2025 晩秋の四国九州旅 十五日目 クリスチャンでも無いのに何故こんなにも長崎の教会はグっとくるのか

11月24日(月・振休)

奈良尾地区総合運動公園駐車場の朝が来た。

完全なる無音な夜で、よく眠れた。おそらくこれまでで最も静かな宿場だろうと思う。素晴らしい。

今朝の気温は13℃近くもある。

ついに西の果てまでやって来ただけあって、

夜が明けるのが遅いのなんのって。

朝食は、昨日のテイクアウト丼のゴハン部分の残りに、「ナイスデイ」さんのパンとインスタントのタマネギスープを頂く。見た目だけがクロワッサン風のパンは自家製を謳っているだけあって中々美味かった。

いつものように食後のコーヒーを啜っていると、地元のクルマが何台も来ては野球少年を降ろし、少年たちは一目散にグラウンドの方へと駆けて行く。

しばらくしてトイレに行くと、後から走って来た少年二人とバッタリと遭遇した。目もバッチリ合ってしまっているので、「こんにちは」と声をかけると、

「こんにちはーー!」とでっかい声が重音で返って来た。その後も二人は用を足しながらも笑顔を完全にワタシに向け、キラキラとした濁りの全く無い目で何か言いたげに見てくる。こんなショボくれた余所者のジジイがよほど物珍しいのかもしれない。

「今日は、試合ですか?」と聞くと、「練習です!!」とまたもやでっかい声が重音で返ってくる。元気一杯としか言いようがない少年たちが、あまりにも清々しかった。うちの近所の挨拶もロクにしないヒネたガキ共とは雲泥の差だ。

さて、今日はいよいよこの祈りの島に点在する教会を巡礼する。ただ、あまりにも数が多いし、中にはクルマ一台通るのがやっとというハードな道もあるらしいので、エルブレに負担をかけない範囲で周りたい。

最後に観音様にお礼を言い、

いざ、巡礼スタートだ。

とは言っても、いきなり教会巡りから始めてコンパス内留守番だとまたエルが拗ねるので、

先ずは国道384号から県道46号に入り、五島では4番目に大きいというお隣の若松島を目指す。

1991年に開通したという若松大橋を渡り、

ちょっと行ったところにある「潮の香薫る公園」へと来てみた。

お、展望台があるみたいだ。

「いってみよー♪」

階段を下りて行くと、

ちょっとした広場になっていた。

海には無人島の下中島が浮かんでいた。

さらに下の海沿いの遊歩道が良いらしいのだが、

なんかワイルドそうな道だ。

けっこうしんどそうなので、別なところに行こっか。。

まるで満足出来ていないエルのために次にやって来たのは、

「若松みなと公園」だ。

我らが九州商船とは別の「五島旅客船」なる船で福江や奈留とここ若松を含む中通島の3港を行き来しているようだ。

振替休日だというのに公園も港もほとんど人が居なかった。

あまりにもゆったりとした時間が流れていた。

こんなところに住んで、ただただぼーっとしていたい。

公園も好きだがこういうのんびりした町や集落を散歩するのも好きなエルなのだ。

何やらあっちの家の方から「ワンワンワン!!」と呼ばれた。よーく見ると、

外飼いのボーダーコリー??

若松港をのんびりと散歩してエルを満足させたところで、いよいよ巡礼スタートだ。

今回最初の教会は、若松港からちょっと南下したところにある、

土井ノ浦教会」だ。

外観が白い教会で、

ステンドグラスが美しかった。

今回五島の教会を巡る際に色々とネットで検索し、五島巡礼手帳なるものを見つけた。要するに各教会に設置されたスタンプを押すスタンプ帳で、こりゃ記念にいいなと発行元のNPO法人に電話したのだが、「ああ、あれもう止めたんです」となんともツレない返事だった。

