「道の駅香りの里たきのうえ」の朝が来た。
予報通り朝方にビュービューと強風が吹いた。この時期にしては気温は高い。台風一過の影響だろう。そういや現役時代に上司だったT田さんの美人奥様はかなりの間「台風一家」という何かと猛烈なファミリーのことを例えるワードと信じていた、と聞いたことがある。
ここもちらほらと「楠さん」たちの姿が見えたが、狂喜乱舞には程遠く大したことなかった。
先ずは寝起きのひとっ走りといくエルブレ。
それなりに楽しんではいるが、ランの幅が無いので少しやりにくそうだった。それでもランがあるだけ有難いのは言うまでもない。
朝食はこれでもかのお茶漬け。デザートは昨日売店で買っておいたぜんざいだ。
食い気だけではなく、ちゃんと一宿の恩を少しでも返すための金落としだ、と奥さんは主張しながらペロリと平らげていた。
さて近々のターゲットであるサンゴ草だが、天気予報などを鑑み明日決行とすることにした。したがって今日はサロマ湖のちょい手前辺りに陣を張ろうと思う。
お世話になったたきのうえの道の駅を出発し、抜けるような青空の下で再びオホーツクを目指す。
やがて紋別の町に出て、「スキル」という洗濯が上手そうなコインランドリーで洗濯をし、向かいのスーパー「シティ」で食料品や酒を買い込んだ。このシティというのをやたらと見るが、どうやら昔から札幌などにある「ラッキー」のグループらしい。
用事も無事済ませたところで次へ向かう。「道の駅オホーツク紋別」にコンパスを停めて散歩をスタートすると、やがて紋別を代表するランドマークが見えてきた。
ご存知「カニの爪オブジェ」である。来たのは二度目だが、相変わらずシュールだ。
海沿いを歩いてガリンコ号の方まで行ってみよう。
風は強いが日差しは強烈だった。前回訪れた時は8月なのに曇天で上っ張りが必要だったものだが、今日はジリジリと照っていてとても9月のオホーツクとは思えないほどだった。
ガリンコ号の手前はすごくキレイな芝生が拡がっていて、こんなに整備されてたっけな?と若干不安になった。
不安は的中した。犬NGだと。
先代犬と訪れた時はガリンコ号の周りを歩けたと記憶しているが、いつからダメになったのか。
ま、天気のいい中でぷらぷら散歩出来たから良しとしよう。
昼過ぎになったので道の駅の駐車場へ戻り、紋別の市街へランチでも食おうとコンパスを走らせた。だが、お目当ての店は定休日、次に行った寿司屋は早々にラストオーダー終了と完全に食いっぱぐれた。他にも色々と検索したが軒並み中休みのようで、紋別では「昼下がりの遅いランチ」という定義は存在しないらしい。
仕方ないので先ほど道の駅へ向かう途中に238号線沿いに見かけていた「紋別漁師食堂」へ行ってみた。日差しが強すぎてエルブレを車内待ちさせるのは厳しいのでテイクアウトメニューからチョイスした。
ともにズワイ入りを頼んだが、ちょっと水っぽかったのだが残念だった。それにも増して驚いたのが量が異様に少なかったことだ。オーダーの時に「安いな」と思ったが、こういうことか。丸の内のOLさんクラスだ。唯一の救いは駐車場まで持ってきてくれた店員のお兄さんがとても礼儀正しかったことだった。カンボジアやラオスあたりから来たのだろうか。とにかく日本人よりも遥かに律儀で気持ちの良い青年だった。
これにて紋別滞在終了とコンパスをオホーツク沿いに南東へ走らせた。ここで、いよいよ明日の能取でのサンゴ草見物の前に、サロマ湖の西端にある「アッケシソウ群落」とやらをちょいとチェックしに行ってみた。
行けば真っ赤ですぐわかると思っていたが、現地に着いてもどこがどうアッケシソウなのかさっぱりわからなかった。こりゃあ明日はダメかな?と不安になりながら、本日の停泊地へ向かった。
本日ご厄介になるのは「道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯」だ。おそらくほとんどが風呂客であろうとは思うが、駐車場はえらい混んでいる。
駐車場の隣には旧中湧別駅のホームや線路が遺されており、鉄オタじゃなくてもツンとノスタルジックな気分に浸る。車両の国鉄のロゴが泣かせる。
温泉の建物の脇には広大な百年記念公園があり、散歩に最高だ。
チューリップの湯でひとっ風呂浴びて、エルブレに晩御飯を上げてから近所へ繰り出した。最初はすぐ近くのシティで何かお惣菜でもと思ったが、地図を見ると意外と飲食店があることがわかったのでふらりと出かけてみた。
選んだ店は駐車場を出てすぐ目の前にある「居酒屋レストラン倖せ」さんだ。
店の外のお品書きからは、かなりの守備範囲の広さが窺える。
450円(税別)と良心的な生ビールが風呂上りのカラダに染みわたる。
ここ数年大変であっただろうお店をご常連たちが叱咤激励しているのだろうか、横断幕が飾られていた。
頼んだ料理はどれも美味く、珍しく頼んだ梅サワーでグイグイと流し込んだ。
締めには禁断のラーメンサラダを頼んでしまったが、これが大正解。麺がコシ良し香り良しで最高だった。サラダの役割を果たしてないが、大満足で店を出た。
公園の百年記念塔がライトアップされている中、締めの散歩にエルブレを連れ出した。運動公園の暗い通路を歩いていると、芝生の中に何か動く物を発見して「獣か!?」とざわめいた。煌々と目を光らせ、こちらへゆっくりと近づいてくるではないか。
よく見るとルンバ?のようなロボットだった。広大な芝生内を二体で動き回っている。人が寝静まった夜中にいじらしく芝生の掃除でもしているのだろうか。この謎の物体にエルブレはビビっていた。
さて明日は真っ赤に燃えたサンゴ草を見ることが出来るのか、期待と不安を抱きながら上湧別の夜は静かに更けていくのだった。
本日の走行距離:88km