1972年 冬

ここ数日、北京冬季五輪に一喜一憂している。開催地や不可解な判定など気に食わないことも多々あるが、道産子のはしくれとしては観ないわけにはいかない。

男子ノーマルヒルやスノボハーフパイプの爽快な勝利は格別だが、高梨沙羅ちゃんや高木菜那ちゃんの号泣はあまりにも切なくジジイも思わずもらい泣きだ。また、我々の時代はスピードスケートやノルディック複合などの硬派な競技が主役だったが、昨今はビブスをチャラくワンショルダーで着るような競技に移りつつあるようで時代を感じる。

私にとっての冬季五輪は地元札幌で開催された1972年大会が最初である。親父は当時5歳の私を連れて宮の森シャンツェで行われた70m級を観に出かけた。今で言うところのノーマルヒルだ。

そう、なんと日本の五輪史上に今も燦然と輝く「日の丸飛行隊」を生で観ているのだ。私にとって数少ない自慢の一つなのだが、実は映像としてはほとんど記憶には残っていない。おぼろげに残っている記憶は、ただただ寒くて帰りたかったのと、斜面に面した席から見る猛スピードで落下していく選手たちにたまげたぐらいだ。しかも、地元の選手たちが金銀銅を独占して超盛り上がっている会場で何を思ったのか5歳の私は4位になったノルウェーのモルクという選手を応援していたらしい。ノルウェーという初めて聞く国名か、はたまたモルクという響きが5歳のガキの琴線に触れたのか、今となってはわからない。ちなみにこの五輪はそれなりにこのクソガキを魅了したらしく、TVで初めてバイアスロンという競技を観た途端に、背中におもちゃの鉄砲を担いでミニスキーで颯爽と家を出て近所を一周していたとも聞く。

そんな我が故郷の札幌は2030年にもう一度開催しようと企んでいるらしい。色々あった昨年の東京を考えると、個人的には反対だ。何かあった時のリスクがデカすぎるし、負の遺産をたくさん産むので結局失う物が大きい。金の亡者のIOCとは金輪際関わらない方が良い。五輪を国威発揚に利用したいようなお金持ちの国たちにでもお譲りしていた方が無難と思う。

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