2022 早春の九州一周旅 第十九日 テーマを潜伏キリシタンに戻し、夜はまたまた雨宿り

道の駅夕陽が丘そとめ」の朝が来た。

昨夜、寝始めにまたしても走り屋風のやかましいエンジン音が駐車場に入ってきた。「道の駅フェニックス」の悪夢が再び?と一瞬びびったがめんどくさくてそのまま寝ているとすぐに消えた。そこから朝までは概ね静かで快適だった。

駐車場を見渡してみるとどこにもトナラー状態が無いという、とても健全な状態だった。こうでなくてはいけない。逆に空いているのにわざわざピタっと横に停まるその神経がどうしても理解出来ない。かつて誰かから「詰めてお停めください」という教育でも受けたのだろうか。

昨日は買い物をしていないので、保存食のお湯を入れるだけで出来る山菜おこわとハムの残りが今朝のメニューだった。いざという時には非常に便利だ。

今日はまたしても午後早くから明日の朝まで忌まわしい雨予報が出ている。雨量がそこそこありそうなのでまたしても素泊まりの宿を予約してしまった。出費が痛いが雨にだけは勝てない。

昨夜ここに着いた時には既に暗くなりかけていて気づかなかったが、大型のPの方から今日これから訪れる集落が一望出来た。今日は、一旦ストップしていたテーマの「潜伏キリシタン関連巡り」を再開するのだ。

駐車場を歩いているととんでもなく愛想のいいカワイ子ちゃんに出会った。柴犬のはなこちゃんだ。

柴犬は和犬気質のせいか他犬と仲良く出来ない子も多いが、はなこちゃんは見た目は和犬だが中身は洋犬だった。エルブレもフレンドリーに挨拶出来て、我々人間に対しても懐こかった。最近はこういう柴犬さんが増えてきているような気がするが気のせいか。

お世話になった「道の駅夕陽が丘そとめ」はトイレもキレイで数もそこそこだし、周囲に店が無いせいか物販も非常に充実していた。次回は晴天の時に訪れてキレイな景色を楽しみながらのんびりしたいものだ。

道の駅を出発して5分ほど走ったところにある出津教会が本日最初の目的地だ。

ともえ美容室の裏手にある無料駐車場にコンパスを停め、急な坂をちょっと上ったところに建つこの教会は明治15年築。両サイドに塔があるデザインは珍しいらしい。こちらもまた、なんとも言えない趣のある教会だ。

教会内も拝観させて頂いたが、崎津などと違いこちらは寛容にも祭壇のすぐ前まで部外者の侵入を許して下さる。有難くマリア様に手を合わせ、わずかばかりの寄付を置いてきた。

信者の方と思しきガイドのお父さんが玄関のところでエルブレを見ていたので、「聖なる場所に犬コロなんぞ連れて来おって」と苦々しく思っているかな、と少し不安になったが、「かしこそうだね」と優しく話しかけてくれた。「NHKでカナダだかどこかの犬ぞりの番組をやってたが、そのときの犬に似ている」とブレアを指しておっしゃっていた。ハスキーやマラミュート系の犬を指していると思うが、さすがに大きさは全然違うので顔つきが似ているとおっしゃりたかったのだろうか。

お父さんとお別れし、坂道を今度は下って駐車場へ向かった。

途中のカフェの裏手に居た子

次の目的地は出津からまた5分ちょっと走ったところにある。

駐車場にコンパスを停めて今度はエルブレを車内に残し、石の階段をヒーヒー言いながらしばらく上ったところにあるのが明治26年築の大野教会だ。

森の中にひっそりと建つ教会はなんと石造りの実に渋い造りだ。

残念ながら内部は拝観出来ないが、一見の価値は十分ある。こちらにも信者でもあるガイドのお父さんが立っていて色々と興味深い話が聞けた。出津とここ大野の祖であるド・ロ神父はとにかく派手嫌いで、「余計な装飾など要らん」、「教会はただ祈りの場なのである」というお考えだったようで、出津もそうだったが派手なステンドグラスも無くただただシンプルな教会を建てられたとのこと。石積みのこの大野教会は十字架ですら屋根の瓦の先っぽに小さな赤十字がひっそりとあるだけだ。このシンプルな造りが逆に息をのむほどの趣と機能美を感じさせてくれて、しばらく無言で見入ってしまった。石の階段を上って来た甲斐があるというものだ。

ここは出津より11年後にわずか26戸の信者のために建てられたらしく、その前までは道なき道を越えて出津まで通っていたとのこと。先ほど出津からここまでクルマで5分くらいだったが、当時は徒歩で行って帰ってくるのに一日かかっていたらしく信仰の深さに胸が打たれる。また教会内は今でこそ椅子に座るが、お父さんが子供の頃は板張りで正座だったので説教が終わると足が痺れて大変だったそうだ。

出津と大野の二つの世界遺産を訪れた後は、202号を北上して佐世保を目指した。途中「道の駅さいかい」で休憩を取ったが、駐車場にはYナンバーが見えた。沖縄の人間から聞く話では、Yナンバーと事故ったらすぐ基地内に逃げてしまって泣き寝入りになるから気をつけないといけないとのことだ。

