2022 晩夏の北海道旅 二十三日目 年間グランドスラム達成に花が咲いた

明治公園」の朝が来た。

完璧に静かな夜だった。さすがは穴場。

本日も良い天気になりそうだ。

ここ明治公園は明治8年に国立の牧場として創設されたらしい。

この公園のシンボルは3基の赤レンガサイロだ。昭和7年と11年に作られ、レンガサイロとしては国内で2番目の古さらしい。ちなみに最も古いのは岩手の小岩井農場にあるとのこと。

今回うちが泊まったのは案内図の下の方の第一駐車場だ。

サイロの方にある第二駐車場の方が広々としているが、トイレや水場がちと遠い。

この公園の素晴らしいのはキレイなトイレがあるのはもちろんだが、外にはシンクがあり、

立派なゴミ捨て小屋もあり、

これまた立派なBBQスペースもあり、全て無料だということだ。

もちろん灰を捨てるボックスもある。根室市、素晴らしい。

今朝は、昨日「マルシェデキッチン」で買っておいたオニギリと大空町「ブランジェアンジュ」のパンの残り、「道の駅もち米の里なよろ」で買って冷蔵庫で寝かしていた燻製タマゴというメニューだった。

食後には昨日女満別空港でゲットした赤いサイロをコーヒーのお供で頂いた。まあ中身はチーズケーキなんだが、奥さん曰く美味いらしい。

ちなみに箱の裏面はロコ・ソラーレの幾分美化したイラスト仕様になっている。

さて今日はいつもより1時間早い9時に明治公園を出発して東へ向かう。東も東、目指すは日本の最東端だ。

道道35号の北海岸側を進む。雲一つない空の下には薄っすらと島影が見える。9年前に来た時は曇天で島などひとつも見えなかったので既にこの時点で感激ひとしおである。

根室半島のこの北側の道も、晴れていると何と気持ちの良いことか。

やがて到着したのは、人情岬で知られる納沙布岬だ。

思えば遠くに来たもんだ。

念願だった北方領土もクッキリと拝むことが出来た。

気温は24℃

どピーカンの下で最東端をたっぷり味わった後は、頂くものを頂きに行きますか。

北方領土資料館では、「こんなにクッキリと島が見えるのは久しぶりですよ」と言われた。いい時に来れて良かった。

そして頂いたのは、最東端証明書だ。ついに四極を制覇することが出来た。

「ナニそれ?」

しかも今年3月に南と西、今回北と東と制覇したので、年間グランドスラム達成だ。

まあ、テニスやゴルフと違って達成者は五万と居るだろうが、元野犬で絞ればそんなに居ないのではなかろうか。エルブレにしてみれば日本中を引っ張りまわされて迷惑千万かもしれないが。

人情岬を後にして、今度は半島の南側を走って西へ向かう。北側の素晴らしさと比べると南側は風情に欠ける。

さてせっかく根室に来たのだから是非ともアレを夕食用にゲットしたく、途中で左折して道道310号入り南下した。

お目当ての店はあいにく休みだったので、花咲港の前の富田商店さんに寄ってみた。これまたタイミングがいいというか、店に並んでいる8杯ほどの花咲ガニでもう今シーズン最後だと女将さんがおっしゃる。昨日揚がった一度も冷凍されていない花咲が通常3,000円くらいのところ「もう最後だから2,000円でいいよ」と寅さんのように言われ、「よし、買った!」。

今宵は豪華なディナー確実だ。どこかでハサミを買わねば。

無事買う物を買ったので根室半島を出て国道44号を西へ向かった。そろそろどこかで昼飯をと思ったが国道沿いには何にも見当たらない。

左手にホットシェフ付きセコマがあったので入り、やきとり丼シェアのオニギリひとつずつというショボいランチを頂いた。夕食が豪華ディナーと決まっているので、昼はこんなんで充分だ。

セコマランチを終えて再び国道44号を走り、途中で左に折れて海を目指す。

やがて海沿いに出ると、そこは日本百名道のひとつの北太平洋シーサイドラインだ。

これまた素晴らしい道で、クルマのCMに出ているような錯覚に陥る。

やがて浜中町に着き、まだ陽の高いうちからひとっ風呂浴びに「霧多布温泉ゆうゆ」へお邪魔した。

ここは今まで入った温泉の中で最もハイテク化されていて驚いた。先ず券売機で入浴券を買っていつものように受付に出すと、冷ややかに「バーコードを入り口に通してください」と言われた。振り返ると浴場入り口が駅の改札機のようになっていて、バーコードを当てるとゲートが開くという仕掛けなのだ。

さんさんと日が当たる浴場でさっぱりして脱衣所へ戻りふと振り返ると、ご自由にお使いくださいとビニール袋が壁にかかっていた。汚れものを入れるための袋をタダで提供してくれているのだ。スーパーでもどこでも有料提供なのに、これは有難いサービスだ。

風呂に入ってサッパリしたところで、浜中町に来たら是非とも寄りたい場所へ行ってみた。

モンキー・パンチ・コレクション」だ。浜中町総合文化センター内に、この浜中町出身の漫画界の大御所モンキー・パンチ先生にまつわる品々が展示されているのだ。そういや先ほどの温泉でもモンキー・パンチ色が随所にあった。

コレクションの方は入場した途端にアニメではない連載当時のいわば「オリジナル・ルパン」の世界にどっぷりと引き込まれる。

私の世代は、第二シリーズの赤ジャケットのルパンをテレビで観ていたどんぴしゃ世代で、緑ジャケットの第一シリーズは夕方の再放送で観ていた。憧れの男は次元大介、理想の女性は不二子ちゃん、と言う人も少なくないはずだ。日本のアニメでこれほど痛快で色っぽい作品はもう出てこないかもしれない。

展示品の中にはワルサーP38とコンバットマグナムの他に、ルパンが今まで盗んできた品々のレプリカなどもあった。

後ろ髪を引かれつつルパンワールドを後にし、霧多布岬を拝んでから再びシーサイドラインへ戻った。

琵琶瀬展望台から霧多布湿原を拝み、さらに西へコンパスを走らせた。

やがて厚岸大橋を渡り、イオン厚岸店の中にあるセリアでカニ用ハサミを買い、本日の停泊地へ入った。

道の駅厚岸グルメパーク」だ。

夕焼けの中、先ずはドッグランをひとっ走り。

ロケーションは申し分ないのだが、蚊が猛然と襲い掛かって来るので早々に退散した。

ふと対面の丘を見ると、鹿の親子が草を食んでいた。

陽もとっぷりと暮れたところで、いよいよ豪華ディナーの始まりだ。

軍手をはめて解体を開始すると、初めて見るキョーレツな臭いの謎の物体に興味津々なエルブレが乗り出して来た。

準備も出来たので、さあ頂きましょう。

合わせる酒はここの売店で買った「牡蠣にあう酒」だ。きっとカニにもあうだろう。

さすが一度も冷凍していないだけあって、濃厚な味だった。トゲの先まで身が詰まっていて例によって無言で貪り食った。花咲を食うのはおそらく10年ぶり以上だと思うが、やはりこのカニは美味い。2,000円はお買い得だった。女将さん、ありがとうございました。

酒はじゅうぶんカニにも合ったが、端麗辛口を謳う割にはしっかりと濃い飲み口であった。

いい気分で酔っぱらいながら中秋の名月を拝みつつの最後の散歩をし、厚岸の夜は静かに更けていったのだった。

本日の走行距離:150㎞

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