2月13日(火)
「道の駅瀬戸しなの」の朝が来た。
目の前の通りの音はまあするが、眠れた。
今朝もガツンと冷え込んでいたが、昼間は15℃くらいになるらしい。また、明後日の木曜は朝から晩まで小雨というイヤな予報が出ている。どうなることやら。
今朝は、昨日の夕方ここの物販で半額でせしめた枝豆チーズナンを頂いた。
ナンというよりはパンだったが、半額ということを思えば最高に美味い。
さて今日は優雅な一日となる予定だ。
お世話になった道の駅瀬戸しなのを出発して先ずやって来たのは、「瀬戸市民公園」だ。
野球場、体育館、プール、テニスコートに陸上競技場と何でもござれの広い運動公園である。先ずはここで思いっ切り散歩だ。
気持ちの良い遊歩道が続く。
陸上競技場の周りは何やらワイルドな山道っぽいので行ってみる。
未舗装でけっこうアップダウンのある道だった。
陸上競技場のフィールドではどこかのサッカーチームが練習中だった。
やがてまた歩きやすい道になった。
サッカーチームの練習が終わったようでゾロゾロと出てきた。平日の午前中に練習しているくらいだからどこかの大学生だろうか。その中の旗手怜央的なパーマ頭の青年とふと目があった瞬間、「ちわー!」と挨拶されてビックリ。なんて礼儀正しい。うちの近所の小学生に見習わせたい。
たっぷりと散歩をしてさあ次へと出発した途端、ブレアがまさかのリバース。おいおい、どーした。旅の疲れが出たかな?
気を取り直して昼飯のため西へと走り出した。
やがて名古屋へと入った。
本日は、関のうなぎに続いて大奮発してこの旅二食目のA級グルメを頂きに行くのだ。
幹線道路から住宅街に入り、横浜の街のような強烈な細い坂道を登ったところにその店はあった。
「八勝」さんだ。今日こちらで頂くのは、ひつまぶしだ。うー、楽しみ。
予約の少し前に駐車場へ着き、留守番のエルブレのために窓に日除けを設置したりしていると、老夫婦から声をかけられた。来た時からその二人は道に立っていて、右を見たり左を見たりしてウロウロしていた。何してんだろ?と思いきや、今日はお招きしたお客様を待っているとのことだった。コンパスの造りについてちょっと説明した後、「東京から来てるの?これで今までどこまで行った?え!?鹿児島!?北海道も!!??えー、すごい」と感心しきり。「で、どうやってこの店を知ったの?」と聞くので「グーグルマップでいい点ついてるところで選びました」と答えると、「ほら!最近はやっぱりそうなのよ!」とご夫婦で妙に納得されていた。で、色々話していると、このご夫婦のお嬢様がこちらの店に嫁いだ女将だと言うので驚いた。その旦那様がこの店の大将だが、かの名店「あつた蓬莱軒」で修行を積まれた方だそうな。で、「ひつまぶしってのの食べ方は、一杯目はそのまま、二杯目に薬味をかけて、、、、」と奥様の講義が始まったところで予約の時間となったので丁重に失礼して店へと入った。
当然のようにひつまぶしを二個注文して、期待に胸を膨らませながらしばし待つ。先ほどのご夫婦も無事お客様がみえたようで、揃って奥の小上がりへと入って行った。
このひつまぶし、2016年のリオ五輪真っ只中のクソ暑い時に奥さんと名古屋で初めて食って感動したのだが、その時どこの店で食ったのか全く憶えていない。
そんなことを考えながら待っていると、ついにご対面の時がやって来た。
多面体の器にこれでもか!とぎっしり詰め込まれた鰻を見た瞬間、口の中がヨダレで溢れた。
先ほど奥様にも教わった作法に従い、一杯目はそのまま頂く。うーーん、パリっとした食感がたまらない。
二杯目は薬味をかけて頂く。ネギや海苔の風味が濃いタレの味に実にマッチする。特にワサビが合うなあ。
もうたまらん。すぐに平らげて三杯目の出汁かけに突入して、シャクシャクと一気にかっこむ。鰻の味が薄まってダメだという意見も多いみたいだが、この食べ方、かなり好きだ。
打者一巡して再び一杯目の食べ方に戻り、二杯目、そして再び出汁かけに戻った。やはり、この3番バッターが美味いなあ。難点は、ともすると噛まずに飲んでしまうことだ。意識して咀嚼しないと、完全なる飲み物と化してしまうから要注意だ。
