「道の駅 なかつ」の朝が来た。
相変わらず風は強かったもののトナラー攻撃にも合わずポツンとのんびり寝られた。
エルブレもよく眠れたようだ。
朝食は、昨夜売店でかけこみで買った唐揚げの残りと鶏とゴボウの炊き込みオニギリにインスタント味噌汁を組み合わせた。
道の駅の最果ての駐車スペースということもあって、久々に午前中いっぱいのんびりさせてもらった。ブレアの胃の消化待ちというのもあるが、あまりガツガツとクルマ移動ばかりしているとエルの機嫌がどんどん悪くなるのを防ぐ意味もある。
ブレアといえば、昨日の3日目はノーリバースで凌げた。少し勘を取り戻してきたかもしれない。そしてエルのアゴ下の白毛が実はハートっぽいということに今さらながら気づいたのだった。
さて今日の最初の目的地はここから少し行ったところにある耶馬渓だ。渓と聞くと即ワインディングロードが頭に浮かんで「ブレア大丈夫か?」と腰が引けてしまうが、さほどひどいアップダウンもなく耶馬渓橋の傍の駐車場に辿り着けた。
レトロな橋とキレイな川に山と青空。素晴らしいロケーションだ。この山々が紅葉するシーズンであればそれはそれは絶景だろうと思う。平日でほぼ貸し切りののどかな景色を眺めているとまた脳内には寅さんのテーマが流れた。
階段で川沿いまで下りてみると清流の中に小さな魚影がわんさか見えた。何かの稚魚なのかベイトなのか。
橋のたもとに天然酵母パンの「小谷瀬パン工房」というパン屋さんがあったのでフラっと入って明日の朝食用に買ってみた。
そこから次に向かうは青の洞門だ。先には駐車場もあったと後でわかったが、エルブレの散歩にとテクシーで進んだ。
その昔、禅海和尚が掘った日本で最初の有料道路らしい。
トンネルを抜けると競秀峰のド迫力の景観が広がる。
いやはや、想像を超える景観に大満足だった。さらに進んだところにお目当ての碑があった。
昨年訪れた天橋立で日本三景はコンプリートしたが、ここ耶馬渓でさらに新日本三景をもハレてコンプリートすることが出来た。ここからさらに南下した深耶馬渓と呼ばれるゾーンまで訪れるのが正統なのかどうかわからないが、道がクネクネそうなのでそこは避けてここで耶馬渓はDoneとすることにした。
碑からまた来た道を戻って耶馬渓橋の駐車場へ歩き、そこからランチをとりに「道の駅 耶馬トピア」へ向かった。
たいてい道の駅の食事処は17時とか早い時間に終了するが、ここの蕎麦屋はなんと15時なので要注意だ。店の方にお願いしてテラス席を用意してもらい、エルブレとともに座れた。蕎麦と山かけが名物らしいので、とろろめし&かけそばと、山かけうどん&ごぼう天をチョイスしてみた。
蕎麦はあまり香りが感じられなかったが、とろろはかなり美味かった。
耶馬渓を後にし、コンパスを一路南へ走らせた。不本意ながら時間短縮のために東九州自動車道を使った。
地方にありがちなメイン片側一車線の高速で、北海道の感覚だと飛ばすと捕まる悪い予感がぷんぷんするので大人しく走っていたのだが、それだと後ろから地元ナンバーにがんがんあおられた。制限速度70キロのところを110キロくらいで皆さんぶっ飛んで行く。こちらは取締りが無いのだろうか。
目的地の手前の別府湾PAで休憩を取ることにした。嬉しいことにここにはドッグランがあり、さらに溜まったエルブレのウンチも捨てることが出来た。
ここもかなりの強風だったが、快晴の中眼下には別府湾と町並みが一望できる。
ランで一息ついた後は次の別府ICで高速を下り、本日の停泊地の別府へ向かった。
