この秋冬はのんびりと治療に専念しよう

9月25日に悪性のイボ周りをがっつりと切除したエルだが、手術直後はグッタリとして食欲もゼロでどうなることやらと思ったが、すぐに食欲も戻り元気になった。抜糸までは激しい運動は控えるようにと言われていたが、最近ではそんな生活にも飽きてきたようでちょっと目を離すと朝っぱらからブレアと家の中を走り回るようになり、なだめすかすのに一苦労となっていた。

昨日、ようやく20日経過したので、抜糸をしてもらいに病院へ行って来た。

病院へは歩いて45分ほどかかるが、途中狭い道をクルマやらチャリンコやらがお構いなしに通過する。そんな無法地帯を歩かせるにはあまりにも自由奔放に右へ左へと逸れるエルさんなので、いつもエルブレ1号(カート)に乗せて連れて行く。

平日の午前中にもかかわらず、相変わらず病院は患者でごった返していた。

笑顔ではなく恐怖の表情

ブレアも今日は付き添いではなくしっかりと診察してもらうので、呼ばれる遥か前から震えながらハァハァしていた。診察といっても、爪切りと肛門腺搾りだけなんだけど。

しばらくしてウチの順番となり、手術結果について主治医から説明があった。

切除片からは悪いモノは見つからなかったとのことでとりあえず安心した。だが取ったモノの全てを検査したわけではなく何か所かに分けてのチェックなので、調べていない部分に悪いのが隠れていないという保証は無いそうだ。もしそれで何かあったら、ツイていなかったと諦めるしか無いのであろう。昔SHŌGUNってバンドが「運が悪けーりゃ死ぬだけさー♪」と歌っていたが、結局のところ犬生も人生も突き詰めりゃそういうことだ。SHŌGUNといえば、なんか賞を獲った真田広之の「SHOGUN」ってのはちょっと観てみたい。一報を聞いた時は、どーせ米国人が好きそうなショーコスギ系のチャンバラNINJAアクションとばかり思ったが、めちゃくちゃディテールにこだわった作品だそうな。

エルの件に戻るが、手術して「ハイ、終わり」とは行かず、術後のケアや処置がやはり必要とのことだった。

先ずは恐怖の「転移」していないかの検査だ。近々では今月末に一か月検診がやってくる。その後は3か月、半年、1年、2年と間隔が開くが続く。

さらに、転移を予防すべく様々なメニューが用意されている。もちろん、特に何もしない、という選択肢もあるが、転移があってからではもう遅い。そうすると何を選ぶかだが、いくら効き目があるといっても副作用に下痢や嘔吐があるものは避けたい。最初の北海道旅の後でエキノコックス対策で虫下しを飲ませたら、ブレアは平ちゃらなのにエルはあっという間にオエーー!っと戻し、その後しばらく食欲不振に陥った苦い経験があるのだ。胃腸に関してはエルはけっこう弱いだけに、それ系の副作用は避けたい。

主治医のオススメは、2.のブレオマイシンという注射を2週間に1度行い、かつ、5.のピロキシカムという薬を2日に1回飲ませる、というコースらしい。これを4か月続けて様子を見て、何事も無ければ晴れて「寛解」と言われることになるのか。

2.のブレオマイシンはもちろん人間も使用する薬で、皮膚がんや悪性リンパ腫、子宮頸がんなどに効果があるらしい。

5.のピロキシカムは、消炎鎮痛薬だが、自己免疫を高める効果もあるらしい。この併せ技で何とか癌から一本勝ちを奪いたいものだ。

抜糸も無事終わった。徐々に毛も生えてきて、どこが傷口か早くもわからなくなってきている。

病院を出て、帰り道はおそらくエルにとっても晴れ晴れとした散歩となったであろう。

とりあえず今日はお祝いだと、帰宅して昼から美味い酒を頂いた。

夜のご飯にはピロキシカム(粉薬)を飲ませたが、恐れていた嘔吐も下痢も今のところ無く、この併せ技治療はとりあえず悪影響は無いようで安心した。

さて、エルのこれからの治療計画が決まったと同時に、この秋冬のクルマ旅計画は白紙に戻った。2週間に1度の注射通院があるので、長期旅は出来なくなった。とりあえず春まではエルの体調を第一優先とし、様子を見てスポット的にせいぜい4,5泊程度の旅に行ければ御の字だろう。

春には「寛解宣言」をして、九州あたりにでも行ければ最高だ。

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