11月20日(木)
「道の駅宇土マリーナ」の朝が来た。

昨夜寝ようとしているところへ二人乗りのDQNバイクがたった一台で乗り込んで来て、爆音を響かせてすぐにどこかへ去ったと思ったらまたやって来てを繰り返していた。こりゃヤベーなと思ったがその後すぐに居なくなってほっとした。

今朝の気温は7.6℃。雲が厚く湿度が高いせいかさほど寒く感じない。

エルブレは快便ですこぶる元気だ。

おでんの残り汁のおじやを今朝は頂く。

せめて玉子くらいは溶きたかったところだが、すぐそこのファミマじゃ温泉たまごくらいしか一個売りは無さそうなので諦めて素おじやで食った。

旅に出て10日が経った。ここいらでちょっと息抜きということで、今日はあまり移動せずにのんびり目に過ごしたいと思う。
じっくりと朝のコーヒーを楽しんだ後は、マリーナの散歩しよう。


ジモティーっぽい人の好さそうな親爺さんたちが釣りをしながら楽しそうにダベっていた。近所にこんな場所があるのは実に羨ましい。

ここで釣りが出来るのは右手の外海側だけで、左手のマリーナ側には釣り糸を垂らしてはいけないというルールになっている。

嫌な色の雲が覆っているが、予報では降らないと言っている。

雲仙の上も雲で覆われているが、白っぽいので天気は大丈夫そうだ。

マリーナに目を向けると、ため息が出るほどゴージャスでカッコイイ船が何艘も浮かんでいた。

あんなので釣りやパーチーなんぞしてみたいもんだなぁ。

さてそろそろコンパスへ戻って次へ行こうかね。

本日最初の目的地はここから10分ちょっとのところにある、


世界遺産「三角西港」だ。
メインの第一駐車場は満車だったが、ひとつ隣の第三駐車場(第二はどこ?)にあっさりと停められた。しかも無料。世界遺産なのに。

ここは明治三大築港のひとつで、1887年に開港したそうな。

以前に立ち寄った伊豆の韮山反射炉や長崎の軍艦島などの「明治日本の産業革命遺産」の仲間だ。

古そうな石畳の長閑な港で、何も知らないで来たらここが世界遺産だと言われてもきっと信じられないだろう。

堤防では数名が普通に釣りをしていた。世界遺産で釣りが出来るなんて、なんという太っ腹な。

では世界遺産散歩に行ってみよう。

最初に見えてきた古い建物は、


ほうほう、明治20年代に建てられた回船問屋だそうだ。

その先に現れたのはかつての荷揚げ倉庫(旧三角海運倉庫)で、

今は改装されてカフェになっている。

さらに先へと進むと見えてきたのが、

明治天皇即位50年を記念して建てられたという龍驤館だ。
さらにその先には、

かつての旅館である浦島屋があった(残念ながら復元)。こちら、現在朝ドラでもおなじみの小泉八雲ゆかりの旅館で、長崎を一人旅した際の帰りにここに立ち寄り、その時の美しい女将との楽しい思い出を本に書いているとのこと。おトキちゃんに怒られるぞ。
さてお次は、通りを渡って山側へと行ってみよう。


坂を上って右へと折れると、

九州海技学院なる建物が現れた。20トン以上のでかい船を操る船長や航海士や機関長などの船乗りのための学校らしい。

こちらはかつての宇土郡役所庁舎だそうだ。
入り口の付近であれば中を覗けるようなので、代表して行ってみる。



そのまま時代物の撮影に使えそうなくらいレトロで重厚な雰囲気が素敵な建物だった。

そしてここの二軒隣には、


旧三角簡易裁判所があった。

大正9年にここに移築された建物で、なんと平成4年まで現役の裁判所であったというから驚きだ。
ここも中を見学出来るというので、またまた代表して入ってみる。


小さくてこじんまりとした法廷だが、隅々まで歴史を感じずにいられない。





ここもまんま朝ドラや大河で使えそうな建物だった。

それにしてもまぁ人の少ないこと。この「明治日本の産業革命遺産」は日本にある世界遺産の中でおそらく一、二を争う地味な遺産であろうからか、観光客がほとんど居ない。インバウンダーなど皆無だ。港エリアにはそれでもちらほら居たが、坂を上って来ないといけないこの辺りに至っては一人旅っぽい兄ちゃんひとりしか見かけなかった。
さて、そろそろ港の方へ戻ろうか。

