2023 秋 みちのく犬連れ旅 第六日 東北の新たな楕円球の聖地は復興のシンボルだった

10月8日(日)

道の駅釜石千人峠」の朝が来た。

寝る前は静かだったので今回初の屋根裏での就寝を試みたが、結果的には失敗だった。消灯時はスカスカだった駐車場も、朝起きるとそれなりに停まっていた。目の前の国道を通るクルマも夜通し居るわ大型のアイドリングに誰かの歌声もと、賑やかな夜だったのだ。

朝の車内は16℃まで下がった。それくらいなら上も下も寒くはないし、下の連中は昨日の震災遺構巡りでけっこう歩いたのでグッスリと眠れたらしい。

そういや昨夜は歯を磨きに行った際に、「生3J」を聞くことが出来た。トイレから出てくると、ドリンクの自動販売機の前でひとりの男が悪戦苦闘していた。どうやら硬貨を入れたにも関わらずお目当ての商品が出てこなかったらしい。「じぇじぇじぇ!」と杉本哲太風の声で男は叫んでいたのだ。岩手のネイティブなのか、あるいはBSで「あまちゃん」の再放送を観てかぶれただけなのか定かでないが、何となく得した気分で眠りにつけた。

ここから小一時間くらい山の中に行ったところに世界遺産があるらしいのだが、今回は見送ろう。明日には青森に入らないと天気がヤバいので、今日もちょっとスケジュールが厳しい。

今朝は、昨日南三陸の道の駅で買ったたこ飯を頂いた。やはりタコは絶品だった。

ここの駅の裏には甲子川が流れていて、小さいながらも草っぱらもあり犬連れにはまあまあの駅だった。

今回の旅ではけっこうな頻度で犬好きそうな人たちが声をかけてきてくれる。ドMIX犬が珍しいのか、外面がいいエルブレがすごく良い子に見えるのか。

エルは例によって不愛想なので、主にお相手を務めるのはブレア親善大使だ。ただ、エルも色々な人からチヤホヤされるのはまんざらでもない様子で、ヤツにしては知らない人からけっこう触られている方だろう。

お世話になった道の駅釜石千人峠を後にし、日曜日で閑散とした釜石市街を走り抜けて再び北上を開始した。今日最初の目的地は、以前から是非とも訪れてみたいと思っていたところだ。

やがて巨大な水門とまたしても真新しい防潮堤が見えてきた。そのすぐ脇の駐車場に停めて、向かう先は、

鵜住居復興スタジアム」だ。

働くクルマの展示で自衛隊や警察車両が来ていた

かつて昭和の時代に無敵の一時代を築いた新日鉄釜石を擁したここ釜石。やがて王国は崩壊し、さらに震災によって打撃を受けたが、復興の一環としてここにラグビースタジアムを造った。そして前回の2019ワールドカップの招致に成功し、フィジーvs.ウルグアイを開催した。ドラマ「ノーサイドゲーム」でも舞台として登場したこのスタジアム、東北を訪れるなら外せないと常々思っていたが今回ようやく来れた。もう、釜石市街を抜けて案内標識に「復興スタジアム」の文字を見た瞬間から、脳内では「馬と鹿」がずっとリピートで流れながらここに辿り着いた。

ここは新日鉄釜石の後継であるクラブチーム「釜石シーウェイブス」が本拠地として使っていて、まだまだレギュラーシーズン開幕ではないはずで今日はのんびりと周囲を散歩しながらスタジアムマニアとして雰囲気を味わいに来たのだ。ところが警備員は居るは、スタジアム内はレプリカジャージ来た人で賑わっているわで、何かおかしい。柵越しに運営スタッフと思しき人に聞くと、今日はリコー・ブラックラムズを迎えたプレシーズンマッチを開催しているとのことだった。

スタジアムは想像していたよりもかなり牧歌的というか、メインスタンドとサブスタンドはあるが、サッカーで言うところのゴール裏はドッグランの柵よりも低そうなので仕切られた単なる芝生だった。2019年にテレビで観た感じでは、まあ味スタやエコパには程遠いが一応はグルっと観客席で囲まれた2万人程度のスタジアム、という印象だった。どうやら当時はゴール裏は仮設スタンドを組んでいたんだな。まあそのドッグラン的ゴール裏のおかげで、スタジアムの外の柵越しにも試合の雰囲気が十分味わえそうだ。ちょうどあと数分で試合開始のようなので待ってみた。

ちなみにこのスタジアムが建っている場所はかつての鵜住居小学校と釜石東中学校があった場所だ。共に津波で被害を受けたので現在は少し離れた場所に移転していて、今は避難場所になっているようだ。

