令和5年3月8日(水)
「道の駅東浦ターミナルパーク」の朝が来た。
ポップアップでの就寝だったが、目の前の国道28号の音は気にならずアイドラーも居なかった。だが、海の方から「ゴーゴー」言う謎の音がけっこううるさく、よく眠れなかった。
まだ薄暗い朝の空に丸い月が浮かんでいた。
朝食は軽くカニカマを入れたスープで済ます。今回の旅は昼にかなりの炭水化物を消費することが予想されるため、朝晩は極力糖質オフで耐える。そのため昼食が全てであり、失敗は許されない。
この駅のすぐ隣にあるバスターミナルの脇にちょっとした遊歩道があったのでぷらぷら歩いてみた。
芝生の中にはぽつぽつとアート作品が置いてあった。
驚くことに、ミケランジェロのダビデ像まであった。淡路島、恐るべし。
海沿いには何やら塔が二つあり、その間には橋があった。
サンシャインブリッジなる名前があるらしい。近くまで行ってみると上って渡れるようなので、入ってみた。
どうやらここはデートスポットのようだ。
海沿いを歩いてみたが、結局昨夜のゴーゴー言う音の正体はわからなかった。
のんびりぷらぷらした後は再び道の駅へと戻った。
開店を前に忙しく搬入が行われていた。さすがはタマネギの国だけあって、何種類もの新タマネギが並べられていた。
ここの名物にタコを丸ごとプシュっとプレスしてせんべい状態にした姿焼というのがあるらしいので話のタネに買いに行った。
しかしながらタコが獲れないため売っていなかった。うーん、残念。
駐車場に目を向けると、「日本一周中」と書かれた軽が停まっていた。まだ20代かと思うような男女が楽しそうに下りてきた。まさに、人生一度きり。良い旅を。
地図を見ると淡路島には散歩に良さそうな公園がいくつもあるようなので、エルのご機嫌取りにどこかへ行ってみることにする。
お世話になった東浦ターミナルパークを後にし、公園を求めて細い山道をヨタヨタと上る。
着いた先は「兵庫県立公園あわじ花さじき」である。駐車料金200円を払って園内の散策を開始した。
季節に応じて色とりどりの花で埋め尽くされた公園とのことだったが、行ってみると早咲きの菜の花の黄色があるだけで、後は土だった。
ちょっと公園選びを間違えたようなので適当なところで散歩を切り上げ、どこかで美味いランチを食いに島の西海岸へと向かった。途中の県道157号でブレアがタラリとヨダレを垂らしていたので、慌てて何度も路肩に停めて休憩を取った。いつもなら旅も三日目ともなればカンを取り戻して酔わなくなるのだが、どうも今回は調子が悪いようだ。
ブレアを励ましながらなんとか辿り着いたのは、「おむすびみやび」さんだ。
ここでテイクアウトしてテラスで頂こうと思う。
唐揚げ弁当+オニギリを二つ買って海を眺めながら食べてみると、衝撃を受けた。米がべらぼうに美味いのだ。オカズ無しで米だけを永遠に食っていられる味だ。聞いてみると地元の淡路米とのことだった。完全に脇役にまわったオカズや具も美味かったような気がするが、正直あまり憶えていない。この旅で一番美味かったのはここの米ではないかと思う。
我らの後にも続々と来客があった。ほとんどが若い女子のグループだった。3月は平日でも春休みのせいかけっこう人が来ることが多い。のんびりとぽつん旅を楽しみたい退職者はこれからは3月は避けて4月にした方が良いのかもしれない。それにしても最近の女子たちはみんなあいみょんに見えるのは気のせいか。
超絶美味い米を堪能した後は、奥さんの友人から「今朝テレビでやってた」とホットな情報が飛び込んできた人気のスポットへと行ってみることにした。
いまいち調子に乗れないブレアのため、北淡から洲本まで高速に乗った。人間だけであればずっと下道を通ってりゃいいのだが、エルブレに少しでも負担を軽くと考えるとちょこちょこ高速を使わないといけない。
洲本で高速を下りて国道28号を走っていると何もなさそうなところで詰まって何かと思ったら、ジモティーの軽がガードレールに突っ込んでいた。よそ見でもしたのやら。自分も気をつけねば。
鳥井交差点を左折してしばらく田舎道を走り、お目当てのスポットに辿り着いた。
訪れた客用の駐車場は単なる原っぱだが、平日にも関わらずけっこうな台数が来ていて入り口手前の坂道は軽く行列が出来ていた。
駐車場から細い道を登っていくと、見えてきた。
人気観光スポットの「八木のしだれ梅」だ。村上さんという方のお宅のお庭に咲く梅を有難くも一般公開して頂いているのだ。
この美しくも艶やかな樹齢60年のしだれ梅の樹は素晴らしかった。
人気なだけあって「実際に来てみてよかった」と心底思える場所であった。とにかく梅のピンク色が美しく見事だった。Tちゃん、貴重な情報をありがとう!
