2023 秋 栃木湯けむり旅 第四日 旅の間に一度はどこかでやらないと気が済まないのか

10月16日(木)

道の駅きつれがわ」の朝が来た。

実に静かな夜だったが、朝から寒かった。車内は10℃、外は0.9℃らしい。いつまでも暑かったくせに、秋をすっ飛ばして冬がもうすぐそこに来ているようだ。

昨日ここに到着した時から居た後ろのハスラーは、この寒さの中で昨日からずっと窓が開いたままだ。心配になってそーーっと中を見たが、無人だった。他県ナンバーだが、このオーナーは一体どこに居るのやら。

すぐ傍に初代スープラが停まっていた。さすがは昭和の名車、惚れ惚れするようなセクシーっぷりだ。

排水溝からは温泉の湯気がモクモクと立ち昇っていた。

雲一つない朝だ。これが今夜から崩れるとはにわかに信じがたい。

朝陽のドッグランでひとっ走りだ。

何故か朝イチが最も機嫌のいいエルブレだけに、大はしゃぎで駆けまわった。

朝露でビッショビショになったエルブレを拭くのに一苦労した後で、朝食だ。

今朝はゴージャスなメニューだ。昨日ここの「パン工房温泉パン」で買ったタマゴ&ナポリタンロールや豚まんパンという下品極まりないB級なパンが実に美味い。この他にも王道の焼きそばパンやコロッケパンなど魅力的なのがたくさんあって、選ぶのが至難の業だった。美肌の温泉にデブパンにドッグラン、やはりここは素晴らしい。

名残惜しくも喜連川を後にし、宇都宮方面へとコンパスを走らせた。

到着したのは「道の駅うつのみやろまんちっく村」だ。46haの広大な敷地に温泉ありドッグランありと盛沢山な駅で、一度来てみたいと思っていた。

商業施設に一番近い第一駐車場は混んでいたので、広い第三駐車場に停めた。

さあ散歩開始だ、と歩き出すとミントグリーンの可愛らしいハイエースワイドミドルが駐車場に停まっていた。柴犬が三匹乗っているとステッカーでわかった。

とりあえずドッグランに行ってみるかと歩きはじめると、向こうから柴犬二頭がやって来るではないか。

ご挨拶してみると、案の定あの可愛いハイエースのオーナーさんだった。

とても穏やかな柴犬さんたちで、友好的にご挨拶出来た。三匹のはずでは?と尋ねると、もうひとりはまだチビっ子でクルマで留守番しているとのことだった。

こちらのご一家はもっか日本一周中なのだが仕事がお忙しいらしく、しょっちゅう地元に呼び戻されるらしい。ここの駅にもあるが最近続々と増えている道の駅の隣のホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」の会員さんらしく、全制覇するのを目指しているとのことだった。てことはペット可の部屋があるんですね?と聞くとそれは無く、ワンどもはハイエースで泊まるという。

良い旅を、と別れて散歩を再開した。

広大なドッグランは先客が居たのでスルーし、「森のエリア」というゾーンを歩いた。

エルの大好物な雰囲気の散歩道で、ずんずんと張り切って進む。

程なくして森を抜け、メインゲートへ着いた。

食べるところはいくつかあるが、外席が設けられているのは蕎麦屋とラーメン屋があるフードコートだけだ。

一席陣取って、出来上がりを待つ。

限定丼セット

かき揚げざるそば

焼餃子

やがてベルが鳴り、食卓は出来上がった。ちょっとかき揚げが被ってしまい、しかも相変わらず蕎麦の味の良し悪しはわからないが腹は満たされた。餃子もジューシーでなかなか良かった。

後学のために温泉もちらっと覗こうと思ったのだが、そのエリアは犬NGらしいので断念し、再び森のエリアへ進む。

その森だが、スズメバチが出るという恐ろし気な張り紙を発見した。黒い物を攻撃してくるらしいので、エルの黒鼻やブレアの出目は要注意だ。

そんなの関係ねぇ、とエルは楽しく散歩していた。

途中、前を歩く人たちががけ下を見て写真を撮っていた。なんだろ?と見ると、

何故か丹頂鶴が居た。

釧路でもないのになんでタンチョウ?と思って調べると、宇都宮と姉妹都市のチチハル市から寄贈されたヤツららしい。

鳥マニアでもあるエルブレが気づいてしまったので、吠えて脅かしてしまう前に立ち去った。

たっぷりと散歩をしたろまんちっく村を後にし、さあて帰路につくべと南下を開始した。

最後に夕食でも買おうかと立ち寄った「道の駅にしかた」で唐突にそれは起きた。

駐車場にクルマを停め終わるやいなやというところで、またしてもブレアの口角がクイっと上がったのだ。慌てて停めて、またリードも付けずにとりあえず地面に降ろしたが、既に遅し。まさかの4日目のリバースだった。3日目をクリアした時点で完全に油断していた。今回はもう無いねと。

ゲロった後は特に落ち込むでもなく、普通にオヤツを奪うようにカリカリ食うブレアだった。それにしても、何というガンコさ&しつこさだろうか。旅のどこかでとにかく一回吐いておかないと気が済まないのか。

どうにも釈然としないまま道の駅を後にし、都賀から高速に乗った。

東北道から首都高に入って一般道に下り、無事帰宅した。ブレアは、一度吐いて落ち着いたのかずっと普通の顔をして乗っていた。

道の駅きつれがわと道の駅にしかたで買って来た惣菜で飲みながらも、色々と考えていた。これまで旅の初日、二日目と細心の注意をはらいブレアのリバースに備えていた。高速メインにしてなるべくワインディングを通らない、クルマに乗る時間を極力短くするなど。

しかしながら、今日4日目に吐いたところを見ると、それも全て無駄な努力だったのではないだろうか。ブレアとしては、どこかで一発吐いておかないと気が済まないのかもしれない。吐いてやっとエンジンがかかってそこから旅を普通に楽しむ、みたいな。

いくら周りが色々と頑張ったところで、結果は何も変わらないのか。まるで、よくあるタイムスリップもので、主人公が過去に行って悲惨な未来を変えるために色々と努力するが、結局何をしても未来は同じ結果になる、みたいな。

次の旅は何日目に吐くのやら。

本日の走行距離:168km

トータル走行距離:455km

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