2024 初夏の北海道旅 第八日 通りすがりで絶メシと出逢うのは旅の醍醐味だ

5月28日(火)

道の駅おおの」の朝が来た。

広い駐車場にほとんど停まっていなかったおかげで実に静かな夜だった。ポップアップの網戸を途中で閉めるくらいに涼しくもあった。

家を出てから一週間が経過したが、エルブレは元気一杯だ。今回は大丈夫かな?

朝食は、昨日盛岡の「福田パン」で買ったパンを頂く。

コッペパンの専門店で様々な具が用意されていて大人気店のようだった。驚くのはそのデカさだ。長さだけではなく幅もあり、大きめの長財布くらいなイメージだ。デカいだけでなく、パンの味も確かに美味い。こりゃー人気があるはずだ。

おかげ様で朝から腹一杯になった。

さて、明日の朝10:30のフェリーでいよいよ北海道へ渡るので、今夜は港の近くで泊まる予定だが、

今夜から明日の朝まで雨予報が出ている。名古屋や高知のようなとんでもない雨予報ではないのが救いだが、犬連れにとって雨は天敵。どうなることやら。

お世話になったおおのキャンパスを後にし、先ずは散歩にと訪れたのは、

大野ダムだ。

この大野ダムの周囲は遊歩道になっており、先には「大野ダム親水公園」というのがあるらしいので行ってみよう。

こちらのダムだが、釣りは残念ながら禁止とのこと。

ここが実際の大野ダムのようだ。

ダムの下にはキレイな駐車場と公園が広がっていた。

駐車場の脇にはまだ新築の香り漂う素晴らしくキレイなトイレがあった。おおのキャンパスよりこっちの方が車中泊には良さそうだな。

これは次回のための超穴場発見!と興奮したが、すぐに敢えなく意気消沈した。ケータイのアンテナが一本も立っていないのだ。

一晩ほどデジタルデトックスするのであれば最高の場所だとは思うが。。

コンパスを停めた駐車場へ戻ると、地元のお母さんにお声をかけられ少しお話させて頂いた。「すごいいいとこですね。新しいし。」と聞くと、なんともう3年くらい前に造られたとのこと。それでこのキレイさ。「素晴らしいですね」と言うと、

「なんもなんも、せっかく造ったのにほとんど誰も利用しねーんだ。こないだはクマも出たみたいだし、、、」

お母さんは軽のMT車で軽快に走り去って行ったのだった。

さて今日の昼は八戸で何か美味い魚でも食おうと、県道11号を北上し始めた。

もう完全に心は海鮮丼に支配されながら走っていたのだが、左手に異常に気になる店を視界の片隅に捕らえた。あまりに気になってちょっと行った先でUターンしてわざわざ戻って来た。

それがこの「ちどり食堂」さんだ。この圧倒的な昭和感にまず打ちのめされた。

店内も素晴らしい雰囲気だった。完全に私の小学校時代あたりで時が止まっている。

冷蔵庫のドリンク類が軍隊の整列のごとく、一分の隙もなく完璧に並べられていた。これは相当にマジメな店主に違いない。そんな人が作る料理はマズイわけがないだろう。

昨日に続き菊池さんのサインとご対面。

こちらのお店、昔はなんと映画館でもあったらしい。

さて何を食おうかとシンプルなお品書きを眺め、売りであるかつ丼と中華そばをチョイスしてしばし待つ。

この箸入れも、涙が出るほど懐かしい。

かつ丼

やがて運ばれてきたかつ丼はカツも卵も実に優しい味で美味かった。味噌汁も何とも言えない若干のトロみがあって味わい深かった。

中華そば

中華そばは見た目も味もこれぞまさに「The 志那そば」だった。エグみの欠片もない味で、実際には踏みとどまったが、もしも最後の一滴までスープを飲み干していたとしても、きっと罪悪感を一切感じなかったことだろう。

おそらく昨今の物価高でこれでも値上げをしているのであろうが、それでもこれらが790円と600円しかしないなんてどうかしている。いやーー、感動した!

