2022 秋の中国旅 第九日 大人の修学旅行 その一

道の駅ゆとりパークたまがわ」の朝が来た。

ここはすぐ隣を流れる田万川沿いから駅の裏手の芝生広場まで犬の散歩にちょうど良いコースが用意されている。

朝食は、昨日出雲の「ブーランジェリー・ミケ」さんで仕入れた天然酵母パンだ。けっこういい値段だったがそれに見合う美味さだった。ミカンは「道の駅ごいせ仁摩」で買った香川産を剥いてみたが、味が薄くて評判の割には大したことなかった。

倉吉で買った梨は名残惜しくも今朝で終了した。

さてここの駅は既にちょろっと県境を越えて山口になるのだが、今日は東へ向かって再び島根に入り、そこから南下する。

今日もいい天気だ。

山陰のこの辺りの家々の屋根は、赤茶色っぽい瓦がやたらと多い。かつて爆発的に流行ったのか、はたまた条例か何かで統一しているのか。

県道313号から国道187号に入りしばらく走ったところで「道の駅シルクウェイにちはら」が見えてきたので、ランチ休憩に寄ってみた。

広々としていて外席もたくさんあり、気持ちの良い駅だ。

フードコートを覗くと、ラーメンとうどん・そばがメインだが、いかにも地元の爺さん婆さんが軽でふらっと乗りつけて利用しているようで、何となく期待が持てる。

物販の方もそれなりに充実していて迷ったが、ローカルたちが食っているフードコートの方をセレクトすることにした。

かき揚げうどんwithキス天

牛丼

かき揚げうどんと牛丼をチョイスして喜び勇んで食い始めたが、期待とは裏腹に実に大したことなかった。今回はなかなか唸るような道の駅グルメに出会わない。

気を取り直して施設内を散歩した。建物の裏手の高津川沿いには親水公園がある。

駅の隣にはお得意のグラウンドゴルフ場があり、何やら建物もいくつかあった。その中のひとつに「サンネットにちはら」という楽しそうな施設が目に入った。

どんなものが展示されているのやらとふらっと入ってみると、若いお兄さんが急ぎ足で席を立って「どのようなご用件で」と笑顔で近寄って来た。何か変だなと思い「・・ここは何なんですか?」と聞くと、なんとローカルケーブルTVの会社だった。てっきり行政がやっている何かの施設だとばかり思って入ったので、ちょっと驚きつつもペコペコと頭を下げて退散した。道の駅にくっついた建物は役所がらみの公の施設だけじゃないと学んだ。

高規格なキャンプ場にも勝るとも劣らない水場があったので最後に水を汲ませて頂き、シルクウェイにちはらを後にした。

本日メインの目的地はもうすぐだ。

やがてその目的地である津和野に到着した。

遥か彼方の大昔、JKだった奥さんは修学旅行でここ津和野を訪れ、レンタサイクルで周ったらしい。だが北海道の公立高の修学旅行は京都・奈良と相場が決まっていたので、私にとっては初めての土地だ。そう、今日明日は大人の犬連れ修学旅行なのだ。

またまた小京都観光なので粗相防止のカート出動となったが、通りには人っ子一人見当たらない。

この閑散とした通りは本当に観光地なのだろうか?

すると杉玉が軒先に吊るされた酒屋さんが見えてきたので、ふらりと入ってみた。

華泉酒造」さんだ。看板商品の華泉の中から辛口を一本頂き、女将さんと若女将と少し会話させて頂いた。やはりコロナ以降は人出がガクっと落ち、土日くらいしか来ないらしい。人混みが嫌いな我が家にとってはやかましいインバウンドも皆無の現況は大歓迎だが、観光地の店たちにとってはまさに死活問題。一日も早い2019年以前の状態が喉から手が出るほど欲しいことだろう。

散歩バカのエルだが、カート散歩も気に入っているようでやたらといい顔で笑っていた。

ふと道沿いの掘割を見ると、澄んだ水の中にデカイ鯉が気持ち良さそうに泳いでいた。

先へ進むにつれ、やたらとウヨウヨ泳いでいた。

驚くべきはこの鯉たちのまあデカイこと。大げさではなく、カツオくらいありそうだ。皆「なんかよこせ」という感じで水面で口をパクパクしている。見回しても鯉のエサを売っている気配は残念ながらなかった。