そういや駐車場の傍で何とも可愛らしいチワワちゃんに出会った。

やがて試合が始まった。

一個上のDivisionのリコー相手だけに、開始早々に2トライを奪われたシーウェイブスだった。黒装束のブラックラムズがまさにオールブラックスに見えたほどだった。ラグビーはまぐれ勝ちがほとんど無く、ほぼ実力通りの結果になるのが何ともドライなところだ。今回も負けはしたが、東北の希望の星として頑張り続けて欲しい。この試合結果はこちら

さも全てを観たような感じで書いたが、実は開始10分程度で雰囲気も味わえたところで鵜住居を後にしていた。

次に向かったのは道の駅やまだだ。何かテイクアウトでもして食おうかと思ったが、激込みで昼食は何も買えなかった。

次に到着したのは道の駅みやこだ。ここもテイクアウトにロクなものが見当たらず、レストランもかなりの行列であったのですぐに断念した。

ちなみにここも震災の時はかなりの高さまで津波が押し寄せたようだ。

かつて先代犬と訪れた際に、街中の寿司屋でやたらと美味い折をテイクアウトした記憶が蘇り、グーグルマップで検索して良さそげな店を見つけたので行ってみた。

宮古の市街には震災にも耐えたと思しき古い街角も残っていた。かつて訪れたままの雰囲気が残っていることが嬉しかった。

お目当ての「若尾寿司」さんはテイクアウト専門の店で店も閉まる直前だったのだが、なんとか二人前をゲット出来た。

テイクアウト寿司を、ちょっと走ったところの公園の駐車場で頂いた。全てのネタが実に美味かった。特にタコが相変わらず柔らかくて美味い。また、ウニやイクラが軍艦ではなく銀紙のカップに入っていたのが珍しかった。三陸の魚介はやはり格別だ。

無事に腹も膨れた後で向かったのは、震災報道で何度も目に耳にしていた田老地区だ。

ここの道の駅にはドッグランがあるとのことなのでキョロキョロと探したのだが、メインの駐車場の傍には全く見当たらない。

駐車場からしばらく歩いた最果ての地にようやく見つけた。ここを目指すには道の駅の駐車場ではなくここの前までクルマで来るのが賢明だと知らなかった。

全く走ろうとしないので早々に切り上げ、ここに来たメインの目的地へと移動した。

道の駅から歩いて5分くらいのところにある震災遺構「たろう観光ホテル」だ。

津波で1階から3階まで破壊されている。

当時世界最大の防潮堤があった海の方向には、新しい巨大な防潮堤が建っていた。

本当に駆け足となってしまったが、今回の震災遺構巡りはこれにて終了した。ほんの少しわずかしか触れていないが、教訓はかなり頂いたと思う。それは確実に活かさないといけない。

予定としてはこの後で久慈を越えて大野あたりまで行こうと思っていたのだが、この時点で既に16時を過ぎてしまった。断念して今日のねぐらへと向かうことにした。

到着したのは「道の駅たのはた」だ。

着く直前まで何やら祭りイベントが開催されていたようで、弥生さんこと渡辺えりさんも来ていたらしい。昨日だったら落ち着かなかっただろうが、祭りの後の静けさでちょうど良かった。2021年にリニューアルしたとのことで、キレイで落ち着きそうな駅だ。メインより一段低い位置にいい場所も見つけられた。

今宵は、途中の道の駅やまだで買った本マグロ刺しとさんま寿司をメインに、道の駅釜石千人峠で出発前に買ったウニおにぎりを添えたメニューだ。

それに合わせるは、道の駅ふくしまで買った福島市唯一の酒蔵の金水晶純米だ。ものすごいスッキリとした味わいで、水のようにクイクイと喉の奥に消えてゆく危険な酒だ。実に爽やかで美味い。

本マグロも当然美味く、サンマも脂が乗って素晴らしかった。今や不漁で高級魚なのに500円で味わえるとは。ウニおにぎりも、皆こぞって開店と同時に群がっていただけあって美味すぎる。

男子バレーの最終戦の時間は酔っぱらってうたた寝していたが、ブレイブブロッサムズの大一番が始まると奥さんに叩き起こされた。

酔って濁った眼をこすりながら声援を送ったが、残念ながらグループリーグ敗退となった。4年後はおそらくリーチや堀江、稲垣などのベテランから入れ替わったメンバーになるだろうが、新たな勢力に期待したい。

今回の旅で今のところ最も静かそうな夜なので、性懲りも無く屋根裏で寝てみよう。

今回の走行距離:

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