それならばと、

無印良品で適当なのを買ってきて自前の巡礼手帳とした。

失礼します、と教会内部にお邪魔して、異教徒ですがと手を合わせ、

スタンプを頂いてから心ばかりの寄付をチャリンと箱に入れて一つ目の巡礼を終えた。

ちなみに、

船で海からしかアクセスすることができない「キリシタン洞窟」のスタンプも置いていた。

これにて若松島を後にし、舞台は再び中通島へと移る。

次に訪れた先は、

赤い三角屋根がトレードマークだという、「高井旅教会」だ。

ここでも脱帽の上で中に失礼し、ささやかなお祈りを捧げ、

わずかばかりの寄付の後、スタンプを頂いた。教会によっては置いてあるスタンプ台のインクの残量がマチマチで、ここのはちょっと少なかったのか上手く押せなかった。

次に向かったのはすぐ先にある、

福見教会」だ。

大正2年に完成したという赤レンガ造りの建物に、石垣。やはりこの手の建物はグっとくる。

そろそろ腹が減って来たので昼飯にしたいところだが、その前にエルをもういっちょ散歩させといた方が良さそうだ。しかしながらこれといった公園が見当たらないので、

苦肉の策で奈良尾フェリーターミナルにやって来た。

広いデッキもあって、思いのほかのんびりと歩けた。こんなんでもいい気晴らしになってくれたようだった。

散歩の後、昼飯にやって来たのは、

昨日もテイクアウトでお世話になった「五島うどん ならお」さんだ。入るなり、昨日のお母さんが「えーと、、○○さん?」と名前で呼んでくれてすっかり顔見知りになってしまった。

それだけでなく、「昨夜はどこに泊まったの?」「星は見た?」と話がなかなか尽きない。この分では、もう既に島中にうちらの名前が伝わっているのでは?と思った。

さて、お初の五島うどんだが、何にしようか?

天ざるうどん

特製うどん

奥さんは天ざる、ワタシは色々な具が入っているという特製うどんにした。お初の五島うどんはあご出汁が効いていて、細い麺は意外にもコシがけっこうあってツルツルと美味い。天ぷらは若干フリッター風だが、具が美味いので問題ない。

やがて続々と客が入ってきてはけっこう皆さん、かけうどんにいなり寿司を付けていた。五島うどんはかけで食うのが正統派なのだろうか。

うどんランチの後は、

昨日に引き続き「奈良尾温泉センター」にひとっ風呂浴びに来た。まだ真っ昼間なせいか、狙い通りの独泉だった。いやー、最高。頼むから末永く存続して欲しい。もしもここが潰れたら、二度と中通島に来れなくなってしまうから。

サッパリしてコンパスへと戻ると、エルがハァハァとストレスMAXな状態だった。どうしたのかと思ったら、どうやら蠅が二匹車内に入り込んでいたようだ。備え付けのハエたたきで退治し、

さぁ、ここから後半戦の開始だ。奈良尾に別れを告げて国道384号を北上し、

やって来たのは「若松大浦教会」だ。

これまでいくつもの教会を見てきたが、

ここまでレトロでひっそりとした教会は無かったかもしれない。全てが昭和で時が止まっていた。

建物も古いが、インクも少々古かったようだ。

お次は、美しい入り江に建つ、

中ノ浦教会」へとやって来た。

入り江も美しいが、こちらの教会もとにかく美しかった。

先ほどの若松大浦教会の直後の訪問のせいか、全てが洗練されているように見えてしまった。内部も神父様の立たれるところにマイクが設置されていたりと、”大手感”があった。