いやー、最高。ペロリと平らげて、しばしお茶を飲んでまったりする。またこの出してくれるお茶が美味いのだ。苦みと甘みの絶妙のブレンドだ。
お、現中日打撃コーチの和田一浩さんのサインではないか。こちらが行きつけなのだろうか。
いやー美味かったと駐車場へ戻ると、エルブレが出迎えてくれた。
店を後にし、いざ名古屋の中心部へ向けて南下開始だ。
久々の大都会、久々の片側三車線に軽くビビリながら走る。モタモタしてるとすぐにアオラーが背後につくし、黄色車線お構いなしでの車線変更&割り込みと眠くなるヒマが無いほど賑やかだ。
そんななか辿り着いたのは、
「熱田神宮」だ。またまた家族を代表してお参りに行く。
思っていたよりもずっと広大だ。
木の下に何か動いていた。
この子たちも神の使いなのだろうか。
時は1560年、若き織田信長が「清須城」を飛び出てここで先勝祈願をした後、世紀の一戦に挑んだという。
身の引き締まる思いで、旅の安全を祈願した。
御朱印を頂き、熱田さんを後にした。
お次は、ヤング信長と同じルートを辿って「世紀の番狂わせ」の舞台へと行ってみたい。
30分ほど走ってその辺りに着いたと思うのだが、お目当ての観光案内所がどこだかわからず通り過ぎてしまった。住宅街で切り返して戻ってよく見るとあったあった。
「桶狭間古戦場観光案内所」だ。
どうりで通り過ぎるはずだ。アパートの一室だもの。なんか町議会議員の選挙事務所みたいだし。
駐車場も3台くらいしか停められない。
案内所を覗いてみると気の好さそうなおばあちゃんが二人でやっていた。古戦場跡の場所を聞いて犬も歩けることを確認し、「案内ビデオ先ず観ますか」というオファーを丁重に断っていざ出発。
古戦場ってくらいだから関ヶ原みたいなのを想像していたが、周囲は狭い住宅街だった。細い歩道をてくてく歩き、やがて看板が見えてきた。
通りからすぐのところに「桶狭間古戦場公園」はあった。
世紀の番狂わせがここで起きた、、、、とはとても想像がつかない地だった。周りは新しめの住宅が並び、すぐ隣にはホームセンターのDCMがある。
あまりにもこじんまりしたそこは、ごく普通の児童公園だった。
「センゴク外伝 桶狭間戦記」などでも、もっと山というか勾配のある地で、信長軍は坂の下から坂上の今川本陣を急襲して見事番狂わせ、という描かれ方をしている。本当にこんな平坦な土地が舞台だったのか。大規模整地工事の末、現在の住宅地なったのだろうか。
札幌の時計台ほどではないが、若干の拍子抜けは否めない。
児童公園とは逆の方は「桶狭間の戦いゾーン」で、当時の布陣のジオラマの形になっているというなかなか凝った造りをしている。
戦いの重要な拠点となる砦や城などの配置が実際にビジュアルで確かめることが出来るのだ。
最後に主役のお二人に別れを告げ、桶狭間を後にした。
今日の最終目的地はまだちょっと先なので、無理をせずに高速に乗ることにした。
南知多道路でひたすら南下し、
南知多ICで下りてちょっと走ると、目的地に到着した。
今宵お世話になるのは海岸沿いに建つ「内海温泉 いち豆」さん、
の、駐車場である。
この旅初の湯YOUパーク泊となる。1泊2,200円で電源・ゴミ込みとお得だ。
サブバッテリーの残量を一切気にしなくて良い幸せ。
着いてすぐに、「なんかくれ」とばかりに猫が寄ってきた。
しかも一匹ではなく、
確認出来ただけでも9匹は居た。こりゃ参った。猫大好きのエルブレが知ったら、大騒ぎだ。
目の前の伊勢湾に夕陽が沈んでいく。
セントレアが近いせいか、けっこう飛行機が飛んでいる。
さて今日の夕食はどうしよう。この近くでどこかいい店は無いかと検索したが、ラーメン屋が多く居酒屋なんかは20分くらい歩くようなところしか無い。宿のすぐ隣にカフェバーがあるようだが、サーファーのたまり場的な雰囲気バリバリでちょっと芸風が違う。ボトルのままのコロナビールとかピニャコラーダって気分じゃないだよな。
遠くても歩くしかねーかー、と諦めかけた瞬間、あれ?赤ちょうちんが見えるな。