何やら教会が見えてきた。津和野カトリック教会だ。

ちょいと失礼して中を覗かせて頂く。出た、畳敷きである。

長崎の世界遺産の教会群に引けを取らない趣だった。そしてこの地も長崎同様、厳しいキリシタン弾圧が行われていたようだ。

かつての藩校であった養老館。この辺りは寅さんの第13作「男はつらいよ寅次郎恋やつれ」の舞台となった場所だ。若き日の吉永小百合様演じる歌子さんのお声が今にも聞こえてきそうな町並みをゆっくりとエルブレ1号は進む。

養老館の隣の広場では見事な紅葉を拝むことが出来た。

さて津和野のメインどころはまあこれで大体オッケーかな、と折り返すこととする。

さすが小京都はクロネコヤマトも渋いカラーリング

最後に怪しげな趣の「城下町の小さな農家レストランちしゃの木」さんで奥さんが何やら栗のお菓子を買って津和野観光を締めくくった。

ちなみにこちらのお店は、今から6年前に「人生の楽園」で取り上げられたとのこと。「人生の楽園」といえば、一日も早いハッピーなリタイヤメントを夢見る日本全国の中高年リーマンに絶大な人気を誇る番組で、かく言うワタクシも現役当時から悶々としながら毎週欠かさずに観ている。にも関わらず、こちらの店の登場回の記憶は全く無かった。昼間やってる「相棒」の再放送を見ていつも思うが、「こんな回、いつやった!?」と首をひねる。人間、こうして脳細胞がひとつまたひとつとプチプチ死んでいって最後は恍惚の人となるのであろう。

津和野での大人の修学旅行を無事に終え、再び山口県の海側を目指して走る。

萩の市内に入り、夕食に何かシーフードを買えるかと思い「道の駅萩しーまーと」に行ってみた。よくある魚市場的ないくつかの店が集まった施設で、18時閉店のところ1時間前の17時に着いた。がしかし、ほとんど何も売っておらず、というか既に片付けを終えて事実上閉店していた。これでは18時まで営業しているとは言えないだろ。

もう既に口がシーフードを食うと決めてしまったフシがあるので、何か買えないかと検索して近くに持ち帰り専門の寿司屋を見つけて駆けつけた。

季咲楽」さんだ。思ったよりも安くて若干不安を抱きながらも注文し、無事受け取ってから今宵の停泊地へ向かった。

海沿いの国道191号は、赤く染まる空にパームツリーと素晴らしく良い雰囲気だった。

湘南のR134を2.5倍くらい素敵にした感じのドライブで、脳内にはオメガトライブが軽快に流れた。もちろんカルロストシキではなく、杉山清貴の方だ。

日もとっぷりと暮れた中で着いたのは、「道の駅阿武町」だ。

阿武町といえば今年の春に世間を驚かせた、というか呆れさせたあの「世紀の大誤送金」をしでかしたおバカタウンである。そんな阿武町にあるこの道の駅は温泉やオシャレなキャンプ場などもある高規格な駅だ。今の形になったのは2014年のリニューアル時らしいが、なんと実は「道の駅発祥の地」とのこと。もしも寅さんがここで商売をやったらば、「国のはじまりは大和の国、島のはじまりは淡路島、泥棒のはじまりが石川の五右衛門ならば、道の駅のはじまりは阿武の町ときたもんだ」と口上をまくしたてることだろう。

今日もいっぱい走って疲れたなと、グイっと喉に流し込むのはアサヒの大ジョッキ缶だ。

侍JAPANの強化試合を観ながら持ち帰り寿司をつまむ。値段は安かったがネタもシャリも実に良かった。

寿司に付いてきた醤油は甘口だった。この醤油の境界線は山口と島根の県境なのだろうか?もちろんこいつは使わず、冷蔵庫から取り出した自前の醤油を使った。

明日も修学旅行に出かける予定なので今夜はこのあたりでお開きということにして、ノーポップアップで早々に就寝となった阿武の夜であった。

本日の走行距離:117㎞

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