2023 秋 みちのく犬連れ旅 第十六日 34年前の夏、全てはここから始まった

10月18日(水)

道の駅にしかわ」の朝が来た。

ついに雲一つない空が戻って来た。

昨夜はトナラーも皆無で実に静かな夜だった。

目の前の山には雲海のような雲がびしっとかかっていた。

!!!

静かに朝の散歩を楽しんでいると、「パンッ!」と乾いた破裂音が鳴った。げげ、またか!?と血相変えてコンパスへ逃げ帰ったが、幸いにもこれ一発限りだった。

一発で済んだのでダメージが無かったようで、朝寝を楽しむブレアであった。

今朝は、昨日の夕方にマックスバリュで買った割引サンドイッチを一切れずつ分けるという貧乏メシだった。

昨夜からルーフテントを広げていた軽の4WDが一台、思い切り端っこに停めていたが、その真隣りにわざわざ停めてアイドリングをかましていた大型トラックが居た。うちのポップアップ同様に布一枚なのでありゃ相当うるさかっただろう。自分が働いている時に遊んでいる他人が居るということが憎くて堪らないのだろうか。なんだかやるせなくなる。

出発前にダメ押し散歩に出た。昨夜コスパ最強立ち寄り湯のタイトルを獲得したばかりの水沢温泉館だが、よく見ると珍しいことに入り口の頭上にソーラーパネルが地面と垂直に設置されていた。コンパスの屋根のソーラーもしかりだが、これって角度がけっこう重要と思うのだが、如何に?

