10月14日(火)
「道の駅たかねざわ元気あっぷむら」の朝が来た。
おかげ様で上で静かに眠れたが、明け方はかなり寒かった。
それもそのはず、外の気温は0.7℃と言っている。薄手のヒートテックを上下とも着て、スウェットパーカのフードを被って5℃まで対応のシュラフに頭まですっぽり入って寝たのだが、さすがに外が0.7℃では我がポップアップの布一枚は分が悪かったようだ。
アサイチの車内の温度は9℃だった。やはり上を開けていると4~5℃は下がる。さすがのエルも寒かったようで、いつもは嫌がる掛け布団を被って寝ていたらしい。
今朝は、昨日閉店間際にここの売店で買ったパンとミカンを頂いた。パンは米粉が入っていてしっとりモチモチで美味かった。ミカンは和歌山産で安かったが酸味が強めの好きなタイプだった。
今日は道の駅が月に二度の休館日なのでしばらくのんびり出来そうだ。
コンパスの中で優雅にインスタントコーヒーをすすっているうちに催し、9時ちょい前にトイレへ行くと何やら様子がおかしい。
物々しく黄色いテープで封鎖されて、まるで殺人現場みたいになっちゃってんじゃん。
作業していたオッサンに「?今日トイレ使えないんすか?」と尋ねると、「はい、定休日なんで」とさらりと返って来た。いやいや、たしかここのHPでは「定休日でもトイレは24時間使えます」という旨があったからのんびりしてたのに、そりゃないぜ。
あ、でもまてよ。そうか、このトイレだけがなんか突発的なトラブルでもあったに違いないなと確信しつつ、「他のところも全部使えないん?」と念のため聞いてみた。だが、その期待はもろくも崩れ去り、「はい、全部」と素敵な笑みを浮かべながらオッサンは答えたのだ。
おいおい、話が違うじゃねーか。あまりのショックに催していた便意も引っ込んだので、ブツブツ毒づきながらそそくさと支度をし、一晩お世話になった道の駅を出発した。
去り際に他のトイレも見たが、やはり封鎖されていた。
ちなみに翌日にもう一度ここのHPを覗いてみると、
ちゃっかりと書き直されていた。
思いがけず早い出発になってしまったが、今日はブレアにとって鬼門の二日目だ。ごく近場でしばらくのんびり出来る場所を見つけ、そーっと移動を開始した。
やがて到着したのは、「鬼怒グリーンパーク」だ。鬼怒川の河川敷に広がる公園で、のんびり散歩するのに良さそうだ。
何やらヤンチャなガチョウが居るらしいので要注意だ。
池には鴨がわんさか泳いでいた。
向こうの日陰に佇んでいるのが、例のガチョウのようだ。刺激しないようにそーっと脇を通過する。
ここはコスモスの畑があってそれはそれは素晴らしい眺めらしいのだが、
一歩遅く、既に大半が刈り取られていた。
それでも多少は残してくれていた。
お、向こうの方にはまだけっこう残っている。
遠くの山々も美しい。
のんびり散歩が出来てエルは大満足の様子だった。
腹も減ってきたのでどこかいい店は無いかなと調べて訪れたのは、公園からまた高根沢方面へ戻ってすぐのところにある、
「ドッグランカフェ スロー」さんだ。
広いドッグランが二つもある気持ちの良さそうな店だ。
店内に入るとすぐに可愛らしい看板犬がお出迎えしてくれた。
ふたりともすごく大人しくていい子たちだった。
店名通りのスローな雰囲気でいい時間を過ごせた。
だが、このお店も年内で閉店されるという。残念だが、最初で最後になりそうだ。
再び国道4号に戻って北上し、さくら市へ入った。
県道30号に逸れてしばらく走っていると何か変だと気づいた。
道沿いの家々にやたらと蔵があるのだ。
どれも古くはなくけっこう新しく見える。ここいらでは蔵ブームなのだろうか?ちょっと緑色がかっているのはお土地柄の大谷石なのか?
