みさき台公園キャンプ場の二度目の朝が来た。
昨夜は予報通りクルマが揺れるほどの強風が吹き荒れていた。寝る前にタープを撤収して大正解だった。我が家の後にもタープだけ撤収しているキャンパーが多かった。
今日はさらに北へ進むので、最後にここの公園内をグルリと散歩しておくことにした。
ここのウリのひとつである天文台は残念ながら改修中で入れなかった。
起伏に富んで長いゴーカートのコースも敷地内に用意されている。もちろんみんな大好きパークゴルフ場もしっかりある。夏の間に北海道を周りながら各地でパークゴルフをプレイするシニアのゴルファーも多いようだ。そういう旅もいいかもしれない。
さらにしっかりと両翼までの距離も確保されダグアウトまである立派な野球場まであるが、誰も使ってそうにない。通りを挟んだ反対側にはドリカムがライブをしても不思議ではないステージ&芝生広場もある。
全てが贅沢なみさき台公園だが、唯一残念なのが道の駅の建物の脇のさらに端っこに申し訳程度に設置されたドッグランだ。他に土地は余るほどあるのに、まさに猫の額ほどの広さで実にショボい。留萌で贅沢なランを満喫したエルブレは、当然ながらここはスルーだった。
今朝も飽きずにお茶漬けを頂いた。北竜で買った酸っぱいイチゴはやっと無くなった。
今朝もコーヒーを啜ってまったりしていると、山梨のパイセンライダーが早くも出発すると言う。稚内は昨日の外出でサクっと行ってきたので、今日は内陸に行くと言って爽やかに走り去って行った。末永くお気をつけて。
支度を全て終え、いざ出発の前にお隣だった広島からのハイエースの同じポップアッパーのご夫婦に挨拶すると、「北竜にも居ましたよね」と始まり、結局そこから30分以上もお話させて頂いた。先代のコーギーが亡くなった後に来た赤ちゃんコーギーは息子さんに任せて来たが、イタズラがひどくて大変らしい。北海道は6度目で、今回は道の駅のスタンプラリーをされているとか。皆さん、旅のテーマが色々あって話を聞いてるだけで面白い。オススメのキャンプ場をいくつか教えてもらってからやっとお別れとなった。よい旅を。
のんびりと過ごさせてもらったみさき台公園キャンプ場を出発し、オロロンラインを快調に北上した。
道の駅てしおを過ぎて232号から道道106号に入ると、道北の雄大な景色の始まりだ。右手にはオトンルイ風力発電所の風車が並び、真っすぐ空へ延びる道をひたすら走る。この道は日本百名道にも選ばれていて、北海道の中でも私のお気に入りのひとつだ。
やがて電線も電柱もガードレールも全て無くなり、海と原野と空しか見えない中の一本道を気持ちよく走る。これぞ北海道。
左手には利尻富士がクッキリと望める。
いつまでも走っていたい道だがそれもやがて終わり、稚内へ辿り着いた。
腹も減ったところで、色々と検索し「海鮮炉端うろこ亭」さんで海鮮を頂くことにした。日差しが強烈でエルブレを車内で留守番させられないのでテイクアウトにしようと思ったが、自分でお盆を運べばコンパスで食ってもいいと言ってもらえた。願ったり叶ったりだ。
名物うろこ市丼とホッキフライカレーを頼んでみた。海鮮はまあ美味かったが、小平のすみれさんの圧勝。カレーは家庭のカレーのようで美味いのだが、ホッキがしょぼかった。これは苫小牧で是非ともリベンジしたい。
コーヒーも付いてきたのだが料理の前にもらったので、食後のコーヒータイム時にはすっかり冷めきっていた。
食後に北海道遺産の稚内港北防波堤ドームを訪れてみたが、一部工事中だったので早々に切り上げ、
買い物と給油(リッター160円)を済ませ、稚内に別れを告げ宗谷を目指した。
宗谷といえば岬だが、その前に車中泊界のスーパースターであるむーちんさんが「一番好きだ」と言って憚らない場所へ立ち寄った。
宗谷丘陵の中にある「白い道」だ。宗谷丘陵は走ったことはあったが、この道は初めてだった。白さの正体はホタテの貝殻で、天気のいい日はとにかく映えるせいかこの日もけっこうな数の観光客が来ていた。
白い道もやがて終わり、岬へ向かう。
この雄大な景色、これぞまた北海道。
やがて丘を下り、海へ出た。
