「道の駅ステラ★ほんべつ」の朝が来た。
何日ぶりかの曇り空の朝だ。
車中泊専用駐車場での夜は快適そのものだった。アイドラーもトナラーも居ない静寂を満喫できた。
朝の散歩で近所をウロついていると展望台の入り口を見つけて行きたそうにしていたエルだったが、疲れそうだし熊も出そうなのでやめておいた。
散歩道から道の駅や本別の町が一望出来た。左の方にコンパスがポツンと停まっている。
今朝のメニューはいつになく豪華版だ。というのも、昨日「こがねちゃん弁当」で夕食用に買っておいたオカズがそのままスライド登板で今朝にまわされたからだ。
甘辛なおかずたちを白いご飯で頂く。とりめんというのが何なのか知らずに買ったが、ちょっと小麦粉が多くて想像していたのと違った。玉子焼きもけっこうな甘さ。昔ながらの懐かしい味がするうま煮が一番美味かった。
トイレに行った際に駅内の展示室の扉が開いていたのでふと入ってみたら、
イチローや落合などの大打者たちのバットが展示されていた。
どうやらここ本別にはバット用製材の工場があるとのことだ。
アメリカで「魔法の杖」と呼ばれたイチローの黒バットは美しかった。三冠王落合のはイチローのよりも長くて太かった。イチローはこれでジョージ・シスラーの大記録を破り、落合はこのバットでインコースを軽々と捌いてしかもライトスタンドへぶち込んだりしていたんだなと、あらためて名シーンが目に浮かんだ。
落合といえば、大学一年の秋に当時二年連続三度目の三冠王目前のロッテの大打者を一目見ようと川崎球場での南海との試合に仲間数名と繰り出した。その時は既に西武と広島の日本シリーズが始まっていたのに、その華やかな舞台の裏でロッテvs南海という地味な試合が行われていたのである。もちろん練習試合などではなく、れっきとしたシーズン公式戦である。今では信じられないが、ちょっとの雨で試合が中止になってしまう川崎球場の水はけの悪さのせいで、日本シリーズが始まっている時期でもロッテは消化試合が残っていたのだ。しかもその日はダブルヘッダーで、入場無料だった。
川崎球場の汚くて狭いライトスタンドで落合の登場をわくわくしながら待っていたが、スタメンに落合の名前はどこにも無かった。ホームランと打点は既にほぼ決まりの状況だったが、打率は阪急のブーマーが迫ってきていたので万が一にも抜かれないために欠場したのだ。当然ながら二試合目も落合は欠場だった。「稲尾!落合出せ!!」と当時の監督をヤジってはみたものの出すわけもなく、そのまま牧歌的にダブルヘッダーは終了した。他の客も飽きちゃって、頻繁にスタンドの最上段まで登っては隣の競輪場を見下し、レース結果の方を気にする始末だった。その日の唯一の収穫は、南海の主砲門田のライトスタンドに弾丸ライナーで突き刺さってくるホームランを体感出来たことくらいだった。
名残惜しくも快適だった「道の駅ステラ★ほんべつ」の車中泊専用駐車場を後にし、国道242号を北上した。今日は先ず、一度は行かないとと思っていたが今まで縁が無かった場所を目指した。
「道の駅あしょろ銀河ホール21」だ。
ご存知足寄出身のスーパースター千春松山一色の駅なのだ。
「起承転結」という言葉は中学時代に彼から教わった。最近は全く見かけなくなったが元気にしているのだろうか。
外では猿まわしをやっていた。
駐車場の一角に二桁ナンバーの旧車が停まっていた。
懐かしのマツダサバンナのワゴンだった。放置されているのか、はたまたこれで誰かやって来たのか。
お次はドッグランがあるらしい道の駅足寄湖に寄ってみようと国道241号を走ったが、既に閉園していた。
さらに241号を西へ走り、着いた先は、
「道の駅かみしほろ」だ。
2020年OPENの駅だけにキレイというかモダンである。
レストランはあいにくと休みだったので、
パンを買って外席で頂いた。
寒いなと思って気温を見たらお昼で18.3℃だった。
慌ててジャンパーを引っ張り出して羽織り、パンを食い終わってからドッグランへ行ってみた。
ここもまた広いドッグランで、エルブレは楽しそうだった。土地が広いせいか、北海道の道の駅は立派なドッグランのあるところが多い印象だ。
たっぷりと遊んだところで次のワンちゃんたちが入って来たのでお譲りして先へ進んだ。ちょっと行ったところの「しほろ温泉」でひとっ風呂浴びて、本日の停泊予定地の「道の駅おとふけなつぞらのふる里」へ到着した。
なんでも従来のおとふけの道の駅を閉めて、新たにここで3年前の朝ドラ「なつぞら」をモチーフにOPENしたということで人気の駅らしい。
「なつぞらエリア」では菓子店雪月や柴田家の母屋やサイロなどドラマを模した建物があって、なつぞらワールドを再現している。
ドラマのファンだった人にはたまらない場所だろうが、果たしてここの人気が長続きするものなのかちょっと疑問が浮かんだ。
近くの遊歩道には向日葵が咲いており、脇の消火栓も合わせて黄色に塗られていた。
なつぞらエリアの隣には三方六の柳月さんの大きな店がある。
砂川の北菓楼のように「三方六のはじっこ」というのを毎朝売るらしく、噂では開店前から長蛇の列となるようだ。これは買わずにいられないと、奥さんは明日の朝並ぶと息巻いていた。
人気の駅なので車中泊erはそこそこ居るが、今宵はここでお世話になるということで決定し、音更の町へ夕食の調達に出た。
今宵のメニューは、帯広市民が愛してやまないとケンミンショーで語っていた「インデアン」のカレーと決めていた。テイクアウトを注文すると、「外でお待ちください」と言われて店の外で待つが、待てど暮らせど呼ばれない。カレーなんてそんな時間かかるわけないと、20分くらい経ってから痺れを切らして店内に入って聞くとなんともうとっくに出来ていてレジにあるではないか。外で待てっつーから待ってたのに声をかけないとは何事だ。
かなりモヤモヤした気分で再び「道の駅おとふけなつぞらの里」へ戻り、気を取り直して蓋を開けた。
チキンのベーシックルーと、インデアンルーを選んだ。
どれどれと食ってみると、先ずその粘度に驚いた。かなりのドロだ。カレーというより味噌に近い。食ってみると、思った通りかなり濃い。もうちょっと水分が欲しい。かなり期待していただけに、ちょっと肩すかしを食らった。
喉の渇きをチューハイで潤しながら明日は帯広でアレでリベンジするぞと誓いつつ、音更の夜は更けていったのだった。
本日の走行距離:101㎞