矢板に入り、次なる散歩のために寄ったのが、
「長峰公園」だ。
ここでピンチに襲われた。駐車場に停めている時にブレアの口角がキュっと上がったのだ。「ヤバイ!」ととりあえずリードも付けずにブレアを地面に降ろした。すると何とか飲みこんだようでリバースに至らなかった。二日目のジンクスを土俵際で食い止めることが出来た。
いやー危なかったと胸をなで下ろしつつ、散歩スタートだ。
遊歩道も広く、気持ちの良い公園だ。
冬桜がポツポツ咲いていた。
散歩を終え、今宵の停泊地を目指して東へ向かった。
到着したのは「道の駅那須与一の郷」だ。今日はこちらで一晩ご厄介になる。
ご存知源平合戦の時代に弓の名手として大活躍した那須与一の名を冠した道の駅である。
勇ましい与一の銅像は、彼の人生のハイライトである屋島の戦いのエピソードに出てくる赤い扇の的に狙いをつけている。うーん、かっこいい。
カラーのマンホールの蓋も勇ましい。
トイレにも扇のオブジェが付いていて、建物も上から見ると扇の形になっているという扇推しの駅だ。駐車場も広くてとても開放的だ。
さて今宵だが、ここから歩いてちょっと行ったところにある居酒屋に行こうと思うが、ホントに営業しているかどうかグーグルマップの情報だけでは不安なので開店の17時ちょい前に電話してみた。暢気そうなオヤジさんが電話に出たので「5時から営業しますか?」と聞くと、「・・・うーーん、、今日は、、6時くらいになっちゃうかなー・・・」と何とも頼りない返事だ。ダメだこりゃ。あまりにもラテン過ぎる。おそらく6時に行ってもやってない可能性大と見限り、他をあたることにした。
結局訪れた店は、道の駅のすぐ向かいにあるラーメン屋「大八溝」さんだ。
こちらも来る前に念のため電話したが、「・・はい、やってますよ」とハキハキと答える女性の声の裏に「何、当たり前のこと言ってんの?このオヤジ。やってるに決まってんじゃん」という強い意思をヒシヒシと感じることが出来たので、安心してやって来れた。
ガラっと入った瞬間、客がゼロで一瞬「ヤバイ」と思ったがとりあえず席についた。
店内のあちこちはそれなりに年季が入っているが、きたなシュラン感は皆無でビシっと清掃が行き届いている。テーブル上の調味料はカンペキにキレイに保たれており、液垂れなど一滴もない。中華系の場合、辣油の瓶を見ればその店の姿勢がわかる、というのが私の持論だ。
メニューの数は少ないが、逆にそれが潔い。
先ずはコップ酒(旭興辛口)を注文すると、なみなみ&小皿に溢れるほどの量がテーブルに届いた。常温の旭興辛口は酒らしい酒で、ガツンと喉の奥を攻めてくるが、後味は極めて爽やかだ。付いてきた冷奴はお通しではなくサービスだと言う。何とも嬉しいではないか。
ちなみに「だいはっこう」と勝手に読んでいた店名は「ダイヤミゾ」だそうだ。店の雰囲気に対してロゴのフォントはかなり今風だ。
酒と一緒に頼んだ煮込みは、一目見た時ちょっとガッカリした。あまり煮込まれていないと誤解したからだ。大した期待もせずに一口食った途端、あまりのトロトロな食感と上品な味に驚愕した。おそらくものすごい丁寧な工程を経た煮込みだ。その丁寧すぎる仕事のおかげか、本来のモツの臭みがかなり抑えられているライトボディな煮込みだ。これはこれで水のように胃袋へと消えていく爽快さは楽しいが、煮込みマニアとしてはもうちょっとミディアムボディな臭みがあってもいいかなとは思う。だがべらぼうに美味いことには異論は皆無だ。
味もいいがとにかくシェフの手際が良いのか、ポンポンと上質な料理が運ばれてくる。牛肉いためは値段に対して肉の上質さに驚く。めちゃめちゃ濃い味ではないが、白米が欲しくなる。
ひれかつもとにかく豚肉が瑞々しく、衣も薄くてサックサクで美味いとしか言いようがない。
いやー何食っても美味いなと唸っているところに、まだ仕事中と思しきオッサンと若手のコンビが入ってきて共にチャーシューメンを注文した。それを聞いた途端、猛烈にチャーシューメンが食いたくなり、麺0.5玉のをひとつ締めに注文してしまった。
やはりあっという間に運ばれてきたチャーシューメンは極細麺で、澄み切ってアッサリしたスープにベストマッチだった。チャーシューは割とパッサリ系の薄めスライスで、個人的にはもうちょっとトロトロ系が良かったかなという感じだがトータルではVery Goodだった。
ダイヤミゾ、全てにおいて丁寧な良い店だった。こういう良店にふらりと当たるのが旅の一番の醍醐味ではなかろうか。
店を出て駐車場に戻ると周りには全くクルマが居なかった。これは二日連続で屋根裏か?とも思ったが、よーく周りを見渡すと大型ゾーンが割と近くにあるのに気づいたので止めておこう。
本日の走行距離:56km