昨年の10月からBSテレ東で「男はつらいよ」全50作毎週放送というのをやっていて、毎週せっせとレコーダーに録り貯めしている。
若い頃は、「寅さんなんてダサくて観てらんねーよ」と思っていたものだが、このトシになるとこのシリーズの良さが身に染みてわかってきた。さしずめ演歌のようなものか。これまではたまにテレビで放送したものを観る程度の歯抜け状態だったので、いつか通しで観てコンプリートしたいと漠然と思っていたところにこの有難い企画が始まった。金は無いがヒマだけは売るほどある退職者にうってつけのアクティビティだろう。
年が明けてけっこう録画が溜まってきたのでようやく観始めた。
1969年のシリーズ第二作「続男はつらいよ」だ。この企画に気づいた時にはこの二作目の週だったので録画はここからスタートしたが、この前の一作目はAmazonプライムでクリア済みだった。
寅さんといえばケースひとつで日本全国を軽やかに周る旅の達人で、シニア車中泊erにとっても憧れの存在ではないだろうか。今後、このシリーズのロケ地を巡るのが退職者向けの「聖地巡礼」かもしれない。ちなみにこの作品は葛飾シーンがほとんどで、地方は京都が少し出てくる程度だった。
旅シーン以外でのこのシリーズでの楽しみのひとつにマドンナの存在がある。往年の大女優たちの若かりし頃の美しいお姿が眩しい。寅さんが毎回コロっと惚れるのもわかる。
今作のマドンナは佐藤オリエさん。私としては今まで馴染みがなく観てこなかった女優さんだった。
女優さんだけではなく男優さんもピチピチの若い姿が観れるのも古い映画の良いところだろう。
今回は山崎努さんに驚いた。こんなにアクの無い青年役をやっている彼を見たことが今まで無かったからだ。山崎さんといえば、私の中では必殺仕置人の「念仏の鉄」か、タンポポのゴローが思い浮かぶ。ルーズヴェルトゲームの青島会長も渋かった。
もっと驚いたのはこのシーン。
ノスタルジックな救急車に先ず目を奪われ、次に上をふと見ると「金町中央病院」の文字に唸った。この近くに住んでいた私が社会人一年目にいいトシして風疹にかかって「キミ独り暮らしならめんどくさいから入院しなさい」と言われて入院した病院がここだったからだ。建物はもうちょっとキレイになっていたが。
シリーズもまだ残り48本あるので、今後も旅に出ない間は寅さんを観て次の旅の妄想を膨らませようと思う。