教会外部見学→教会内部へお邪魔→献金→スタンプ、と一連の流れを終え、

美しい入り江に別れを告げ、次にやって来たのは、

案内に従って右に入ると「こんなん行っても大丈夫??」と思うくらいの細道になったが、

奥へ進むと無事に広くなり駐車場も完備されていた「真手ノ浦教会」だ。

ここは平成20年に建て替えられたというだけあって、かなりキレイな教会だった。

スタンプの横に”ご自由にどうぞ”の名刺大のカードが置かれていた。

さてここいらで教会巡りは一旦中断し、夕食の調達に行かねばならない。

国道384号を北上し、

五島を代表する?スーパー「エレナ」の上五島店にやって来た。

店の周りは完全に町で、離島に居る感じではなかった。この店も屋上にも駐車場があるし、

値段も東京のスーパーとさほど変わらない。こりゃー暮らしやすそうだわ。

夕食を買い込んだ後は、

県道170号を北上する。

やがて奈摩湾沿いの道となり、

お、あれは、、

見えてきた。

到着したのは、

青砂ケ浦天主堂」だ。

教会ではなく”天主堂”、しかもそれが漢字で建物に掲げられていると、なぜかグっときてしまう。教会よりもワンランク上な感じに思えてしまうのは失礼なことなのだろうか。

明治43年に建てられた赤レンガの建物は貫禄十分だ。

五島に数ある教会の中で、今回最も訪れてみたかったのがここだ。

旅の師と仰ぐ車寅次郎の男はつらいよ第35作「寅次郎恋愛塾」の舞台がここなのだ。テキ屋の相方ポンシュウと共にこの島にやって来た寅さんが、この教会の信徒でもあるおばあちゃんが道端で倒れたのを世話してやると彼女の家に招待される。宴席まで設けてもらって楽しくやっているとその晩おばあちゃんは急死してしまう。おばあちゃんの葬式の時に手伝いで外で墓穴を掘っていると美しい孫娘(樋口可南子)が東京から帰ってきてバッタリ出会う。後はいつものパターン、というストーリーだ。

おばあちゃんの家は貧しそうな漁村のひとつみたいな感じだったが、あの辺だろうと思われるエリアはちょっと雰囲気が変わってしまっている。

寅さんとポンシュウが汗だくになって掘っていたあたりは、すっかりコンクリで固められている。

ほかの教会でも割とそうだったが、ここも鐘の上の十字架の上にはカラスが止まっていた。神の使いの門番なのだろうか。

念願の場所にようやく来られて感無量だった。

さてもうそろそろ日も暮れる。本日の宿場へと向かおう。

県道32号をぐんぐん北上し、

県道からジャングルの中の細道になり、

海が見えてきて、ようやく着いたのが、

キャンプ場に併設された「RVパークsmart 新魚目ふれ愛らんど」だ。

ここは中通島唯一のRVパークでキャパは2台。先客のキャブコンはなんと同じく東京のナンバーだった。こんな西の果てで東京が2台とは。ご挨拶に行くと感じの良いご夫婦で、これまた同じく既にリタイヤマンだという。今回は東京から神戸まで陸送で、神戸から新門司までフェリー、新門司から長崎へ走ってフェリーで福江に渡り、奈留を経て昨日ここへやって来たとのこと。かなりののんびりツアーのようで羨ましい限りだ。「奈留も行きたかったんですが、島で唯一車中泊出来そうなキャンプ場が犬NGなので今回断念したんですよ」と話すと、ご夫婦は奈留では民宿に泊まられたらしい。第二の人生を謳歌されているご様子なのが、車体に貼られた数多くのステッカーでわかる。礼文島のものまであったし。

最近老化のせいか話がついつい長引いて相手に迷惑をかけてしまいがちなので、適当なところで切り上げて場内の探索へと移る。

と、その時、

広場の果てのフェンスの向こうを真っ黒い3つの物体が猛スピードで左から右へ「ガサガサガサ!!!」と疾走して行った。突然のことで写真も動画も撮れなかったが、あれはどう見てもイノシシだ。一緒に眺めていたエルブレは、大興奮だ。ここまで匂いもするのか、気になって気になって仕方がない。

いいから散歩に行きましょとキャンプ場内に誘うが、

さっきイノシシが通過した付近が気になって散歩どころじゃない。

昼間の蠅事件のことなどすっかり忘れて夢中で捜索するエルだった。それだけはイノシシのお手柄だ。

さて今宵のメニューは、

エレナで買ったキビナ&ヒラスの刺身に、

芝エビ唐揚げに、

サラダというラインナップだ。

合わせる酒は、

諫早の杵の川純米「純忠」だ。昨日の杵の川樽酒とは真逆の味で、しっかりした男の酒だった。

さて今回RVパークを取った理由は、昨日やったJ2今治vs札幌戦と、今日のAmazon Primeのボクシングを電源を気にすることなく観戦するためだ。

先ずはサッカーから観始めたが、酔いと試合のあまりのつまらなさに途中完全に寝落ちしてしまった。目が覚めてからはボクシングに移行したが、前座の試合たちを観ていたらまた眠くなってきてもうギブアップ。メインイベントは明日の朝にして寝ることにした。

せっかく金で買った静かな場所なのに夜中から風が強まるらしいので、渋々中寝だ。

本日の走行距離:72km

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