11月16日(日)
「道の駅虹の森公園まつの」の朝が来た。

早朝から叩き起こされるのを覚悟して寝たが、意表をついて静かな夜だった。5時くらいにようやく通りの向こうの大会本部のあたりから控えめなアナウンスが聞こえてきて、5時半にこれまた控えめなカウントダウンからレースがスタートした様子だった。せっかくだから観てやろうとも思ったが、眠いわ寒いわで起きられず。
朝一散歩で何とか外に出ると通りも大会本部ももぬけの殻で、本当にさっき自転車レースがスタートしたとは信じがたいほどの静寂だった。

濃霧の朝だった。



朝食は昨日「道の駅なかとさ」で買ったパンを頂く。

どのパンも生地自体が美味い。
今朝は早いうちに、

公園の隣にあるコインランドリーで、この旅最初の洗濯を済ます。
ブレアの腹も固まったので、九州へ渡る明日の朝のフェリーをネット予約した。今夜はフェリーの港に泊まろう。

そうと決まれば出発だが、その前にダメ押し散歩に出た。

公園の駐車場の裏手にはキレイなコスモス畑が広がっていた。
引き続き道の駅の裏手の河川敷にも行こう。

昨日ここに来た時から、「道の駅の名称にもなっている虹の森公園というのはいったいどこ?」とずっと疑問に思っていたが、どうやらこの河川敷一体が公園らしい。


公園の一画にはクルマがたくさん停まっていた。屋根のキャリアやステッカーなどを見るに、自転車レースの参加者たちのだろう。九州や大阪などけっこう遠くから来ているようだ。


こんな何でもないような散歩がエルにとっては嬉しいようだ。

お世話になった松野町に名残惜しくも別れを告げ、国道320号を西へ向かう。

山道から平坦な宇和島の市街地へ入ると背の高いパームツリーに出迎えられ、南国気分が高まる。
先ずは昼飯でもと「道の駅うわじまきさいや広場」に立ち寄った。港にある道の駅でエルブレにとってはひとつも楽しそうじゃなさそうなのでコンパスで留守番してもらう。

ここのフードコートの海鮮は割と評判がいいらしく、日曜ということもあって多くの客が来ていた。それでも3分ほど待つと席が空いたようで食券を買う許可が店員さんから出た。どれも美味そうで迷いながらも選び、席で待つ。

先ずは奥さんが頼んだほづみ亭さんのぶっかけひぶりめしが出来た。評判がいいだけあって魚はどれも新鮮で美味い。これで1,150円は破格だ。ただ玉子をかける際に黄身だけにしておけば良かった、と奥さんは若干後悔していた。
その間、ワタシの頼んだ方が待てど暮らせど出てこない。別な店とはいえ、ちょっとタイミングが違い過ぎるなあ。

ようやく漬け丼が出来たと案内された時は、奥さんはほとんど食い終わっていた。ただ待った甲斐があるほどこれまた美味い魚たちだった。漬けの味も絶妙で一気にかっこんだ。これも1,080円はお得すぎる。共にこれだけのクォリティの魚が1000円ちょいで食えるからこそこれだけ人が集まるのだろうが、それでも関東みたいに1時間も並ぶなんてことが無いのがまた素晴らしい。
食後は夕食に良さそうな肴をちょいと買い、北に進路を取った。

ナビに導かれるままに無料区間の高速に乗り、

西予宇和ICで下り、

長閑な国道56号を快調に北西へと向かい、

突如田園地帯に現れたマンモスの親子に驚き、

やがて到着したのが、

「道の駅八幡浜みなっと」だ。
フェリーターミナルの脇にある道の駅でキレイな芝生広場があるというので休憩のため立ち寄ったのだが、、

またまた冷たい仕打ち。。。

しゃーんめ、芝生以外のところを散歩するべ。

しかし今日も暑い。

駅の外も歩いてみよう。

かつては栄えていたのであろう古い一画があるな。

さすがは柑橘王国、郵便ポストもみかん色だ。

さてそろそろ佐田岬半島へ向かって出発するか。
とその前にうちの奥様、愛媛に来たからにはどうしても紅まどんなが食いたいとここまで言い続けているのだが、今ところどこにも売っていない。

そこで、ここならばもしかして!?と執念で調べたJA直売店に寄ってみた。
結果は空振り。まず時季がまだ早く(旬は12月上旬)、店頭に並んだとしてもごく少量で朝一で一瞬で売り切れてしまうそうだ。代替のみかんを買って先へと進む。

徐々に陽が傾きつつある佐田岬半島を西へと向かう。
次の目的地は風呂だが、その前に「道の駅伊方・きらら館」に寄ってみる。ここのウリは屋上からの絶景で、瀬戸内海と宇和海が一度に見られるというのでひとり代表して上ってみた。

