三が日もあっという間に終わり、街はすっかり通常モードになっている。米軍のせいで沖縄や山口が大変なことになりつつあるようだが、全国に飛び火してまたあの忌まわしい禁酒法が発令されないことを祈るばかりだ。
三が日といえば正月番組を録っては観、録っては観の繰り返しだった。その合間にこの時期の風物詩である高速道路の渋滞やドカ雪のニュースも目にしては、やはり年末年始は家に居るに限ると思いながら酒を飲んでいた。
正月番組の中で私のお気に入りといえば、前回触れた「格付けチェック」の他に「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」がある。今や完全にピークを過ぎたとんねるずの数少ない冠番組だけに、もう「オワコン」になりつつある感じもしないでもない。とんねるずの二人も還暦ということもあって、おそらくあと1回か2回あるかなという気がする。それでも毎年楽しみに欠かさずに観ているのは、とんねるずの特に石橋貴明のアスリートに対する愛を感じるからだ。一見偉そうかつふざけた様子でアスリートをイジっているように感じて不快感を抱く人が私の周りにも居るが、その実彼は野球を始め様々なスポーツを愛し、アスリートをリスペクトしていると思う。アスリートの過去の名シーンや珍シーンをイジる時に特にそう感じる。あれは単に台本を読んでいるのではなく、過去のその名場面を実際に彼が観て感動したり悔しがったりした経験から出ていると思うのだ。
そんな「スポーツ王」の中で一番好きなのはリアル野球盤だ。過去には松井秀喜や松坂大輔など錚々たる名選手が参加している壮大なる「野球お遊び」だが、何故か今まで一度も出ていない名選手が居る。イチローである。おそらく番組側からは何度も何度もオファーをしているのだが全て断られているのだろうと想像する。2019年の3月に東京で引退した後は、現役じゃなく引退したのだからやっと出てくれるか?ときっと再びオファーをしたが、頑として首を縦に振らないのではないかと思う。
リアル野球盤だけじゃなく、かつて室伏広治や河口正史が凄まじい超人ぶりを披露して、「やはり超一流のアスリートって凄いんだ」と我々に思い知らせてくれた「スポーツマンNo.1決定戦」という番組もあったが、「ここにイチローが入ったらどうなるんだろう」と何度も想像したものだ。ショットガンタッチやビーチフラッグスで圧倒的な速さを見せつけるイチローを。
だがイチローは対談番組やドキュメンタリーは出演しても、バラエティ番組には出演してくれなかった。本業から外れたのはせいぜい「古畑任三郎」くらいだろうか。アスリートというよりは求道者と呼ぶ方が相応しい彼のことだから、お遊びでタレントも混ざり野球っぽいことをやるなどということはもっての外なのだろう。商売道具のバットやグラブはチームメイトであろうとも他人に触られるのも嫌がったらしいし、バットは専用のハードケースに入れて湿度まで細かく管理していたような男なので、番組内で他の選手と平気でバットの貸し借りをしたり、放り投げてずっこけたり、はたまた金属バットにこっそり持ち替えて打ったりなどは死んでもご免だったのだろう。そしてそれは引退した今でも彼の中の「鉄の掟」に反するのだろう。
しかしながら「スポーツ王」もおそらくもうそんなに先は長くない。せめて最終回くらいはMLBの先輩であるタカ・タナカの顔を立てて出演してはくれまいか。彼のことだから50歳になっても引き締まったカラダで強い打球を放ち、「投げるタマねーなー」と貴明に頭を抱えさせてくれるだろう。
イチローさん、高校生たちへの指導の合間にちょっとでいいので何卒お願い致します!