何年かぶりに羽田空港へとやって来た。
飛行機に乗ってどっかへ行くわけではない。
知人が北海道の北見の家を引き払って生まれ故郷の東京へ移住することになった。そのKさんは既にご主人を亡くされて永らく独り身だ。それだけ聞くと気楽な身軽だが、問題は犬が一匹、猫が二匹居るということだ。
女満別空港までは何とか来れるが、羽田から東京の家までの足が無いと言うので一役買うことにしたのだ。
平日だしきっと楽勝だろうと最初は思ったが、とんでもなかった。空港の駐車場が激混みらしいのだ。ネットで調べると、夜中や早朝なら空いているようだが、日中は「満車」という赤い字が点きっぱなしだ。それならば予約だと思ったのだが、その予約も一杯だった。おいおい、なんでこんなに混んでんの?
直前になるとキャンセルも出るとネットにクチコミがあったので、辛抱強くサイトを覗いていると当日朝に空きが出た。これ幸いと予約を入れてほっとしつつ余裕をもって羽田にやって来ると、一般車のレーンにはなんと「現在90分待ち」との看板が見えて震えあがった。今朝予約が取れなかったらとんでもない目にあっていたな、と。駐車料金とは別に予約代で1,000円取られるが、どう考えてもこりゃ予約だろ。
90分待ちの車列を後目に予約車専用レーンからスイっと入り、5Fの専用フロアへ上がると、スッカスカだった。
コンパスを停め、いざ到着ロビーへ。
JAL562便は定刻よりも早く着くらしい。飛行機なんて定刻よりも20分くらい遅れて着くもんだと思っていたが、こんなこともあるのだな。
待っている間にロビーを眺めていると、面白いカタチのスーツケースが目についた。子供が跨れるようになっているらしい。ぐずついた時などにはきっとちょうどいい気晴らしになるのだろう。
やがて飛行機が無事到着し、Kさんの姿が見えた。スーツケースの前に先ずは大事な犬猫を受け取るべく係員のところへ向かうと、「ワンワン!!」とガラス越しにも聞こえるほどの犬の大声が。
事前にLINEでもらっていた写真ではエルくらいの大きさだと思ったのだが、
実際に会ってみると、声もデカイがカラダもけっこうデカイ、タピちゃん(10か月)だった。
まだまだパピーなのか、よく言えば元気溌剌、悪く言えば落ち着きが無い。1秒たりともじっとしていないので、写真もブレブレだ。まあ、初めての飛行機でしかも貨物室に閉じ込められていたせいもあるだろう。
そしてこちらが二匹の猫のケージだ。
上のケージからは小さいながらも「ニャーニャー」聞こえてきたのでめくってみると、可愛らしい顔が出てきた。下からはうんともすんとも聞こえてこないので「大丈夫ですかね?」とKさんに聞いたが、その時は「大丈夫大丈夫」との返事だった。
それにしてもタピちゃんも猫ちゃんたちも、ノーゲロで初飛行機をクリアしたとのことで感心感心。かつてエルブレが与論から東京へ来た時の様子は詳しくは聞いていないが、きっとゲロまみれだったに違いない。
Kさんご一行をコンパスへとお連れする。
この日のために、100均のレジャーシートで二列目と足元を覆い、土足&ゲロ対策をしてきたが、
大のクルマ好きだというタピちゃんは、実に嬉しそうに座っていた。エルブレと同じ保護犬だが、見ての通り完全なる洋犬系。エルブレのような根暗なところが皆無の天真爛漫な子だった。10か月の女子だが既に20kgあり、まだ手加減を知らないせいかもの凄いパワーだった。エルの引っ張りなんて可愛いものだ。
着いた時からニャーニャー言ってたテンちゃんこと天馬君にご褒美チュールを振る舞う。
推定10歳のギンちゃんこと銀河君は飛行機ショックなのか目が虚ろでチュールも食わず。ちょっと心配だ。
「ギンちゃん要らないならアタチがいただきマス」、と猫用チュールを舐めるタピちゃん。犬用より猫用の方が美味いらしく、食いつきが違うとのことだ。
空港からはサクっと首都高に乗り、無事にKさんの新居へ着いた。
テンちゃんは新居に興味津々で、探検しまくりだった。移動が嫌いな猫なのに、実に逞しい。
かたやギンちゃんは狭い隙間に避難して、表情がちと暗い。落ち着くまでしばらくかかるかな。
オホーツクから23区内への大移住。猫は家につくので住めば都だろうが、タピちゃんはあまりの環境の違いに順応できるものか心配だ。
それにしても犬猫を連れて飛行機で移動するということの大変さを今回あらためて感じた。エルブレはまずそんなことにはならないとは思うが。。
とりあえず無事責任も果たせたということで、本格的に暑くなってくる前にさくっと北海道にでも行ってくるかな?