やって来ました、宗谷岬。3月に九州で南と西を制覇し、後は東のみとなったエルブレ。リーチだ。
岬は強風だったが空気は澄んでおり、遠くに樺太がクッキリと見えた。死んだ親父が幼少期を過ごした島なので、感無量だった。
最北端到達の証明書も無事頂き、宗谷岬を後にした。
左にオホーツク海が見えると、これまた日本百名道の宗谷国道の始まりだ。
やがて浜にニョキニョキと無数の竿がセットされているのが見えてくる。サケ釣りだろうか。一人あたり何本セットしているのか知らないが、支度も片付けも大変だろうと思う。
やがて2020年度の平均年収が品川区より上だったという恐るべき猿払村に入り、今宵の停泊地の「道の駅さるふつ公園」に到着した。
ちょうど日も傾いてきてエルブレに晩御飯を上げ、さあてひとっ風呂浴びるかと「憩いの湯」へ行くと何やらおかしい。
こんなこともあろうかと今朝も昼もホームページをチェックしていたが、臨時休業などと一言も書いてなかった。受付の男が言うには、「今日から休業です」だと。ちゃんと書いとけとスマホを見ると確かに書いてある。こいつ、、ついさっき更新しやがったな。。こういうやり方をされると、どこに行くにも直前にいちいち電話で確認しないといけなくなるではないか。
もうエルブレにメシを食わせちまったし、これから移動も出来ねーしどーしてくれんだと。
あれこれ悩んだが30分先の浜頓別に立ち寄り湯があるようなので、エルブレには悪いが1時間ほど休憩してからもうひと移動することにしてさるふつ公園を後にした。
猿払から浜頓別までは238号線を走るのが最短だろうが、せっかくなので明日走ろうと思っていた私が北海道で最も好きな道を通ることにした。
猿払村の村道「エサヌカ線」である。16km続く一本道で、ただひたすら地平線を見ながら走るという圧倒的な絶景道だ。これぞまさしく北海道。初めて走った時は感動のあまり笑いが止まらなかった。
燃えるように真っ赤に染まる空を背後に一本道を走る。
ここでの夕日は初めて見たが、日本というよりはまるでタンザニアやケニアのサバンナに居るような感覚をおぼえた。そして脳内にはライオンキングのよく聞く曲が流れた。
ここまでちょっと頭にきながら走ってきたが、この絶景を見たら全て吹っ飛んだ。逆にこの時間にここを走ってこれが見れたのも、あの臨時休業のおかげとも思えた。
浜頓別の町に入り、「はまとんべつ温泉ウィング」でようやく風呂に入れた。かなりくたびれた施設で、しかも先客も多く快適とは言えなかったが贅沢は言えない。客の中には、みさき台公園キャンプ場で見かけたライダーが4人くらい居た。周る方向が同じだと、修学旅行並みに常に同じところで出会ってしまうのか。
とりあえずサッパリしてから「道の駅北オホーツクはまとんべつ」に入った。2019年に出来た新しい駅だけあって建物もキレイだし駐車場も広い。大型アイドラーの近づけそうにない隅っこに陣を張り、やっと落ち着いた。すると近くのキャブコンのお父さんが下りて来てこちらをじっと見ているではないか。睨んでいるのかと最初思ったが、よく見るとブレアを見てニコニコしていた。足立ナンバーの犬好きさんで、近くのクッチャロ湖のキャンプ場の素晴らしさなどを色々教えてくれた。なんでもこの方も猿払で風呂に入れずここに流れて来たとのことだった。憩いの湯の受付が「コロナの感染者が毎日増え続けて大変だ」とてんぱっているから「毎日何人出てんだ」と聞くと「ひとり」という返事が返って来たらしい。。目標はゼロコロナか。
呆れながらもようやく夕食にありつけた。今宵は、稚内のスーパーで半額で飛びついた北海しまえびをメインに、冷蔵庫にあったハムとサラダというメニューだった。しまえびは味が濃厚で大いに酒が進んだ。
さて寝るかという段になって、外に出て何かが違うことに気づいた。ここ数日世の中をかきまわしていた蛾助がどこにも居ないのだ。そういや猿払でも残骸すら見なかった。日本海側で猛威をふるっていた奴らだが、オホーツク側には存在していないのだろうか。
奥さんは蛾の居ない素敵な世界を想像しつつ、浜頓別の夜は静かに更けていったのだった。
本日の走行距離:210㎞