さて今日のランチだが、佐世保といえばバーガーかとなるが奥さんは「レモンステーキが食べたい」と言うので色々と調べて一軒良さそうな店を見つけた。グーグルマップに入れてひたすら言う通りに進んだが、どうも思ったより遠い感じでおかしいなと思った。

やがてたどり着いたところは「西洋食堂 信」さんだが、「佐世保名物レモンステーキ」と謳いながらよく見ると住所が佐賀県になっているではないか。気づいたら県境を越えて焼き物で有名な有田に来てしまっていた。

しかも何を思ったかテイクアウトを買って店の駐車場で食ったのだが、ここで食うなら店内に行けばよかったと食い始めてから気づいた。ボリューミーで美味かったからまあいいのだが。

腹が満たされた後は近くでちょっと買い物をし、再び長崎へ戻って早めに今日の宿にチェックインすべく有田を後にした。

佐世保市内に入ると海は完全に軍港の雰囲気となった。そして市内を抜け最後はクネクネの細い山道を通り、本日お世話になる「はな一」さんに着いた頃には雨がパラつき始めた。

このはな一さん、何かと残念な宿だったが先ずはチェックインの時からそれは始まった。ここは全室離れの宿なのだが、何故か我が家の離れだけ鍵が無いと言い出した。従業員の誰かが鍵をどこかに持って行ったらしいのだが結局見つからず、しばらく受付で待たされた挙句に一台の軽トラがやってきて温水洋一似のオッサンがチンケな合鍵を持ってきてくれた。

一応鍵ももらったことで細い道を上がって離れに向かう途中、右側の建物の低い軒先を気にしながら進んでいたら左側の伸びた枯れ枝に気づかず「ガリガリガリ!」とコンパスの左サイドに傷がついた。枝くらいちゃんと切っとけや。

気を取り直して離れの前に行くと、駐車スペースがやたらと狭い。それでも何とか切り返しながら停めると、先ほどのぬっくんの軽トラがやってきて何かわけのわからないことを言っていた。てっきりその先の方へ抜けたいのだと思って、細いながら「軽なら通れるでしょ」と言ったらどうやらうちの離れの脇にあるボロ家に、軽の荷台にあるタンスを入れたいからコンパスを一旦先の方の駐車スペースに停めてくれという意味だった。おいおい、客がチェックインするような時刻になんでそんなどうでもいい作業をやるんだと。

数人助っ人がフロントからやってきてなんとかタンスをボロ家に入れ終わったらしく、やっとチェックイン出来た。

リビング
風呂
洗面脱衣所
廊下
寝室

とりあえずひとっ風呂浴びてから今日はリッチにエビスで一杯頂いたが、残念なことはまだまだ続く。先ず離れに入った瞬間、3つも置いてある芳香剤の匂いがどぎつい。ペット臭対策なのだろうが、これではエルブレの鼻が曲がるので全て玄関の外にとりあえず撤去させて頂いた。

リビングにはこれ一枚でチェックアウトが何時なのかもわからない

また部屋に立派なCiscoのルーターがあるにも関わらず、どこをどう探してもWiFiのパスワードが書いたものが見当たらない。仕方なく一枚置かれた紙っぺらに書かれた携帯電話にかけて「WiFiのパスワードがわからないんですが」と聞くと、出たオヤジは1mmも悪びれた様子もなく「パスワード?ああそれなら@:;p[][、、、、」とご親切にも口頭で教えてくれたので有難く紙っぺらにメモさせて頂きました。

さらに「配膳室」と書かれたキッチンにある冷蔵庫にせっせと食料を入れていたらふと目に入った張り紙に上の写真の通り書かれていたが、寝室にはどこをどう探しても冷蔵庫なんか見当たらない。もちろんこの冷蔵庫をそのまま有難く使わせて頂いた。

これでなんと素泊まりひとり9,000円。しかも休日料金。3/21は確かに休日だが、普通は休前日が高いんじゃないでしょうか。

しかも強く降ると脅していた雨は17時くらいでもポツポツ程度だったので、こりゃ大失敗したかと思ったが、夜には本降りになっていてほっとした。雨が凌げるだけで有難く思わねば。まあ、言葉が足りないということは、逆に言うと細かいうるさいことをあまり言われないということで、それはそれで良しなのかもしれない。

夕食は、有田のスーパー「ウエスト」で仕入れたアラカブ(カサゴ)とイトヨリダイの刺身と練り物などなど。あまり期待していなかった刺身は新鮮で美味だった。練り物もやはり九州は美味い。

何かと牧歌的な高級旅館での雨宿りの夜はこうして更けていったのだった。

本日の走行距離:92㎞

最後までお読み頂き、有難うございました。もしよろしければ、最後にポチっと押して頂けると幸いです。↓

にほんブログ村 旅行ブログ ペット同伴車中泊の旅へ にほんブログ村 アウトドアブログ キャンピングカーへ にほんブログ村 犬ブログ 元捨て犬・元保護犬へ