「道の駅 フェニックス」の朝が来た。
アウトローな夜は終わりを告げ、夢のような絶景の夜明けとなった。生きているって素晴らしい。
永遠に続くかと思った爆音は、0時を過ぎたあたりで嘘のように静かになった。それでホッとして寝ていると明け方には早起きなオバさまたちのペチャペチャとしたおしゃべり音で起こされた。
朝食は連日のお茶漬けだ。前日に「道の駅 北川はゆま」で買ったきんかん(たまたま)を食してみたが、やはり柑橘を皮ごと食うというのはムリがあるような気がする食感だった。
ここ「道の駅 フェニックス」は夜は地獄だが、明るい時、特にこんな呆れるほどの好天の下であれば天国だ。ここは好天の昼間に立ち寄るところであって、けっして一夜を過ごしてはいけないところだ。
海の色は呆れるほど美しい。
山側にはちょっとした遊歩道があって、高台から鬼の洗濯板が一望できる。
この海沿いの道は「日本百名道」のひとつである「日南海岸ロードパーク」だ。夢の一つであった道をついに走れるということもあって、はしゃいで実際に走っているコンパスを奥さんに撮影してもらった。
鬼の洗濯板をたっぷりと堪能してから色々あったフェニックスを後にし、ロードパークをのんびりと南下した。パームツリーの合間から見える海にはいい感じの波が立っていた。サーファーにとってはここはパラダイスであろう。
しばらく走り「道の駅なんごう」にランチ休憩のため立ち寄った。ここの道の駅は植物園の下にあるような作りになっている。先ずはレストランを覗いてみると、嬉しいことにペット可のテラス席があったので有難く利用させて頂いた。
目の前のロケーションもあり、これまで見た道の駅のテラス席の中でダントツでNo.1の素敵さだ。
しつこくチキン南蛮と、名物だというカツオの限定の定食を頼んだ。チキン南蛮は前日の北川はゆまのよりサッパリしていて、カツオは名物というだけあってさすがの鮮度で共に美味かった。上を見ればもっと美味い店がたくさんあるのであろうが、道の駅でこれだけのクオリティが出せるのあればこれで充分だ。
食後には植物園ゾーンに登ってみることにしたが、けっこうな高低差で厳しそうなので最初の展望所あたりでエルにはカンベンしてもらった。
表現力に乏しくて平凡になってしまうが、とにかく素晴らしい眺めである。こんな絶景が見られるなんて、つくづく会社を辞めてよかったなと思った。
キリのいいところでなんごうを後にし、さらにロードパークを南下した。次の目的地は、かつてバイクのツーリング雑誌で見てからいつかは行ってみたいと憧れていた場所だ。
ブレア殺しのクネクネのアップダウンを何とかやり過ごしながら辿り着いた先は、
野生馬がウロついている都井岬だ。だが、当たり前と言えば当たり前だが行くまで知らなかったというか気づかなかったが、エルブレはコンパスから降ろせないのだ。そりゃそうだよな。犬が吠えかかったりでもしたら馬たちに悪いもん。でもどっかの柴犬のブログで普通に馬の傍に立つ犬を見たもんだから、草原を歩かせてもいいんだと思っていた。頑張ってクネクネ道を文句も言わずに走ってきたのに何という仕打ち。エルブレには悪いことをした。仕方なく人間だけでちょろっと歩いて写真を撮って早々に退散した。
帰りがけに馬のすぐ傍を通過して窓越しに見せてやったら、案の定吠えていたエルであった。
さて今日の停泊地だが当初「道の駅 くにの松原おおさき」を考えていた。だがグーグルマップで「臨時休業」と出ていて詳細を調べてもやってるんだかやってないんだかよくわからなかったので、その手前の「道の駅 くしま」で手を打つことにした。
着いてみるとけっこうな街の真ん中で落ち着かないかとも思ったが、昨年OPENのキレイさに「まいっか」とすぐになった。なにしろトイレが半端なく美しい。トイレ棟で寝たいくらいだ。
この駅には「寿司虎」という回転ずしが入っているので、夕食は迷わずここで頂いた。
どのネタも新鮮でレベルが高かった。旅先でこういう回転ずしに当たると満たされる。
この旅で大分あたりから醤油が甘くなってきた。ここは幸いにして二種類あったが、「これは甘い方がオススメです」と板さんが言うのでつけてみたらやっぱり甘くない方が美味かった。この甘いのだけはちょっと慣れないが、半年くらいこちらに住めばこれ無しではいられない体になるのであろうか。
美味い寿司と酒を頂いて幸せな気分に満たされて、串間の夜は前夜と違い平和に更けていったのであった。
本日の走行距離:85㎞