「貸別荘ふなざし」の朝が来た。
予報通り、朝から恐れていた本降りだ。朝一のオシッコに連れて行くにもカッパを着せないとヤバいほど降っていた。無事に済ませた後もカッパを脱がせて足を拭かないとならないが、玄関で出来るというだけで宿を取った甲斐がある。車中泊だとそれも全てスライドドアの外でずぶ濡れになりながらやらないといけない。犬連れ車中泊er殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の一日も降ればいい。
コンパスの限られたスペースと違い広いダイニングキッチンなので、今朝はパンにスープにといつもより豪勢だった。食器も20人分くらい用意されているので、遠慮なく使わせて頂いた。
さて本日だが、天気予報ではこの雨も15時くらいには止むということになっているので、それまではどこかでじっと避難せねばならない。色々と検討した結果、熊本市の南にある嘉島町の「イオンモール熊本」に立体駐車場があるようなのでそこで雨宿りをさせてもらうことにした。関東と違って土地が有り余っているので地方にはなかなか立駐が無いが、ちょうどよい塩梅の場所があったのだ。
土砂降りの中で母屋まで宿賃を払いに行き、領収書ももらえなかったがお世話になりましたとお父さんに挨拶をしてふなざしさんを後にした。止む気配の無い雨の中を1時間弱走り、やがて広大なイオンモールに着いた。
巨大な敷地のすぐ脇にエネオスがあり、LINE割引は無いかとキョロキョロしていたらウガンダ・トラ的な人の良さそうな店員さんが寄ってきて手取り足取り友達登録を教えて頂いた。店頭表示の169円から6円引きで満タンに入れることが出来て一安心。ついでに空気圧チェックもして頂いた。ヘビー級のコンパスは何故か左後輪だけ空気が抜けていることが多いので、ちょくちょく見てもらわないといけないのだ。
「明日からちょうど市内で花博があるんですよ。いかがですか？」とウガンダさんが教えてくれた。全くもって興味が無いが色々と親切にして頂いたので笑顔で「ほー、そうなんですね。けっこうな人出なんでしょうね」と一応かえしたら、「混むんですよ」とのこと。この旅では極力人を見たくないので、「ありがとうございました」とだけお礼を言って立体駐車場へ向かった。
立体駐車場もかなりの大きさだったがそれに輪をかけて平置きも山ほどあり、しかも平置きの方が店舗に近いので立駐はガラガラだった。こちらは隣にある日帰り温泉の「嘉島湯元水春」の客がメインの利用者のようだ。
いつでもカッパを着せて連れ出せるように立駐の一階の端っこに陣取り、コーヒーを飲みながらウダウダと過ごした。タダで居座るのも悪いので、エルブレに留守番してもらってランチと買い出しにモールへ行ってみた。巨大なイオンなだけかと思っていたら、たくさんのショップが入っている立派なショッピングモールだった。
一通り見た後で回転寿司の「九州すし市場」に入ってみた。
限定の20貫セット1,100円がまだあったので迷わず飛びついた。ただ例の甘い九州醤油しか置いてなく、コンパスから醤油を持ってくるのをすっかり忘れてしまった。苦肉の策で初めて醤油レスで寿司を食ってみたが、ネタ本来の味をじっくり楽しめてまさに怪我の功名だった。この新鮮な寿司が1,100円で食えるとはレベルが高い。さらに具の無い味噌汁が飲み放題だ。
ランチ後にイオンで少し買い物をしてまた立駐へ戻った。まだまだ止みそうにないのでPCを見たりコーヒーを飲んだりしてじっと雨が上がるのを待った。奥さんはエルブレと気持ち良さそうに昼寝していた。
やがてYahoo天気によると15時半くらいには上がると言うので、まだ降っている中お世話になったイオンモール熊本を出発した。目指すは熊本市街である。
国道266号線はけっこうな渋滞だった。今回九州に入ってから初めての渋滞だ。まあ環八などに比べれば全くもって大したことないのでストレスは無いが。そうこうしているうちに目的地に到着した。
ご存知熊本城だ。着いた頃には予報通り雨も上がり、晴れ間ものぞいた。
有料エリアは犬はNGなので外側を歩いた。
あの大地震からもうすぐ6年を迎えるが、修復工事はまだまだ終わりそうにない。被害の跡がとても痛々しく胸が痛い。あらためて地震の恐ろしさを目の当たりにした。
お城を後にし、県道31号から国道266号を北上して本日の停泊地へ向かった。今宵の食料だがイオンではこれという物が見つからなかったのでさてどうしようかと悩んだ挙句、熊本に入ってやたらと目にする「おべんとうのヒライ」という店が気になったので植木店に入ってみることにした。
大型トラックのスペースもある駐車場があり、店内はお弁当だけじゃなくお惣菜もたくさん売っていてB級な香りが充満していてかなりテンションが上がる。レストランやイートインコーナーもあり、トラックの運ちゃんなどはここで食事を済ませているようだった。散々迷いながらも惣菜を買い込み、停泊地へ向かった。
本日お世話になるのは「道の駅すいかの里植木」である。レストランは無いが様々な野菜や果物が並ぶ物販が売りのようだ。駐車スペースもたっぷりあり、ちょっとした広場もあるので犬連れには良さそうだ。すぐ傍にコンビニとドラッグストアもあるので、いざという時には安心だ。
ヒライで調達したメニューは、だし巻き、白和え、赤スパゲティ（ナポリタン）、ちくわ天と大衆酒場のようなB級揃いで、それらをイオンで仕入れた焼酎ハイボールドライで流した。白和えだけがちょっと甘すぎて残念だったが他は全て美味かった。特にちくわ天にはなんとインナーにポテサラが入っているという意外さで、ボリューミーで味も最高だった。熊本を席捲しているというのもわかる。
一日も早い熊本城の復興を祈る想いと、雨をなんとかやり過ごせた安堵感に包まれながら植木の夜は静かに更けていった。
本日の走行距離：64㎞
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