2022 秋の中国旅 第二十日 諦めきれずに執念で再び山陰を目指す

道の駅かよう」の朝が来た。

霧の濃い朝であった。

高台から道の駅を見下すと、まるで雲海のようだった。

何を企んでいるのか、変な顔をしているブレア。

「アンタなんつー顔してんの?」

やはりひと暴れしたかったんだな。今朝も元気だ。

あちらこちらに野焼の真っ黒い痕があった。

駐車場には見るからに自作の軽キャンパーが停まっていたが、よくよく見ると「わナンバー」だった。今やこんなのまでレンタルしている業者もあるのかと驚いた。まだまだ車中泊ブームは続くようだ。普通この手のクルマに乗っているのは70くらいの超ベテラン車中泊erの一人旅というのが定番だが、下りてきたのはどう見ても20代、下手したら前半の初々しいカップルだった。

今朝は、昨日矢掛宿で買っておいた高級パンに、この駅中にあるローソンで買ったパンを合わせて頂いた。

さてここでこの旅の本来のメインの目的を改めて思い出す。それは、山陰で美味いカニを食うこと、だったはずなのだが暢気に周っている間に本場を通り過ぎてしまい、萩で気づいたが時すでに遅しだった。広島でsora家と会話していたら、「それは行かないとダメだ!」と言われ、一度行ったところにまた戻るのは断腸の思いだがここでやらないと生涯後悔しそうなので、本日決行とする。再び目指すは、鳥取は境港だ!

時短のため不本意ながら最寄りの賀陽ICからさっさと高速に乗り、一気に山陰を目指す。

左手を見ると軽く雲海っていたので、これはもしや雲海の中の備中松山城が見れる!?と最寄りのPAに寄ってみたが木々に遮られてダメだった。

北房JCTを米子方面へと進む。

落合JCTから米子道に入り、ついこの前に焼きそばはモリモリ食らった蒜山を通り過ぎた。

やがて再び鳥取県に入り、

トンネルの入り口にも真っ赤なカニがお出迎えしてくれた。

米子で高速を下り、国道431号をひたすら走り、

再びゲゲゲの里にやって来た。

到着したのは「境港水産物直売センター」だ。山陰でカニ買うならここだ!とsora家からオススメされたのがここである。月曜にも関わらず、日本全国から集まって来たカニ食い野郎どもで大盛況だった。

建物内に入ると、色とりどりの美味そうな魚たちが目に飛び込んできた。どれもこれも手あたり次第に食いたくなるほど魅力的だったが、今日の我が家の獲物はこいつらじゃない。

お目当てはこの見事に紅いヤツらだ。このために賀陽くんだりからここまで戻って来たのだ。

いくつもの店で様々な大きさ、値段で売られていたカニたち。

ところで恥ずかしながら今日ここに来るまで、ズワイガニと紅ズワイガニが違うということを知らなかった。さらに松葉ガニとの違いまでも。ズワイと紅ズワイは同じで、ズワイは日本海で獲れるカニの総称でその中でもブランド港のものが松葉や越前や加能と名乗れる、と思い込んでいたのだ。無知というのは恐ろしいものだ。

さてどこで何を買っていいものか悩みながらクルクルと何週かしておっちゃん・おばちゃんたちと熱くセールストークをし、選んだのは「カニ専門店マルツ」さんだ。やはりせっかく来たのだから松葉だろと清水の舞台から飛び降りながら8,000円のを一杯選び、付け合わせ&食べ比べ用に小さい800円の紅ズワイを一杯買った。おばちゃんに「少しまかんない?」と交渉してみたが、試食用に脚を全てもがれたボディ一杯を「味噌汁用に」と渋々オマケに付けてくれただけでディスカウントはしてくれなかった。

発砲スチロールの箱も氷も要らねーぜ、と袋入りのカニだけをスマートに受け取り、コンパスの冷蔵庫へ詰めて直売センターを後にし、境港駅方面へと出発した。

今夜カニを食うのに「寿司たべたい」という奥さんのリクエストにより、

フェリーターミナルにある回転寿司「大漁丸」さんにお邪魔した。

まだランチタイムだと言うのに本マグロだののどぐろだのけっこう売り切れが多くて残念だったが、さすがは産直、新鮮でおいしゅうございました。

さて買う物も買ったので境港に今度こそ別れを告げ、今宵のねぐらへと向かった。

国道9号を東へとひた走り、途中「なかやま温泉ゆーゆー倶楽部naspal」と長い名前の湯に立ち寄りひとっ風呂浴びた。440円とお手頃で、シャンプー類は無いがサラっと気持ちの良い湯であった。

風呂を終え、ガソリンが乏しくなってきたので赤崎で給油に立ち寄った。価格表示が無かったので「レギュラーなんぼ?」と聞くとなんと驚きの174円だと言う。じゃいいですぅー、とも言えず10リッターだけ入れてさっさと出た。ガソリン価格、地域によって差があり過ぎるだろ。

日も暮れ始めた頃に辿り着いた今宵のねぐらは、「道の駅琴の浦」である。

SA型の道の駅で、高速(実際には単なる国道9号)側からも下道側からもアクセス出来るタイプだ。高速側はそれなりに停まっていたが、下道側はほとんどクルマが居なくて静かそうな予感がする。

暗くなってきたところで、いよいよ本日の、というよりはこの旅のメインイベント、カニパの始まりだ。

山陰の王者松葉ガニ

紅ズワイガニとオマケのボディのみ

やはり松葉の堂々たる姿に神々しささえ感じる。松葉の前では紅ズワイはただただひれ伏すしかないだろう。

さていよいよ解体開始である。念のため軍手をしたが、こいつらのツルっとしたカラダなど根室の花咲ガニの暴力的なトゲトゲに比べると赤子同然だ。

と言いながらも二杯捌くのはけっこう疲れた。

見よ!この王者の風格を。松葉も紅ズワイも大した差はないだろと思っていたが、まるで違った。松葉の方が断然味が濃く、上品だ。ハサミはシャッキシャキ、脚はホロッホロだ。そんな王者を、この日のために取っておいた倉吉は高田酒造で買った此君(シクン)の純米でグイグイ流す。これが合う合う。キレの良い淡麗辛口は、まるでカニに合わせるためだけに生まれてきたような酒だった。

対する紅ズワイだってもちろん美味い。相手が王者だから分が悪いだけで、こんな美味いのが800円で食えるのは東京モンからしてみれば奇跡以外の何物でもない。

此君をペロっと空けてしまい、それで足りずにもう一本、途中の「道の駅大山・恵みの里」で買った「鷹勇」の特別純米を開けてしまった。こちらはコクのある日本酒らしい味だった。

思う存分カニを楽しんだ代償として一晩中車内と手がカニ臭かったが、大満足な琴の浦の夜であった。

本日の走行距離:184㎞

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