会計時にご主人夫妻が昔のことを色々とお話してくれた。かつては映画館として映画も上映していたが、大衆演劇も上演していたとのこと。あの「お富さん」の大スター春日八郎も来たことがあったとか。

食堂部分に居ると、この建物のどこで映画や演劇をやっていたのか不思議になるが、外から見るとなるほど、

店の奥に体育館のように広いホール部分があった。ここが昔はこの町のエンターテインメントを一手に引き受けた中心地であったのだろう。何日も前から夜も眠れないほど楽しみにしていた映画や公演に駆けつける坊主頭やおかっぱ頭の子供たちや大人たちの姿が目に浮かぶようだ。

そして、片隅のテーブルで背中を丸くして爪楊枝をくわえ、やがて財布からくしゃくしゃの500円札を出して「つりはいらねーよ。孫に飴玉のひとつでも買ってやんな」と微笑む寅さんが今にも出てきそうな店だった。そこにオンボロトラックに人と荷物を山積みにしたあの一座がやってきて、「くるまセンセ♪」と呼ぶあの娘の声も聞こえてきそうだった。

こういう素晴らしい店は日本にあとどれくらい残っているのであろうか。国は重要文化財としてこういう店を守って行くべきと真剣に思う。このような昔ながらの食堂やドライブインなどのいわゆる「絶メシ」を訪ねるような旅もしてみたいが、そう思うなら一日も早くしないとひとつまたひとつと消えていってしまいそうで焦る。下手したらガソリン車よりも先に無くなるのではないだろうか。

「是非ともまた寄らせて頂きます」とご主人夫婦と別れ、八戸を目指して再び北上を始めた。

やがて行く手に八戸の市街が見えてきた。

そして今回もやって来ました、

ご存知泣く子も黙る「八食センター」だ。

相変わらず色とりどりの魚がこれでもかと並ぶ、食のワンダーランドだ。

オヤジにとってはディズニーランドやUSJでなく、こここそが夢の国だ。

何はともあれ、昨年の秋にあまりの美味さに唸った「海丸」のホヤ塩辛を買い、

あとは今夜の刺身と酒を少々、さらに明日の朝のパンにお土産の珍味と買い込み、ワンダーランドを後にした。

次は八戸近辺でもっと長居し、ここで買った食材でBBQでもやりたいものだ。

八戸を出る頃には徐々に雨が降りだした。

さらに北上を続けるが、雨がまだ弱いうちにダメ押しの散歩をさせるべく立ち寄ったのが、東北町北総合運動公園だ。

駐車場に停め、さあエルブレを降ろそうかというところで向こうになんか犬のシルエットの看板が目に入った。降ろす前にそれを見に行くと、なんと「犬NG」だそうな。。

あまりのショックで看板の写真を撮るの忘れた。しょうがないので別のところを目指す。

やって来たのは「東北町みどりの大地とロマンの森公園」という憶えにくい名前の公園だ。

ここは犬OKのようで、小雨の降るなか散歩を開始した。

なんとか最低限の息抜きが出来たところで、本日の最終目的地へ向けてさらに北上した。

エルは普段近寄ると逃げて行くくせに、車内だと甘えてくる不思議なヤツだ。シフトレバーに手をかけようもんなら、その腕に顎を乗せてきて終いにはウトウトし始める。

野辺地を過ぎ、右手には陸奥湾が見えてきた。あともう少しだ。

そして暗くなる前に本日お世話になる「合浦公園」になんとか到着出来た。

青森のフェリーターミナルに最寄の道の駅といえば「道の駅浅虫温泉」か「道の駅なみおか」になるが、どちらもいまひとつ落ち着けなかった思い出がある。そこで今回はネットのクチコミを信じて訪れてみたのだ。

ちなみに「ごううら」と検索してまるでヒットしないなと思いきや、なんと「がっぽ」と読むらしい。こりゃー読めねー。

あれがトイペが無いというトイレか。まあ何とかなるだろ。

立派な球場もある公園だ。

今宵の雨を少しでも避けるべく、上手いこと木の下に陣取って本州最後の夕食タイムだ。

贅沢に生の本まぐろに、にしんの刺身を並べ、

ホヤの塩辛ももちろんつまむ。

マグロは生だけあってちょうどいい中トロ加減で美味かった。そして、ニシンの刺身だが、これは産地じゃないと食えないシロモノだろう。これまたちょうど良い脂の乗りで絶品だった。ホヤは美味いのは当たり前だ。

合わせる酒は、昨日「道の駅石鳥谷」で買った盛岡の「桜顔超辛口」だ。まさにエクストラドライでキリリと水の如し。今まで数多くの酒を呑んできたが、間違いなくナンバーワンの辛口だ。すーっと喉のところで消えていき、今日の刺身にベストマッチだった。

寝る頃にはかろうじて小雨で、エルブレにカッパを着せて何とか凌げた。エルブレさえ終われば、あとは明け方まで土砂降りでも構わない。かつて小林麻美が「ショパンの調べ」と歌った雨音を聞きながら眠ることにしよう。

さぁ、明日は北海道上陸だ。

本日の走行距離:148km

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