ご厄介になった道の駅にしかわを後にし、昨夜泣きながら走った道を打って変わってどピーカンな空の下で快調に寒河江方面へと走る。やっぱ明るいって素晴らしい。

寒河江から南下し、やがて山形市街へと入った。

ここでは先ず店内犬OKの素敵そうな店があるようなので、ランチをば頂きに行ってみた。

駐車場にクルマを停め、いざ店へ。

お目当てのお店は「蔵オビハチ」さんという、蔵を改装した見るからにオシャレそうな外観だ。

野犬あがりの癖に何故かオシャレな店が好きで、もう入りたくてたまらないエルだった。

通されたテーブルの下にささっと居場所を決め、後はシレっと大人しくしている。こちらも脚の置き場をさっさと決めないとエルに先に取られるので要注意だ。

店内を見渡すと、裕福そうな山形マダムたちが優雅にランチを楽しんでいる。実にステキな店だ。

ヘルシーランチ膳と特製蔵カレーを注文した。

本日のヘルシーランチ膳

特製蔵カレー

ヘルシーランチは全ての料理がハイレベルでどれも美味かった。カレーもしっかりと煮込まれていて味わい深い。

奥さんは当然のようにしっかりとデザートまで楽しんでいた。コーヒーもこれまた量がたっぷりとあり、ゆったりと楽しめる。

テーブルの下で終始ウンともスンとも言わないエルブレを山形マダムたちが褒めてくれた。こういう時、外面がいいってのは得だ。

ランチを楽しんだ後は、すぐ近くの弁当屋「おこめ亭」で夕食を仕入れ、散歩場へと向かった。

着いた先は山形城跡でもある霞城公園だ。

昨日の新庄城跡に続いての城跡散歩だ。

城が現役当時は水があったであろうお濠は、緑の芝生となっていて美しい。

広い敷地内には城跡の他にも、県立体育館や県立博物館などが建っている。

現在は山形市立郷土館であるこのレトロな建物は、かつては済生館本館といったらしい。

明治の時代に西洋建築を真似て建てられた病院で、国指定の重要文化財らしい。

とここで、二匹の猫が立て続けに姿を現し、猫マニアのエルブレは大興奮となった。

他にも居るんじゃないかとしばらくはしつこく探し回っていた。

諦めてまた散歩を再開した。

かつての城主の最上義光の勇ましい騎馬姿の像があった。これは、かなりかっこいい。

ちょろっと城の外にも出てみたが、お濠と線路の感じが市ヶ谷やお茶の水っぽかった。

散歩を終えてまた国道13号へ戻り、眩しい太陽に目を細めながら南下した。

たっぷり歩いて満足したのか、珍しくオヤジに甘えながら眠るエル。

かつて競馬場があった上山を通過し、さらに南陽を抜けた。後で地図を見て気づいたのだが、この傍にある赤湯温泉は大学最後の夏に合宿免許で来たところだった。

ちまちま予約を取っては通うのが面倒だったので、その2年前に自動二輪を取った時も合宿だった。赤湯温泉自動車学校はすぐ傍に温泉街があって宿舎もそこにあり、毎日温泉に入りながら通えるという夢のような環境だった。同期生は高校卒業したばかりとか専門学校生とかばかりで、ほとんどが19,20のヤツラだった。そのせいか23歳とひとり年長な私は学校側から一方的に部屋長に任命され、毎日全員の教習スケジュールを管理させられたりしていた。この時代の教官たちは、東京などよりはお人よしだったと思うが、今なら完全に訴訟ものの教え方だった。それぞれ担任を決められて合宿中ずっと一人の教官に教わるのだが、私の担任は副校長だった。その100kg以上はあるであろう巨漢の副校長は教え方は厳しいが憎めない人で、天気の良い日の路上教習では助手席でイビキをかいて寝ていたりした。この夏は仙台育英が甲子園で東北勢初の優勝なるかという時で、教習中にずっとラジオをつけて応援していた副校長でもあった。

温泉街だけに飲み屋も多く、同期のガキどもを連れてよく繰り出したりもした。お気に入りは夫婦でやってる小さな小料理屋で、オヤジさんがちょっといい男で、今は亡き萩原流行に似ていた。

酔っぱらいながらそれを伝えると、「イヤだ!よく言うわ!アンタ」とオヤジさんより女将さんの方がまんざらでもない様子でゲラゲラ笑っていたっけ。懐かしい、1989年の夏だ。今こうしてクルマ旅が出来ているのも、あの時の先生たちや仲間のおかげかもしれない。全てはここ山形から始まったのだ。あの時の同期生たちとは結局それっきりだが、皆ちゃんとマジメに運転しているだろうか。

南陽を過ぎて国道113号を左折し、やがて本日の停泊地である「道の駅たかはた」に到着した。

昨日と違って今日はまだ十分に明るいうちに到着出来てほっとした。

駅から国道を挟んだ向かい側には、「まほろば古の里歴史公園」という古代のロマン溢れる公園がある。奥の方には安久津八幡神社があり、三重塔も見えた。

その神社の方に行ってみよう。

神社はひっそりとしていて、鳥居の手前からは人っ子ひとり見えなかった。鳥居の先を凝視すると、どうにもこの世のものとは思えない雰囲気がして、今流行りの異世界に通じているのではないかと怖くなってお参りは自粛した。「世にも奇妙な物語」とか「ほんとにあった怖い話」に出てきそうな感じなのだ。この夏の車中泊オフシーズンの時に読んだ浅田次郎の「憑神」のようにヘタにお参りしてとんでもない目にあったら恐ろしいので、古の里歴史公園の方へと向かった。

竪穴住居があった。

入り口にパイロンが置かれて立入禁止になっている。

中を覗くと、脚立が無造作に放り込まれていた。ちと残念。

その先には古墳もあった。

誰の墓かはわからないようだが、こちらは立ち入り禁止になっている風でもなく、OPENされていた。入ろうと思えば入れるが、閉所恐怖症だし祟りも怖いのでもちろんやめておいた。これだと、タヌキとかハクビシンやホームレスが入り放題だ。

今日も無事に日が暮れた。

夕食は、「最上川千本だんご」の枝豆入り豆腐をメインに、「おこめ亭」のアジフライにチーズ春巻き、卵焼きとオニギリを添えて。さすがは本職が豆腐屋さんだけあって、冷奴で食べる枝豆豆腐は大豆の味が濃くて絶品だった。卵焼きは甘さがギリギリセーフで、他のオカズも全て小振りで素朴だった。毎日食べても飽きない感じだ。

今夜は、大型ゾーンに泊まってる1台のボロトラックのアイドリング音が異常にデカく、建物に当たってこちらに跳ね返ってきているような感覚だ。こりゃー、うるさそーな夜だ。

本日の走行距離:81㎞

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