おお、確かに絶景かな。

右の方に見えるあの白いのが、

有名な伊方原発かな?
さてお次は風呂だ。

国道197号から脇道に逸れ、最後は強烈なダウンヒルのクネクネ道をしばらく走ると、

「伊方町健康交流施設 亀ヶ池温泉」に到着した。
ちょいといい子で待っててねとエルブレに声をかけた瞬間、どっか山の方から「パン!!パン!!」と乾いた銃声のような音がした。う、、マジか。猟師なのか、はたまた鳥除けの空砲なのか。いずれにせよブレアの大嫌いな音だ。しかも一度で済まず、定期的に鳴る。
さっさと入ってすぐ戻って来ねば。。
施設はやたらと立派でキレイだった。やはりこれも原発マネーなのかな?と思いながら700円を払う。下駄箱と脱衣所ロッカーは無料だ。いい湯だったがブレアの様子が気がかりなのでいつもよりもさらに早上がりして駐車場へと急ぐ。
やはり銃声は定期的に鳴り続けていたようで、ブレアの精神状態はかなりヤバイ状況だった。
せっかく治ったゲーリーが復活しないといいが。。。奥さんが上がって来るのを待つ時間が永遠にも感じられる。
ようやく戻って来た奥さんを乗せて逃げるようにこの場を立ち去り、今度は強烈な上り坂を喘ぎながら上り、国道197号へと戻った。

夕闇が迫る中、フェリーターミナルを目指してダウンヒルを走る。

そして暗くなる前にようやく本日ご厄介になる「佐田岬はなはな」の駐車場に到着出来た。ふー、今日もお疲れさん。
ここはワタシが勝手に師匠と仰ぐ稲垣さんオススメの宿場なのだ。暗くなる前にトイレの場所なんかを見ておこうかと、場内をうろつく。

段々と暗くなってきてトイレがイマイチどこにあるのかわからない。案内図を見てようやくたどり着いてみると、あまりの衝撃にその場に立ちすくんだ。
17時で閉まっていて使えない!
参った。完全にアテが外れた。どーすんだ、これ。
一番近くの道の駅まで暗い中で20km近くも上りの山道を戻るのもかったるいし、あそこたしか目の前の道がメロディーラインになってたからうるさくて眠れそうにない。他に車中泊に良さそうなところも無さそうだ。

もうこうなりゃ明日の朝のフェリーをキャンセルして、今日これからの便で九州に渡っちまおう!早速乗船券売り場に行ってその旨を言うと、どことなく忍成修吾くんに似た若い職員さんから「2本先の船まで予約一杯ですねぇーー」と無情の言葉が。

そうだ、今日は日曜だもんなー。。
ここ三崎港から大分の佐賀関まで1時間に1本の便が出ているが、ちょうどさっき17:30のが出航したばかりで次は18:30だ。

その次もダメだとしたら良くて20:30の便ということになる。佐賀関に着くのは21:40だ。おせーー。。
「とりあえずキャンセル待ちというカタチで乗船券を買って頂くしかないですかねー。二便先までは無理だとしても、今日中には確実に乗れますから」
忍成くんにそう言われて券を買い、コンパスを乗船待ちの列につけた。外の係員のオッサンからも「まあ18:30、19:30のはダメでしょー」と非情な言葉を頂く。

待機列につけたのでとりあえず散歩に出た。

腹も減ったので閉店間際のお土産屋さんに飛び込んでじゃこ天とじゃこカツを買った。

コンパスに戻って買ってきたじゃこ天とじゃこカツを頬張る。温かくて美味かった。
やがて18:30の船がやって来て、隣の列のクルマたちが続々と船に乗り込んで行った。一縷の望みを持って船を凝視していたが、うちが誘導されることは最後まで無かった。ま、そりゃそうだわな。
ほどなくして係員が近寄って来て、「19:10までには戻ってきてくださいね」と言う。ん?それってもしかして19:30のには乗れるってことかい??

コンパスの中でただただ待っていると、徐々に疲れがのしかかってきた。早く落ち着きたい。
やがて19:10になるとまた係員が来て、うちの乗船券の確認もしたではないか。やった!19:30のに乗れるってことだな!

その後無事に船内に誘導され、

19:30に無事出航となった。色々とあったが、さらば四国よ。また来るぜ。
そして20:40、

大分は佐賀関港に無事到着した。

3年半ぶりの九州上陸だ。

普段は極力走らないようにしている夜道を慎重に西へと向かう。

ほどなくして「道の駅さがのせき」に到着した。

長かった一日がようやくもうすぐ終わってくれる。

もう21時なので夕食もパスしたいところだが、昼間に宇和島で刺身を買っちまっている。しゃーない、最近凝っているオランダの安ビールと共に刺身だけ頂くか。


ん?イカもタイも味がしない。。まさかコロナにでもかかったか!?と不安になったが、奥さんも同じだと言う。タイに至っては身がボソボソもする。フードコートの魚は美味かっただけに期待外れも甚だしい。日本酒開けなくてよかったー。

この先九州の美味い魚を食いまくったる!とリベンジを誓い、全員疲れてバタンキューな佐賀関の夜なのであった。
本日の走行距離:105km (フェリー 30km)