別府近辺にはちょうどいい塩梅の道の駅が無いため、お宿の駐車場で泊まらせて頂くことにした。
「べっぷ好楽」さんという温泉宿の裏手の駐車場が本日の停泊地だ。我が家お初の「湯YOUパーク」利用である。RVパークは誰でも利用可能だが、湯YOUパークやぐるめパークといった施設は「くるま旅クラブ」の会員じゃないとダメらしいのでわざわざこの旅の前に4,400円も払って入会しておいたのだ。
しかし受付で二人分の風呂代を含め3,200円を払った際に会員証の提示は求められなかった。これじゃあ入会しなくても利用出来たんじゃないか?ちなみに支払いは現金のみだった。
正面玄関の左の扉が24時間出入り出来てトイレも利用可能で、風呂はなんと翌朝9時まで入り放題だ。日本一の湯量を誇る別府の湯を源泉かけ流しで満喫出来るとはなんと贅沢なのだろう。受付やロビーは「The昭和」という感じの古さだが、風呂は期待出来そうだ。
このお宿は別府タワーのすぐ傍という別府市街にあるということで、先ずはちょっと近所を散歩してみた。別府の中心部に近いはずだが、どうにもこうにも活気が見られない。コロナのせいなのか。海沿いにも出てみたが帽子が吹っ飛びそうな強風だったので早々に退散してコンパスへ舞い戻ってきた。好楽裏手駐車場は建物に囲まれているので上手い具合に風を避けられて助かる。
エルブレに晩御飯を上げた後で、いよいよ憧れの別府の湯へ突撃した。
ちょうど誰も入っておらず、贅沢に貸し切りで楽しめた。お湯は熱めで少しぬめりがあり、運転の疲れがすっと取れていった。カランがお湯と水に二つに分かれたクラシカルなタイプだった。
別府の湯を堪能してコンパスに戻ると、駐車場のマンホールの上に黒白の猫が居た。
温泉の熱がちょうど床暖房のようで気持ちいいのだろう。さらに上方の箱の中には丸くなった茶トラが居た。宿の従業員がわざわざベッドを作ってあげているのだろう。この茶トラと下の黒白の上下関係がよくわかる。
猫には癒されるが困ったものだ。猫大好きなエルがコンパスから降りる時に大騒ぎになるのが確実だからだ。
温泉を楽しんだ後のゴールドスターは五臓六腑に染みわたる。いやー、極楽。
奥さんが長風呂から戻ってきたところでディナーのため別府の街へ繰り出した。今宵は清水の舞台から飛び降りる覚悟の大奮発だ。
我が故郷が誇るスーパースターの大泉洋とその盟友の戸次重幸が全国の美味いものを食いまくる「おにぎりあたためますか」の大分編で紹介された豊後牛の名店「そむり」さんにお邪魔したのだ。普段は買ってきたお惣菜をコンパス内で食って安い酒を飲んでいるのに比べると、超お大尽だ。
もう二度と食えないかもしれないので、豊後牛のヒレとサーロインのコースを頼んでシェアすることにした。
ヒレもロースもとにかく信じられないくらい柔らかく、肉の味が濃厚だった。これならGACKTもきっと絶賛間違いなしだ。遠い昔に奥さんの親父さんに食わしてもらったバブリーなステーキを思い出した。
宮のタレを10倍高級にした感じのステーキソースやマスタード・レモンバター・おろし醤油なども付いてくるが、結局はシンプルに塩コショーだけで食うのが一番だった。
美味い肉を頂いて幸せな気分で夜の別府シティを歩いていると何やらカラフルなマンホールがやたらと目についた。
エルブレが良い子で待つコンパスへ戻ってウイスキーお湯割りを飲みながらDAZNで我が札幌と福岡の試合を観た。
旅の疲れと酒のせいで半分寝ながらの観戦だった。今年は引き分けばかりでイマイチぱっとしない。
試合終了とともにバタンキューな別府の夜であった。
本日の走行距離:77㎞