立派な居酒屋だ。ガラガラっと中を覗くと感じのいい女将さんが「どうぞー!」と声をかけてくれた。「ここ、グーグルマップに出てこなかったんだけど」と言うと「載せてないの」と。どうりで検索しても出てこなかったわけだ。風呂入って後から来ますと言い残して一旦引き上げた。
風呂は800円のところ、くるま旅クラブのクーポンを使えばひとり600円で入れる。だがここで想定外の出来事が待っていた。受付の時に「お風呂は5階デス」と東南アジア出身と思しきスタッフの女性が教えてくれた最上階の展望風呂というのがどうやら沸かし湯らしいのだ。温泉ってのはどこ行ったんだ?とフロア案内を見ると、1階に貸し切り天然温泉というのがあるじゃないか。スタッフ嬢に「1階のも入っていいの?」と聞くと、別料金でひとり1,650円だと言うではないか。
湯YOUパークのページにも、「展望風呂からは伊勢湾が一望!」と最初に書きつつも写真は貸し切り温泉の方を使用している。確かに写真の下には展望風呂とは書いていないが、ミスリードとも言えるような気がする。
オフィシャルサイトの温泉のページはもっと誤解を招く作りだ。「温泉」という文字が出た写真は、沸かしの展望風呂の方だ。これで5階が沸かし湯だとわかる人は天才的な頭脳の持ち主だけじゃないかね。
非常にモヤっとした気分を引きずりつつ5階の展望風呂へと入った。沸かし湯だが他の客はおらず貸し切りだった。曇った窓の向こうは伊勢湾サンセットのオレンジ色がぼんやりと見える。うーん、これはこれで最高。モヤリ気は解消され、サッパリした。ちなみにシャンプーバーと称して、数多くのシャンプー類が棚に置かれていた。迷った挙句、メンズビオレのボディソープとどっかのスカルプシャンプーを拝借した。
風呂上りで外に出ると、サンセットタイムは終わって今度はキレイな月がヤシの木の間に浮かんでいた。まるで永井博さんの描く80年代のアルバムジャケットのようではないか。脳内では、オメガトライブや松岡直也の軽快なサウンドが流れては消えた。
しばしゴールドスターで喉の渇きを癒す。
奥さんが風呂から戻ったので、「女将、約束通り来たぜ」と「つるや」さんの暖簾をくぐる。
先ずはハイボールとウーロン茶で乾杯だ。
なんでも、いち豆の湯YOUパークに泊まる車中泊erはたまに店に来るらしい。他に近くに適当なところが無いから、と。
さてツマミは何を頼もうか。メニューを見るとどれも美味そうだ。
先ずはしらすおろしあたりから攻めようか。ここいらでもしらすは名産なのか、ふくふくとしていて美味かった。
ハイボールとおつまみ3点セットの方がお得ですヨ、と娘さんっぽいお姉さんからオススメされたので頼んでみた。ミソ煮込みはこの旅二度目。ソウルフードだろうから、この辺の呑兵衛にとってもおそらく基本中の基本か。
お次はトロタクだ。クリーミーなマグロとカリカリ沢庵を香ばしい海苔で巻いてパクっと食うと、酒が進む。
さらにイカと野菜の炒め物をオーダー。パキョパキョ食感のイカに甘いタマネギのハーモニーがたまらない。
日本酒が飲みたくなって冷酒を頼むと、出てきたのが「国盛」の吟醸生貯蔵酒だった。いつも本醸造だけに、たまに飲む吟醸は高級な味でクイクイ行ってしまう。
締めはバンカレイの煮つけを頼んだ。ホクホクしていいお味だった。
結局頼まなかったがお姉さんに「おでんもありますヨ」と言われ、「お、名古屋風ですか?」と聞くと「名古屋も関東も両方あります」と返ってきた時だ。それを聞いていたご常連風のとっぽいオヤジさんが「何?名古屋風って」と言う。最初意味がわからなかった。ここって名古屋のすぐ下なのにまさか知らないの?と。お姉さんが「味噌のおでんよ」と答えるとそのオヤジさんは、「えーー!?味噌のおでん!?きもちわりぃーー!!!」と驚愕のリアクション。名古屋と知多ではそんなに文化が違うのか。まるでケンミンショーを観ているような気分だった。日本は広い。
冷酒ですっかり酔っぱらって気持ちよく店を後にした。酒飲みの神様、吉田類先生ならば、後ろ手を組みつつ一句かましながら去るところだ。
酔いが少し醒めたところで締めの風呂にザブンと入り、玉子焼きの残りをツマミに二次会してからポカポカで寝た。あーー、電気があるって素晴らしい。
本日の走行距離:88km