っ込むわけにはいかないので、ひとつひとつ出来る限り虫をはらって収納していたらエライ時間がかかってヘトヘトになった。ヤツらも抵抗して奥へ奥へと逃げようとするので、大変な作業だった。他のキャンパーは随分と簡単に撤収していたようだが、おかまいなしなのかはたまた気づいていなかったのか定かでない。我が家も駆除しそこなったチビが絶対数匹居るはずなので、これから数日はきっと車内でお目にかかることだろう。
なんとか撤収が終了したところでお世話になった管理棟のお母さんにお礼を言ってキャンプ場を後にした。
無料で素晴らしいキャンプ場だったが、唯一ゴミが捨てられないのが難点だったので、今日はゴミ捨てを目的に道道61号を東へ進む。
たまに対向車は来るが、何km走っても自分の前後には全くクルマが居なかった。
やがて「道の駅香りの里たきのうえ」に到着した。ここは小さなドッグランこそあれどレストランも無いような地味な道の駅だが、素晴らしいサービスを行っているのだ。
他のほとんどの道の駅やキャンプ場が頑なに拒否する「ゴミの引き取り」を、大中小のゴミ袋を買うことで快く引き受けてくれる神駅なのだ。
燃えるor燃えないの袋が売っており、ビンや缶はというと指定のゴミ箱に捨てるのも快く許して下さる。もちろん捨てる前にはキレイに洗うのが当然のマナーだ。
国土交通省に告ぐ。日本全国の全ての道の駅にて同様のサービスを義務とするよう直ちに通達せよ。さすれば道の駅は世界に誇れるインフラとなることであろう。
ゴミも無くなってスッキリしたところで、まだ陽も高いので少し場所を移して散歩をすることにした。
着いたのは「芝ざくら滝上公園」だ。毎年5月から6月にかけてピンクに染まり祭りも行われる公園だが、季節外れな今は人っ子ひとり居なかった。
丘を上ると、滝上町が一望できる。
日暮れも近づいてきたので再び道の駅へ戻り、エルブレに晩御飯を上げてから歩いてすぐのところにある「たきのうえホテル渓谷」へひとっ風呂浴びに行った。
内湯だが岩がゴロゴロ設置してあるラジウム泉で、空いていた。よくわからないがそのラジウムとやらの効果なのか、お湯がやたらと柔らかく感じて実に気持ちよかった。
サッパリしたところで、引き続きホテル内のレストランへ場所を移す。今宵はここで夕食も済まそうという算段だ。
奥さんが風呂から出てくるのを待ちながら、先ずはクラシックをグイっと一杯。サイコー。
「かんぱいセット」のつまみは、枝豆と塩辛二種と松前漬け。全てクオリティが高くてボリュームもあり、これだけでチビチビ飲み続けていられる味だった。
やがて奥さんが合流したところで、二杯目は瓶ビールを注文して飲めない奥さんにも一口お裾分けした。
豊富なメニューから散々悩んだ奥さんが選んだのは、スパカツだった。ホテルオリジナルという麺は太くてうどんっぽかったが、この旅でここまでこの手のものを食っていなかったので程よい変化球となって妙に美味かった。ブランドトマトジュースのとまひめ使用のご自慢のソースも美味い。ちなみに私はというと、かんぱいセットの塩辛がたっぷり余っていたのでただのライスを頼んで塩辛ご飯で済ませた。
駅に戻り、蛾の「楠さん(クスサン)」たちはあまり見かけなかった。しかし彼らが好みそうな赤い電灯の下は念のためあらかじめ避けておいた。さらに今夜は台風の影響なのかかなりの強風予報なので、ノーポップアップでの就寝となった。
本日の走行距離:50㎞