令和5年3月20日(月)
直島町営駐車場の朝が来た。
実に静かな夜だった。間違いなくここもベスト車中泊スポットのひとつだ。
誰も居ない浜辺へ散歩に出た。
昨日は撮影の順番待ちがあった黄かぼちゃの周りも人っ子一人居なかった。
穏やかな瀬戸内の朝のおかげかご機嫌なエルブレは、
はしゃいで取っ組み合いの大騒ぎだ。
黄かぼちゃのすぐ隣には「ベネッセアートサイト直島」という施設があった。ホテルとして利用したり、企業は研修に使ったりもするような宿泊施設のようだ。こんな風光明媚なところで合宿研修なんてやれば、いいアイデアがバンバン湧いてくるような気が確かにする。
広大な芝生広場のあちこちに色々なアートが置かれていた。
広々とした気持ちの良いウッドデッキもある。
腹も減って来たのでそろそろ駐車場へと戻る。
今朝はスープだけではなく、昨日倉敷の美観地区で買ったパンも頂いた。
バジルの香りがふんだんな美味いパンだった。
それにしてもこの直島もいいところだ。弓削も良かったがここも実にスローな空気が流れていて、いつまでも居たいほどだった。きっと瀬戸内にはこんないいところがまだまだ山ほどあるのだろう。そんな島々に渡れるだけ渡るのも良いライフワークになりそうだ。
いつまでも居たいところだがそうもいかないので、お世話になった直島町営駐車場を出発した。
途中、かの有名な安藤忠雄設計のトイレがあったのでちょっと覗いてみた。
この天井の造りがウリらしい。
宇野行フェリーの車列に並び、出航待ちの間に近場をちょっとフラフラした。
この「直島銭湯 I♡湯」もアート好きには人気のスポットとのこと。
やがてこれから乗る船が近づいてきた。
さらば、直島。
宇野港からはランチを目指して先ずは岡山方面へ北上した。
さらに東へと向かうべく、ブルーラインに乗る。
何を目指しているかというとここまで来たら当然ながら日生でのカキオコなのだが、最初は中心部の有名どころの「みっちゃん」や「ほり」に目をつけていた。しかし道中でクチコミをチェックしているとそれらの大御所店よりも気になる店を見つけてしまったので、日生を通り過ぎて備前♡日生大橋を渡った。
またしても鹿久居島という島に渡ったのだが、そこは目的地ではなくあっという間に通過してさらに頭島大橋を渡る。
この旅いくつめかわからない離島の頭島に入り、すぐにお目当ての店が左手に現れた。
「かき氷・お好み焼 マぁー子」さんだ。
店の前の外席をワンコOKにしてくれている。
そのテラス席からは先ほど渡った頭島大橋が一望できる。
「かき入りお好み焼きのかき増量」と、「ぶた焼きそば」をチョイスし、さらに夕食用に「かきとネギのみそ焼き」も頼んで楽しみに待つ。
カキオコはドロ系でカキがぷりっぷりで増量した甲斐があった。焼きそばも絶品でもういくらでも入る。こりゃ夜のネギみそ焼きも楽しみだ。
ペロっと平らげてさてこれからどうすっかと地図を見ていると、この頭島の南端にカフェがあるのを見つけた。試しに電話してみるとテラス犬OKらしいので行ってみることにした。
島の南へ向かう道は途中からやたらと狭く、対向車が来ると脱輪しそうなほどだった。
なんとか店の駐車場に辿り着き、コンパスを停めた。お目当てのカフェはそこからちょっと海岸沿いを歩き最後はかなりの急勾配の坂を上った先にあった。
さらに店の脇の急階段をビビリながらエルブレを連れて登ると、
絶景のテラス席が待っていた。
「Villa Reborn」さんである。
ヨットマンのオーナーさんが海からここの物件を見つけて一目惚れし、世界中のYOUのボランティアの若者たちに手伝ってもらってリフォームしてOPENしたというカフェのようだ。
一目惚れするのもわかる、夢のようなまさに楽園だ。こんなところに住んでみたいものだ。
この絶景カフェ、エルブレはすっかり気に入った様子だった。
コーヒーは正直絶品とまではいかなかったが、モンブランは酒がバッチリ効いていて大人の美味さだった。
このまま住みつきたいほどの楽園だったが、後ろ髪を引かれつつ泣く泣く後にし、本州へと戻った。
さて今後の予定や天気も考えると、今宵は神戸あたりまでは行っておきたい。風呂やエルブレの夕食も考え、赤穂ICから山陽道に乗った。
つまらない高速をひたすら走り、疲れたので途中の権現湖PAで休憩した。
広い芝生スペースがあって散歩するのにいいPAだった。
高速へ戻ってちょっと走り、神戸北ICで下りて本日最後の目的地へと到着した。
先ずはひとっ風呂浴びに「神戸大沢温泉 金仙花の湯」へ移動した。
1,000円とちと高めだが、さっぱりした。
再び道の駅側の駐車場へと戻り、奇跡的にいい場所をゲットできた。
昼間調達しておいた「かきとネギのみそ焼き」は実に美味かった。
ああ今日も疲れたなと最後のトイレを済ませてコンパスへ戻ると、ひとりの青年から声をかけられた。どことなく別府ちゃんに似たその彼は、自分で改造したキャラバンで日本一周に出ようとしているようで、キッチンについて我々からアドバイスが欲しかったようだ。我が家は車内では一切調理をしないのでシンクは使わないため、残念ながら彼が欲しい答えは一切上げられなかった。ただこの青年、いかにも初心者を装ってはいたが、話を聞いていくとなんとキャラバンにソーラーシステムとMAX FANを全て自分で施工したらしい。実はツワモノのようだ。
別府ちゃんに「良い旅を」と別れて、神戸の夜は静かに更けていったのだった。
本日の走行距離:174㎞