裁判所から港へと下りる階段の脇にはこれまた年季の入った水路らしきのがあった。

その先の海へと続く排水路は国の重要文化財だそうだ。
そろそろ腹も減ってきたので、昼飯にしよう。

やって来たのはさっきも前を通った旧三角海運倉庫の中にある「アマテラス珈琲」さんだ。

テラス席は犬同伴OKとのことなので、

裏へとまわって、

席を確保した。うちの他にはカップルが1組しか居なかったけど。

目の前は、ただただ絶景だ。


テラスではスローな時間だけが過ぎていく。
さて何を食おうか。テラスは完全に日陰なので、ここは冷めにくい料理を選ばねば。


ランチメニューの中で熱々であろうツートップを選んでみた。ハヤシライスはオーブンから席へ直行だけに狙い通りでマグマのように熱々だった。ナポリタンの方が思ったほど熱々じゃなかったが味は良かった。共にメニュー的にはいわゆる”カフェ飯”の範疇であろうが、美味かった。カフェもこのくらいのレベルはキープして欲しいものだ。惜しむらくはセットで頼んだコーヒーが最初っからお盆に乗っかって来たことだ。出来ることなら食後に熱いのを持って来て欲しかったところだが、これも味は良く量もたっぷりだったので良しとしよう。
コーヒーを啜って景色を楽しんでいると、ブレアが寒くて震えだした。

しゃーないので抱っこしてやると、やがてウトウトし始めた。こちらも暖かくなって、お互いWin-Winだった。

食後に日向に出るとブレアはすっかり元気になった。

三角西港、いいところだった。

世界遺産を後にし、右手に見えている橋を渡って天草パールラインを目指す。

大矢野島へ入り、

洗濯と夕食の買い出しを済ませて、またパールラインを南下する。

3年半前とは逆方向でパールラインを快調に走る。

天草松島へと入り、後は本日の宿場を目指すのみ。

到着したのは、「道の駅有明」だ。

今宵はこちらで一晩ご厄介になることにする。

先ずは歩道橋で海側へと行ってみようじゃないの。

犬連れとしては歩道橋で通りを渡れるってのは危なく無くていいね。
歩道橋を下りて先ずお出迎えしてくれたのは、

かなりリアルで可愛くないタコのモニュメントだ。

その先には隠れキリシタン関係の施設があり、いよいよ始まったか!とテンションが上がったが、とっくの昔に閉館した施設のようだった。


こっちのモニュメントは可愛い。

エルブレの宿場まわりチェックも無事終わったところで、駅併設の有明温泉へひとっ風呂浴びに行った。カラダを包み込まれるような実に気持ちの良い湯で素晴らしかった。

湯上りは最近凝っているオランダの安ビールで喉を濡らす。

やがて外は夕陽タイムが始まった。

まるでホテルカリフォルニアのジャケット写真のようなシーンになってきた。

もちろん我が脳内にはイーグルスのサウンドが鳴り響いていた。
さて今宵のメインは、

パールラインの途中、「丸重ミート大矢野店」で買ったフライドチキンだ。

チキンは味が濃いめだったが肉の味が良かった。だがせっかく天草に来ているのだから魚にしておけばよかったなと、チキンを食ってから後悔した。

ここはモロに国道324号沿いだが、一段高いところに駐車場があるのでけっこう静かだ。思い切って今宵は屋根裏で寝てみよう。
本日の走行距離:47km

