10月13日(金)
「道の駅みんまや」の朝が来た。
昨夜は強風でかなり揺さぶられ、何度も目が覚めた。
さゆりさんは夜中は幸い静かにしてくれていたが、朝6時前から熱唱を開始した。おそらく近くのホテルに泊まっている年寄客たちが朝の散歩に出てきて、車中泊erが傍に居るなどという考えには1ミリも及ばず、次から次へと赤いボタンを押してはゲラゲラ高笑いしながら去って行くのだ。我が家は毎朝5時にアラームを鳴らしているので問題無かったが、他の車中泊erには「津軽海峡・冬景色」がモーニングコールとなったであろう。
エルはイントロの「ジャジャジャジャー!」が流れた途端に飛び上がってびびっていた。今回あまりに聞き過ぎて完全に憶えたと思われる。暮れの歌番組でこれがかかったらピクっと反応しそうで今から楽しみだ。
今朝も「アンジェリック」のパンと「SKIP EGG」のアップルパイを頂いた。ちょっと小麦の食いすぎだな。
今日で旅も折り返し、南下を開始して秋田、山形を目指す。
龍飛を後にし、今別から十三湖を目指す。ここいらも縄文の遺跡があちこちにあるようだが、今回は涙を呑んでスルーさせて頂く。
やがて到着したのは「道の駅十三湖高原」だ。ここは牛肉が名物らしいので、美味い肉食えるかと思って寄ってみた。
おあつらえ向きに外席もたくさんあるではないか。
レストランには美味そうなメニューが多々あった。
立派な外席もあるので、当然ながらお盆を持って外に行けると思い込んでいたが、それはダメだと言う。外ではあくまでもテイクアウト形式で食えとのことだった。
だがここでちょっとした問題が起きた。テイクアウトの容器は当然ながらここで捨てていいのだろうと骨の髄まで信じ切っていたのだが、信じられないことに「それは応じられない」と言われたのだ。当然ながらOKだと思ってすでに注文も終えていたのだが、「???」となった。
モヤっとしながらもとりあえず出来たテイクアウトを持ってテラス席へとついた。
頼んだのはステーキ丼と生姜焼き定食だ。料理はきっちりと作られていて、ボリュームも凄い。名物のしじみ汁もたっぷりとあり、全てにおいて味は素晴らしかった。だからこそ、容器は持ち帰れというその姿勢が残念でならない。そうであれば、お盆を外に持ち出すのを許してくれればいいのだ。そうしている道の駅は日本中にあるのだから。それがダメならば、せめて食い終わった容器は引き取るべきだ。あれもダメ、これもダメでは話にならない。全て自分たちの都合だけではないか。外からの持ち込みではなく、自分たちが売ったもののゴミを受け取らない、という道の駅は初めてだ。料理の味は良かっただけに、とにかく残念でならない。そんな姿勢なんだったら、いっそのこと道の駅なんかやめた方がいいと思う。
気を取り直して駅の周りを散歩した。
名物の肉牛が放牧されていた。
エルが牛に気づき、しばらく唸っていた。
モヤモヤしながらも腹は膨れたところで再び南下を開始した。
まるで北海道のような直線道路を快適に走る。もうここは津軽平野なのだろう。吉幾三ゾーンに突入だ。
吉幾三といえば五所川原市だが、そこには車中泊マップでA級にランクされるスポットがあるので後学のために寄ってみる。
「芦野公園オートキャンプ場」だ。こんなキレイなキャンプ場が無料だと言われると、もうワケがわからない。混乱した頭のまま、とりあえず水だけ補給させて頂いた。時間が許せばこんなところで3日くらいのんびりしたいものだ。
後ろ髪引かれつつもキャンプ場を後にし、隣の芦野公園へ行ってみた。
いざ散歩を開始した。
かの有名な津軽三味線はここから生まれたらしい。
そしてやはりここいらでは太宰先生が偉人らしい。
そして五所川原が生んだスーパースター、吉幾三の「津軽平野」の歌碑があった。掘った文字の色がかすれて読みにくかったのが残念だった。
橋があるので渡ってみよう。
橋の上から芦野湖を見下すと、
かなり干上がっていて残念だった。この夏の猛暑のせいだろうか。
まだまだ夏の陽射しだったが、一部紅葉が見られた。確実に秋、冬はすぐそこに来ているようだ。
この芦野公園はいつの日かまた訪れて2,3日のんびり過ごしてみたい。
前方に岩木山の見事なカタチを望みながら、先へと進む。
次に訪れたのは、かつて日本中で有名になったスーパーアイドルを擁した店だ。
「七里長浜きくや商店」だ。
「志村動物園」などで見るとアイドルわさおがご存命の頃はお客でごった返していた記憶があるが、
この日は客がゼロだった。シーズンオフの平日は以前からこんなものなのか、はたまたわさおバブルが弾けたからなのか。
わさおが住んでいた家を覗くと、
わさおの養女だという「ちょめ」がぽつんと一人でたたずんでいた。
客も来ないのでヒマなのか、あるいはひとりぼっちで寂しいのか、ものすごくつまらなそうにしていたちょめだった。
わさおへの線香代りにイカ焼きを一杯買って鰺ヶ沢を後にした。
今日も陽が暮れそうになってきたので、今宵の停泊地「道の駅ふかうら」へと急いだ。
道の駅に到着した時は、ちょうど裏手の日本海がサンセット直前であった。
沖の岩の溝部分にちょうど夕陽がハマるという、おあつらえ向きなシーンが見られた。
今日もいいモノを見せてもらった。
今宵は道の駅十三湖高原でテイクアウトしたイカ天にわさおのイカ焼きのイカツートップをメインに、道の駅いまべつで買った紅ショウガのおいなりさんというメニューだ。右下のは十三湖高原のテイクアウトについてきた付け合わせの余りだ。
わさおのイカ焼きは冷めてちょっと硬くなっていたがいい味だった。「かそせいか焼き村」というサブネームを持つこの駅でもいか焼きは名物なのだが、ここ3日間は不漁のため売っていなかったとの張り紙があった。ということはわさおのは、冷凍?ま、線香代りだから気にしない。
トイレの前の廊下で寝袋で寝るというツワモノが居た。真っ黒に焼けたその男はチャリンコの旅人だった。チャリンコと言ってもロードバイクではなく、前カゴの着いたごく普通のヤツだ。
そんな彼を見て「すごいですね」と声をかけてくれた横浜ナンバーのお父さんは、東日本編、西日本編と二回に分けて2年で日本一周をしたと言っていた。しかも夫婦お二人でクルマは5ナンバーのホンダフリードだった。その気になりゃどんなクルマでも旅は出来るのだ。
今夜も強風で揺らされそうだ。
本日の走行距離:128㎞