帰り際には恐らくはタイから来たと思われる集団が来て騒々しく歓声をあげていた。徐々に2019年以前に世の中は戻りつつあるようだ。
駐車場へ戻る細道からコンパスが見えた。
あいつらどこ行きやがった、と言わんばかりの顔をしたブレアが見えた。
けっこうなものを見せて頂いたところで淡路島をお開きにして、いよいよ四国へ向けて走り出した。
淡路島南から高速に乗り、大鳴門橋を渡る。
渦潮ポイントの上を通過すればもうそこは徳島県だ。
鳴門北で下りて、まだOPENして1年も経っていないという人気の道の駅を訪ねた。
「道の駅くるくるなると」だ。
まだ新し過ぎて持っている本や地図に載っていない。
鳴門といえば何は無くとも鳴門金時。何やら人気のソフトクリームがあるとのことで店に向かうと、
嘘のような長蛇の列が出来ていた。さすがのうちの奥さんもこりゃ諦めるかな?と思いきや、なんと並ぶと言う。マジかよ。だがそう思った矢先に「本日はもう終了です」と言われ戻って来た。「野郎だけのグループがソフトクリームで並んでんじゃねえよ」と怒り心頭の奥さんを内心ほっとしながらなだめた。
転んでもタダでは起きない彼女は、ソフトクリームの代役としてモンブランを買ってきた。さすがは鳴門金時、実に上品な甘さだった。
甘い物も食ったことだしちょっと駅内を散歩しようと思いきや、芝生は犬NGだった。なんだ、イヤな駅じゃねーか。
長居は無用と先へと進んだ。
くるくるなるとから20分ちょっとで着いた先は、「道の駅いたの」だ。
これまた負けず劣らずキレイな駅だが、先ほどとは違ってドッグランもあるようで嫌味な感じはしない。
表側もいいがドッグランのある駅の裏手の方がより静かそうなので、今夜はこちらでご厄介になることにした。
物販を覗くと美味そうな柑橘類がこれでもかと並んでいた。まだ王国愛媛に入っていないのに早くも始まったようだ。
「みかんの大トロ」、「幻のみかん」というキャッチーなPOPに魅かれ、せとかと十万みかんを買ってみた。
今夜はここのレストラン「-海と畑- 恵食堂」で頂く。
先ずは一番搾りでグイっと喉を潤す。
つまみは刺身盛合せだ。昨日の回転寿司金太郎よりも安価で嬉しい。
寿司フリークの奥さんは今宵も握りを頬張っていた。魚は全体的に悪くなかった。
食後に足湯を頂いた。おかげ様でポカポカと暖まった。
夜はルヴァンカップをつまみに車内で二次会だった。夕食の魚と違って、こちらのつまみは頂けなかった。
もうこの体制も7年目にもなろうというのに、この程度のチームしか作れんのか。
何はともあれ、板野の夜は静かに更けていったのだった。
本日の走行距離:102㎞