終の一台

毎日のように報道される年寄りドライバーによる「高速逆走」や「児童の列や店舗への暴走突っ込み」事故のニュースを観る度に、「いったい自分は幾つまでまともに運転出来るんだろう」と思ってしまう。

何となくだが65くらいまでは大丈夫なんじゃないかと思うのだが、70とか75になってもきちんと状況を判断してしっかり運転出来るかあまり自信が無い。それ以前に短命家系の出なので、そこまで生きているかどうかもそもそも自信が無い。

そうなると、今のコンパスをあと8年かそこらまで乗るとして、その次に選ぶであろうクルマが「終の一台」となる可能性が高いかもしれない。さて、その一台に何を選ぼうか。最後は憧れのフェラーリやランボルギーニ、はたまたポルシェかベンツという人もきっと多いだろう。

私はと言うと、最近は無性にMT車が気になる。

サラリーマンになって最初に手に入れたクルマは、当時の上司から5万で譲ってもらったニッサンマーチのMT車だった。

記念すべき最初の一台

当時は若いくせにMTがとにかくめんどくさくて、早くオートマのクルマが欲しくて仕方がなかった。交差点などでは2速に落としてウィンカーを出して左右確認してとやることが多いし、渋滞や坂道などでもとにかく大変な思い出しか無い。

それなのに、オートマに乗り替えてから今日まで楽してきたが、60を前にして原点回帰じゃないが無性にMT車が恋しくなってきたのだ。人間、年を取ると生まれた故郷に戻りたくなるのと同じなのだろうか。

それに「おぎやはぎの愛車遍歴」でつい最近も竹岡さんが言っていたように、高齢者こそMTに乗るべきだ、という意見もある。年寄りお得意の「アクセル・ブレーキ踏み間違いによるロケットスタート」も無くなると。たしかにMTでロケットスタートするには、「ワイルドスピード」のドミニクやブライアンたちのような高度なテクニックが必要で年寄りにはそもそもそんな素早い動き自体無理だし、慌ててもせいぜいエンストして停まるだけであんな痛ましい事故は起きそうにない。その代わり、交差点でエンストして訳がわからなくなって大渋滞を引き起こすことは多々ありそうだが。

さらにMTはオートマのようにボーっと考え事をしているヒマが無く、常に両手両足を動かしていないといけないのでそれも年寄りには良いらしい。昔のに比べるとマツダなどの最近のMTは、坂道発進でも2秒くらい停まっていてくれたりして優しくなっているらしいし。

そう聞くとMTにはいいことしかないように思えてくるが、いくらMTで免許を取った身としても、かれこれ30年乗っていないので少しでも早く勘を取り戻す必要があるだろう。そう考えると遅くとも65くらいじゃないと対応出来そうにないか。

現状での「終の一台」候補を挙げるとすると、マツダロードスターの3代目、同じくマツダデミオor2のディーゼル、スズキスイフトスポーツ、アルトワークスといった軽くて小さくキビキビ走る連中にしたい。ただ、はたしてその頃がまだ化石燃料車に乗れる世の中なのかどうか。

マツダロードスター
マツダ2
アルトワークス

もうEVしかダメよ、という世がいよいよ近づいてくるのであれば、「最後のMT車作戦」を少し早めなければいけないのかもしれない。